おしまいの三十三日(下)

 三番目にマンション爆破事件だが、このマンションの爆破事件の犯人は保育園襲撃事件の犯人とは違い、それぞれのマンションを借りていた住人が事件直後に部屋の中で爆弾を爆発させたと、警察に自首している。彼らは高道和也たかみち かずや長崎一太ながさき いちた野口孝男のぐち たかおの三人で、それぞれ違う大学に通っていたが、未来を変える会に所属している、理工学部の学生であるという共通点があった。三人はが持っていた銃、保育園に火をつけた火炎放射器、圧力鍋の爆弾を作って実行犯たちに手渡したとし証言した。


 この三人の内、エトワールマンションの二百三号室の爆破に関わっていたと自白した高道和也は、二百三号室で爆発させた爆弾は未來を変える会の会員である春吉武人はるよし たけとという大学生がこの場所に持ち込んだ不発弾を爆発させた物だったと証言した。警察が後日その証言を確かめるために捜査をしたところ、春吉武人は中学生の時の同級生で土木作業員をしている永尾幸也に頼んで三戸里市に住む上岡清太郎さんの敷地に埋まっていた不発弾を取り出したと警察署の取調室で証言している。後日警察の科学捜査により、二百三号室のあった辺りから、不発弾の外側の一部だったと思われる金属が大量に発見された。


 また、長崎一太は未来を変える会の他の学生を指揮して加藤勇太郎さんの遺体をお風呂場に運び、灯油をかけ、玉川保育園に運び座禅を組ませたと証言した。


 それから横沢真央の家のトイレに二種類の洗剤を置いた犯人、豊橋達夫と幸田鞠子が連れてこられることになる空き家に 騙されていたとはいえ農薬入りのカレーライスを作り部屋の中に置いた犯人が松木明江であることが判明した。彼女は他に明和商事のエアコンに有毒ガスを流した件、玉川保育園の近所の住人四人の部屋に有毒ガスを流した件、中野麻理子や木田香と共に住人三人を座禅を組ませた件にも関わりがあったことが判明した。


 このあと未来を変える会の犯罪に関わったとして何人かの学生が自首してくるが、櫻架名と山口貴史は何処に行ったのかついに出てくることはなかった。

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