第2話
清美と別れた後は、四条河原町まで出て、美容院に行く予定になっていた。
幽霊に勧められて、先ほど買ったばかりの服に着替えた私は、ドキドキしながら予約した店へ向かった。
ズボンばかりはいていた身には、スカートのスカスカ具合が落ち着かないのだが、緊張しているのはそのせいだけではない。
何しろ、髪を切るのは数年ぶりだ。
実のところ、美容院は、自分のダサさを自覚している私にとって敷居が高いところで、苦手だった。
美容師はファッショナブルで素敵な人が多いし、もしかして笑顔の裏で私のことを馬鹿にしてるのかも、なんて余計なことを考えてしまうからだ。
もちろん、美容師は私のことなどまったく興味がないだろう。ただの被害妄想だということはよくよくわかっている。
「あ、あのお店だ」
こぎれいな外観に早くも怖気づいてしまう。
「あたし、待ってるのも暇だから、いろいろ見てくるわ。四条河原町っていえば、観光客も多いとこでしょ? というわけで、ここでお別れ。また夜にでも会いましょう」
「ええ! 一緒にいてくれないんですか?」
てっきり、ついてくるのだと思っていたのに、案外冷たい。
「何を捨て猫みたいな目をしてんのよ」
「だって、美容院なんて、ほんと数年ぶりで……」
「こっちがお客さんなんだから、何も緊張することないでしょ。服だって、かわいいの着てるんだし、堂々としてればいいのよ」
そう言われても、慣れないものは仕方ない。
「あんたって、どストレートな髪質だから、肩のあたりで切っても、はねたりしないと思うわ。そういうストレートはショートにするとボリュームを出すのにちょっと苦労するけど、そのほかはどんな長さでも収まるもんだし、何が似合うかわからないなら、店員さんにお任せしてみれば? じゃあ、頑張って」
それだけ言うと、引き留める間もなく、幽霊は消えてしまった。
人でなしだ、と思うも、幽霊はもとから人ではないので、何の悪口にもならない。
おそるおそるスタイリッシュな造りの店へと足を踏み入れた。
近寄ってくる美容師も、ファッション雑誌に載っていそうな美女だ。
ああ。
なんかもう、場違いで申し訳ない気分がしてきた。
後はもう、美容師に任せるしかない。
汗をかきつつ、手入れをあまりしなくても済むもので、似合う髪型にしてほしい、とわがままいっぱいな要望を伝える。
そう年の変わらなさそうな美人美容師は、あくまでも優しい笑みをたたえ、お任せくださいと請け合ってくれた。
シャンプーを終え、椅子につくと、美容師は流れるような動作で髪を切り始めた。
「お客様の髪、ものすごく綺麗ですね。痛んでないし。くせもないし、カットするだけで、とってもかわいくなりますよ」
鏡越しに、美女にそう言われると、お世辞だとわかっていても嬉しくなる。
切り離された長い髪が、うねうねと床に落ちていく。
この髪たちは、私と一緒に年月を重ねてきたんだと思うと、ちょっと切ない。
でも、不要なものを捨てているようでもあって、どんどんと心が軽くなるみたいだ。
なるほど、古くから失恋したら髪を切るというのは、こういう効果を狙ってのことなのかも知れない。
されるがままになっていると、あっという間に美容師は髪を乾かし始めた。
「あまり、スタイリング剤をつけたり、おうちでドライヤーをしないでも済むような髪型にしておきましたよ」
鏡をのぞくと、そこにはセミロングの私がいた。
初めての髪型は、自分で言うのもなんだけど似合っていた。
雰囲気が、柔らかくなったようだ。
黒縁メガネを外せば、もっと明るい雰囲気になるだろう。
美容師に見送られ、店を出る。
頭が軽い。背筋がピンと伸びるようだ。歩くと肩先で揺れる髪が新鮮だった。
ちょっと歩くと眼鏡店があった。
テレビが家にない私でも、そのCMは知っている激安眼鏡店だ。
心配していた美容院代はクーポンを使い、指名料を浮かせる作戦で、三千円そこそこに収まった。まずまずの成果だ。
バイトまで、まだ時間はある。
「よし!」
私は思い切って、この機会に眼鏡も変えてしまうことにした。
コンタクトは、これからずっと買い続ける必要があるから、眼鏡のほうが経済的だろう。
店に入ると、カラフルな眼鏡が、所狭しと並べてあった。
つい、地味な眼鏡に手を伸ばしかけたが、思い直して、華やかな色合いのものを試してみた。
フレームがほとんど気にならないタイプの淡いピンクの眼鏡が、自然に顔になじむようで、気に入った。
黒縁メガネをかけていたときより、ずっと若々しく見えるようだ。
眼鏡の役割は、視力を改善することだと思っていた。
だけど、幽霊が言う通り、ファッションの要素としても眼鏡は大事なんだと改めて思う。
選んだ眼鏡は一式六千円だった。
これで、買い物は終了だ。
結局、幽霊のくれた二万円でほぼ事足りたことになる。
とはいえ、私の普段の生活では、ここまで一気にお金を使うことはないので、なんだか悪いことをしたような、妙な気分だ。
眼鏡が出来上がるのを待っている間に、私は近くのお店をのぞいてみることにした。
そういえば、すぐ近くに京都タカシマヤがあったはずだ。
デパートなんて、普段は絶対に来ないところだ。
ゴージャスなドアの前にたったとたん、足がすくんだ。
でも、鏡のように磨かれたガラスのドアに映った私の姿は、いつもの慣れ親しんだものとは全く違った。
セミロングの髪と、ワンピースの裾が軽やかに揺れている。
吹き込む風に背中を押されるように、私は中へと入った。
一歩中に入ると、内装も空間もそこにいる人々も、すべてがキラキラしていた。
少し前までの私なら、居心地が悪くて仕方がなかったはずなのに、この場にいることを楽しんでいる自分に気が付く。
なんだか不思議だった。
今まで、こんな世界には目を向けずに生きてきた。
貧乏だから、自分には縁がないんだと思っていたし、納得してもいた。
でも、勇気を出して、少しだけ工夫をすれば、こうしてみんなと同じ場所に、自然に立てるんだ。
おせっかいな幽霊がいなかったら、きっと長い間、こんな気持ちを知らないまま、日々を過ごしていただろう。
ひときわ、輝いているアクセサリー店の前で、私は足を止めた。
水色の生地で作られた、リボン型の髪留めが飾られていた。
幽霊の着ているワンピースとよく似た水玉模様だ。
彼女の綺麗な黒髪によく似合いそうだった。
値札は千円になっている。
お財布をのぞき、今月使えるお金をざっと計算すると、清美へのお礼の分を差し引いても、なんとかなりそうだ。いざとなれば、自分用のへそくりもある。
幽霊がいないことを確認して、プレゼント用に包装してもらう。
物を通り抜けてしまう幽霊に、髪留めをあげても喜ばないかも知れないけど、少しでも、お礼の気持ちを表したかった。
とはいえ、恥ずかしくて、渡せるかどうかは疑問だけど。
眼鏡店に戻り、出来立ての眼鏡を受け取る。
かけてみると、傷ひとつないレンズ越しの世界は、今までよりもずっと美しく見えた。
きょろきょろしていると、時計が視界に入り、ゲッと小さく声をあげてしまった。
朝十時に清美と待ち合わせたのに、もう時刻は三時だ。
バイトは四時からだから、急がなくちゃならない。
我ながら飲まず食わずで、長時間よく頑張ったものだと呆れつつ、私はバイト先へ向かった。
その夜、髪型や眼鏡を見てほしくて、夜中まで起きていたのに、幽霊は出てこなかった。
おかげで、朝が辛かった。目覚ましの音に、やっとのことで目を開ける。
そのとたん、頭上に浮かんだ幽霊を見て、心臓が止まるほど驚いた。
「ぎゃっ! な、なに?」
「なにって、起こそうと思って。目覚ましがさっきからうるさいし」
「起こしてくれるのはありがたいですが、目覚めたとたんに上に浮かんでる、とかやめてください。マジで、死にそうなくらい、びっくりしましたよ」
「あんたこそ、あたしの存在に早く慣れてよね」
幽霊はふわふわ飛んで、文机の前に座った。
「あら、いいじゃない。その髪型。新しい眼鏡も買ったの?」
「うん。これなんだけど、どうかな?」
ピンク色の眼鏡をかけてみせると、幽霊が手をたたいた。
「うん、うん。いい。前よりずっと、かわいくなったよ。これで、後はメイクの仕方を勉強すれば、もう、鬼に金棒ね」
「メイク? いつもしてるけど?」
「ファンデと口紅だけじゃ、足りないの。ちゃんとやり方があるんだから。と、いうわけで、今日の予定は?」
「午後からサークルで、バイトは休みです」
「じゃ、図書館に行きましょう」
「なんで図書館?」
「えへへ。知らなかったみたいだね。最近の図書館って、ファッション誌もおいているのよ。それなら無料で勉強できるでしょ? その後は、安いものでいいから、道具をそろえなくちゃ」
「ええ? 今からですか?」
「そうよ。サークルに行けば、高木くんと会うかも知れないんでしょ? せっかくここまで変わったのに、化粧がいまいちじゃ、もったいないわ」
鼻息荒く言う幽霊に逆らえず、私は簡単な朝食を取ったあと、市立図書館に行くことになった。
何冊か、ファッション誌を借りて、百円均一で化粧品と道具を買いそろえる。
図書館でファッション誌を借りれることも、百均のお店でこんなに豊富な種類の化粧品が買えることも知らなかった。
ずっと現世を離れていたはずの幽霊のほうが知っているなんて。
一応、ずっと女子をやっているだけに、なんだかちょっと、恥ずかしくなってしまう。
部屋に帰れば、さっそく練習だ。
「まずは、眉の形を整えなくちゃね」
これが難関だった。眉毛テンプレートを使ってみたのだが、なかなか左右の形がうまくいかない。
ファッション誌も参考にする。
美しい眉を作るために、目頭との位置、眉山と眉尻のバランスや角度などが、こと細かく説明してくれているのだが、ものすごく難しい。
「こんな、難しいことを、世の中の女子はやってるの? いっそのこと、全部そっちゃって、書いたほうが早いのに」
思わず言うと、幽霊がぷっと噴出した。
「それじゃ、メイクなしの顔が、化け物みたいになるよ。大丈夫、すぐ慣れるわ」
さんざん悩みながら、はさみと剃刀で眉の形を整える。
格闘すること三十分。げじげじの太かった眉が、なんとか綺麗な形になった。
「はい、合格。それじゃ、ベーシックなメイクのやり方を練習しようか」
今度は基本のメイクというコーナーを見つけ、それにそって、ベースから練習をする。
今まで、いきなりファンデーションを塗っていたのだが、しっかり保湿をして、下地を塗ってからファンデーションをつける。
「もともと、綺麗な肌だけど、そうすると、一層、輝いて見えるわ」
幽霊が言うとおり、確かに、肌の透明感がぐっと増したように見える。
「ハイライトを入れたりしなくても、あんたは十分みたいね。それじゃ、目をやってみよう」
アイライン、アイシャドー、マスカラと、初めての試みに挑戦する。
はみだしたり、塗りすぎたり、だまになったりを繰り返しながら、なんとかチークを塗って完成させたのが、サークルに出かけなければならない、ぎりぎりの時間だった。
鏡をのぞき込む。
そこにいたのは、別人のような私で、ものすごく違和感があった。
だけど、いつもより、ずっとかわいくなっているような気がする。
「うん。すっごくかわいい! いいわ。自信をもっていってらっしゃい!」
大きな声で、幽霊が送り出してくれた。
いつもの道を、速足で歩いた。
誰かに合わないか、ひやひやする。
まあ、今からサークルのみんなに会いに行くわけだけど。
他人には、私の違いなんてどうでもいいことだろうけど、なんとなく落ち着かない気分だ。
さんざん練習したし、幽霊は上手にできたと言ってくれたけど、いまひとつ、自信が持てない。
っと、いけない。
考えながら歩いていると、角を曲がり損ねてしまった。
目的地は学生会館だ。
いくつものサークルが部室を置いているこの建物は、夏休みに入ったせいか、午後の早い時間だというのに、人が多く、活気がある。
下手なんだが味があるのかわからない字で、合唱部と書かれた札がぶらさげられたドアの前で立ち止った。
誰かいるかも知れないと思うと、勇気がいったが、ドアの前でまごまごしているのを見られるのも恥ずかしい。
深呼吸をして、えいやっとばかりに勢いよくドアをあける。
視界に入ったのは、
「なんでこんなとこで腕立てしてんのよ」
思わず突っ込む。
立ち上がった鉄吉の浅黒い肌と、短く切りそろえた髪の毛に、いくつもの汗のつぶが浮かんでいた。
首にかけたタオルで汗をぬぐい、鉄吉は平然と答えた、
「エアコンが効いてるだろ。そして、俺は今、体がなまっていた」
いつもながら、残念な日本語をしゃべる男だ。
「涼しい場所で身体を鍛えたいのはわかるけど、ここはジムじゃないからね」
そう言った私を、鉄吉がしげしげと眺めてくる。
まっすぐに見つめられて、思わず視線ををらした。
「な、なによ」
「お前、変だぞ」
「え!」
そういえば、今見た光景が衝撃的で、すっかり忘れてたけど、私、いつもと違う格好だったんだ!
私は頬に手をやった。
やっぱりメイクが悪かったのか。
それとも、服がおかしいのか?
恥ずかしさに顔がかっと熱くなる。
「だって、お前……女みたいだ。スカート履いてるし」
…………。
「女に決まってるでしょー!」
マジか。
この男、マジなのか。
あまりにも失礼すぎる発言だ。
ワナワナしている私から目を逸らし、鉄吉はCDの入った棚を漁り始めた。
「候補は決めたか?」
何事もなかったかのように、そう聞いてくる。
鉄吉は、身体を鍛えるのが趣味で、合唱が趣味で、日本語が残念な、要するにそういう奴だ。唯一の美点は、時間に遅れないということくらいか。
そんな鉄吉の台詞を深く考えるのは精神衛生上よろしくない。
深く息を吸って、怒りを鎮める。
「合宿の最後に歌うやつだよね。私、大学に入ってから、合唱を始めたし、まだ良くわからないんだ」
「そうか。なら、これを聞いとけ」
鉄吉がぽんと何かを放り投げてきた。
慌てて受け取る。
ラベルに、合唱曲候補とかな釘文字で記されたCDだ。
「サークルの、勝手に借りていいの?」
「それは俺のだ。お前、忙しくてあんま来れないだろ。今日はこの中から曲を決めることになると思う。だから練習用に貸してやる」
そう言うと、鉄吉はくるりと背を向けた。
確かに、苦学生の私は、バイトと勉強で、いつも忙しい。サークルも、ついつい、欠席が多くなる。
気を使ってくれているのかな。
無骨な割には、優しいところがあるみたい。
「ありがとう」
鉄吉は何も言わず、また腕立て伏せを始めた。
やっぱり良くわからない男だ。
ドアが開く音がした。
反射的に振り返ったとたん、立っていた人物を見て、心臓が飛び跳ねた。
高木先輩だ。
失恋したあの日のことがよみがえる。
この部室で、先輩たちが話していた。
そして、高木先輩は私のことをダサイから無理だと言った。
「あれ? 一回生、今日集合だっけ」
高木先輩が全く邪気のない顔で話しかけてくる。
二重なのに凛々しく見える澄んだ瞳に、嫌味にならない程度に高く、すっとした鼻、薄い唇には優しい笑みが浮かんでいる。
吹き込む風がさりげなく染められた茶色い髪を揺らすと、仄かに香水の香が漂ってきた。
先輩が私をどう思っていようと、悲しいことに私の目は先輩に釘づけになってしまう。
なんで。
なんで世の中には、こんな完璧な容姿の人がいるのだろう。
神様、不公平です。
「のりちゃん?」
聞かれて、私ははっと我に返った。
数秒間、ぼーっと見つめてしまっていたらしい。
恥ずかしさに、耳が熱くなる。
高木先輩がつかつかと寄ってきた。
ずいっと身を乗り出してきた先輩との距離が近くて、私は思わずのけぞった。
「のりちゃん、なんか、今日、全然雰囲気違うね。見違えたよ。すごく可愛い」
くらくらしてしまった。
香水の匂いが濃く感じられるのも、先輩の優しい笑顔が近いのも、もちろん原因だけど、先輩の口から、こんな言葉が聞けるなんて。
舞い上がって、へどもどしている私の前に、鉄吉の背がずいっと入り込んできた。
「合宿で歌う曲決めと、買出しの手伝いを決めるんです。相川、今日はピアノ部屋だ。時間だし、そろそろ行こう」
鉄吉に言われて、残念だが部室から出る。
もうちょっと高木先輩と話したかったのに。
廊下を歩き出してすぐ、鉄吉がため息をつきながら呟いた。
「お前、わかりやすすぎ」
「なにが?」
「高木先輩が好きってこと。急に格好を変えてきたのも、そのせいだろ?」
鉄吉に言われて、息が止まりそうになった。
「ななな、なにを言ってるの?」
「そこまで丸わかりだと、正直、こっちが気恥ずかしい。少しは自制してもらいたい」
「あんたには関係ないでしょ!」
恥ずかしさに、つい声を荒らげると、鉄吉は平然とした顔で言った。
「関係なくても気にはなる。そんな大声出すと、周りに聞こえるぞ」
それだけ言うと、鉄吉は私を残してすたすたと行ってしまった。
そりゃ、バレバレだとは思っていたけど、面とむかって言うなんて!
鉄吉め、空気の読めない奴、決定だ。
ピアノ部屋に入ると、すでに主要メンバーがそろっていた。
一回生の中で、一番可愛い
その隣の
合唱にかける熱意は並大抵ではなく、幽霊部員に近い私には、ちょっと怖い存在だ。
さっそく鉄吉に話しかけたのは
良く言えば、情報通、悪く言えば、噂好きの性格で、いつもいろいろな話を聞かせてくれる子だ。
ほかには、合唱が大好きな眼鏡男子、
「あれ? のりちゃん、どうしたのー?」
実夏が大きな二重をぱっちりと開いた。
「おっ? 事件ですか? なんか、あったの、その変身ぶりは?」
塔子が駆け寄ってくる。
「いや、何もないんだけど……。試験が終わったし、気分を変えてみようかなって」
「すっごくかわいー! 似合ってるよ、のりちゃん。眼鏡も素敵だねー」
実夏に褒められて、嬉しくなる。
「はい。騒がしいのはそこまでにして。今日、来られるのは、これくらいって聞いてるから、早速、曲決めに入るわよ。後で発生練習もするから、よろしく」
花田さんがぱんぱんと手をたたき、曲決めが始まった。
私は安堵して息を吐いた。
女子からの受けも悪くなかったし、どうやら変ではないらしい。
なにより、高木先輩に褒めてもらえたことが大きかった。
帰ったら、幽霊にお礼を言わなくちゃ。
そういえば、髪留めもバックにしまい込んだままだった。
綺麗に包装された髪留めのことを思い出す。
喜んでくれるといいな。
真剣な議論をしているのに、申し訳ないと思いつつ、私はそんなことを考えていた。
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