第7話 サボブレス映画会での事


 六  サボブレス映画会での事



貧しくも、苦しくも、人をキズつけまい。


豊かな国であれば、犯罪は少ないものだ。争い事を好むものは、発展を妨げ、ゼロに戻す。


バシリクストカゲが水面を走り、風波を変えよと、魔人は空で、ピー・ブ-・エフの唇音を響かせる。


自国の文化を時代遅れと消し去る者は、暴利をむさぼりbaubleと欺くのだ。


永世寛に、幸福に栄えよう。自国の文化を守り、発展とともに大事に考え歩む。


二、三日降り続いた雨で、川の水も増し、路面横には雨水も溜まり始めた。


日陰で街路樹も育たない町の一角を過ぎると、我の頭音にノイズと鶏が再び鳴き響く。


目に映るのは、ちゃぼの行進と独裁者のサングラスだ。


ミュージックBARの階級闘争なのか、音売り好餌であるまいに、聞かず、歌わずと流れ出るのは、幽霊人口の産業ソングである。


ステージに立つも、ちゃぼにあばら骨を引き抜かれ、身体は丸く腫れ上がり、頬にはマシュマロが積められる。

演奏するも、何も聞こえず、音が消えるという日々であった。


頭痛には頭痛薬、鼻水が出れば風邪薬と、薬九層倍、我にとっては、酒も薬と、大まが時には、エフェクト信号と汽笛を鳴らし、ドーパミンの増量で、カルチモンにと朝顔をむさぼり食う始末である。


バッカス会のメンバーであった、月読ツキヨミ氏は、


「水の中も、土の中も、良い空気が無ければ、皆酔っぱらってしまうね。分解酵素と貯蔵庫抱えて、楽しく暮らすのも、面白いですけどね。」

と汚染されている川の水や土壌の土の成分と、地域の環境とその必要性を話していた。


酸素が少なくなっているのであれば、酸素を作ればいいじゃないか、などと、我単純に思うも、失われた物の変わりにと、巨大な酸素ボンベを設置されようものならば、地球から生まれた人間は、自らその生まれ故郷の自然、地球を変えたまま、のんきに全てを忘れて行くであろう。


温室育ちで、養殖された物を食べ、土も川も草葉さえもと、触れる事無く生きる姿は、どこか落莫した今の人間なのであろうか。


月読氏は、矢大酒店も知る慶案さんのお知り合いで、我の持つ電子ピアニカを気に入り、音を聞いて頂ける事となった。


次回、サボブレスでのジレー会でのことである。



「琴美、琴美っ、この間の赤いセーターの人。絵描きの人が福寿草駅の天青テンセイ広場に集まっているのを見かけた事があるって話してたでしょ。私あの後、天青広場に行ってみたの。そうしたら、キャスケット帽を被っている男の人が、鳥の巣箱なのかなぁ、グラスとか販売していたんだけど。

創ってるんだって、小さな巣箱。

あー鳥は入らないサイズで。

えっと、それで、赤カナリアを描いた人知らないかって聞いてみたら、休日の

昼間に多いって。

その人かどうかは解らないけど。

天青広場に来るわよ。きっと。」


学食で食事を終えた午後十四時近くに、美柑から、連絡が入った。


スキップでもして話しているのか、慌ただしくも進歩発展と、私は、次の美術史の講議へ向かった。


バラの花を育て、庭で楽しむも、その世界の品評会で認められようと力を注ぎ、その枠の中で発表できるのは、一握りだ。


歴史的な出来事を大昔、紀元前から壁画に残し今世紀迄、美術という形で人々は表現している。

美術の中でも、その国で認められた技法は沢山ある。

伝承していれば、上の社会は、新しいモノを、支配しようとはしないハズ。


私が好んで使っているシャープペンシルは、悪い物なのだろうか?


持つ事が出来る人と持つ事が出来ない人。

知る人と知らずに済む人。

欲しい人と不必要である人。


一つの国の中で、評価される事が一番であり、

そこから世界へ挑戦して行く事になるのでは無いだろうか。

自分の国で認められたのなら、

一生の宝モノになるはずだ。


持続していかなければ、消えてしまう。


本当に良い物とは、良い物である事。

良い時を過ごせる事。

そして、私達の国の事を考える事だと思う。


サボブレスでのバッカス会では、福寿草駅近辺の川の環境と昔から創られていた工芸品の映画上映、ビッキーさん、そして青空デスクの時に現れた髪の長い女性も来店し、郷土芸術のこれからと、福寿草駅のこれからと、いくつかの話を伺った。


「民芸品を創っている地方の職人さんは、民族意識をきちんと持ち、暮らしを支え生産しているのだから、その町の文化であるわけでしょう。」


「その土地を訪れた際、迎えてくれる品であり、やっぱりほっとしますよね。」


「ですから、良かったですよ。ピッタリでしょ。私が今回お勧めさせて頂いたのは、日常品といっても芸術品として、その土地から生まれた家具や工芸品が、自宅に少なくなり、持っている物が無ければ、芸術離れしている世の中と思われても仕方が無いのではないかと思いまして。」


「うちの店も甘味処、細々ですけどね、続けられて。

最近若い方達も増えて来ましたしね。

民芸品と御団子でひと休みして頂ければと。」


「守らなくなっているでしょ。

って攻撃的な世の中だと、総べて変わってしまうよね。その土地の文化はやはり残して、そこで始めてと。まあ、うちも蹄鉄屋でしたけれどね。」


ビッキーさんの地道家具店は、昔、蹄鉄屋さんで、訪れた女性は甘味処、矢文ヤブミの方だった。

地道さん達は、当日、蓄音機を回転させ、SPレコードの音が途切れ無い様、音を楽しませ、映画上映を盛り上げた。


サボブレスには、スピーカーも多く、ジュークボックスもあるようだけれども、あまり使われてはいないようだった。


バッカス会で上映された映画では、美しい川にしようと、鮎が泳いでいた時代に戻すべく、メンバーの方々が今迄の活動を語ってくれた。


川にこれまでいた魚が住まなくなり、川底の調整に、稚魚の放流や、岸には、白鷺の巣を作り、ドジョウを泳がせた。


魚が居心地よく住める環境は、人間が望んでいる生活と同じ事なのかもしれない。


緑を増やし家を作り、食事が出来て、川が美しければ、大勢の魚が泳ぎ集まってくると思う。


バッカス会の方々の、映画の一部では、一年中、虫や鳥が来るようにする為に、沢山実を付けるヤマボウシや、虫の好む草花等、自然を作る。


私の分とあなたの分。


親の分と子供の分。


日本の分と外国の分。


自然の分と生き物の分。


地球から皆んな貰ってる。


お返しは?どうする?


全てを使ってしまったら何も残らない。


ナチュラルな文化と心を持って下さい。全部食べたらダメですよ。


と、自然の中の知恵を話してくれた。


豊かな心の持ち主であれば、相手にも与える事が出来るのであると。


双方豊かになれる事が必要で、一人一人を尊重していかなければいけないのだ。


自然である事を忘れて、勝手に操るのは人間自身がその先を、どうでも良いものと考えてしまっていたという事になる。


「昼とんびのおせっかいって。」


「何ですか?それ」


「向かいの川岸から、木の実をくわえて、 枝を運んで巣を作ったの。」


「それで、緑が増えたとか?」


「うーん、そうだけれども、こちら側には、餌が少ないから結局飛んで行っちゃった。」


「住みつかないねぇ。」


「小枝のベッドがあっても、やっぱりご飯。

地道レストランも必要って事?

大きい魚が小さい魚を…。」


「いやいや、近頃は蟻の生活になっていますかね?」


「ヤゴは袋を持って水の中で成長するから、水草のふとんでしょ。」


「ブクブク、プカ、プカ、ミドンガさんの川作りは映画の中でも、魚の呼吸が見えたよね。」


「常に循環して、すぐに返せば年月が経っても、そこに行けばそこにある。

ミドンガさんは、番人として生きているってことだよ。」


「尾腐り病に、根腐れ病が起った時もミドンガさんは追いかけない。

あたり前である事を守ってるから、慌てないんだよね。

変化してもとっても柔らかいよ。考え

方が。」


「魚が風邪ひいたって。」


「青っ洟垂らしていたら栄養不足だって。」


「川が二日酔いだからって、浮き輪を付けて、水上小屋に乗り込んでいましたもん。」


「貧者の一燈として、心暖まりましたよ。

矢文でも河原ではヨモギを栽培しておりまして、ヨモギ団子作りなどございますから、どうぞ、起こし下さいね。」


バッカス会での映画上映も終わり、私達は天青広場での目撃情報を地道さん達に告げた。


「美柑が作ったんですけど、このシール。」


「赤カナリアのシール?!」


「ちらしを見てもらって、シールをペタリと皆さんに渡してきました。」


「今日もいなかったけど、本人が見たら、ジレー会に来てくれるかも。」


「貼ってくれてたしね。」


「ありがとうございます。天青広場にいるのであれば、僕達も聞いてみますよ。」


「それだったら、シールもどうぞ。」


「カナリアシール、店に貼りますか。」


「鳥と虫屋さんにも渡したらいいんじゃない?」


「私もインコを飼う事に決めたので、ジレー会に連れて来るつもりです。」


「鳥と虫屋さんには、私達寄って行きますから。」


「はぁー、それでは、お勧めございますよ。トリカゴ。

持っていないなら、、、、、

地道に置いていますよ。

大切さん、リリィ呼んで。

あ、トリカゴね、二階に見えるでしょう。」


「地道で創ったトリカゴだから。」


「えー。古い物だと思った。」


「サボブレスのブドウ蔓が飾ってあるタイプと、音譜が付いてるタイプと。」


「蹄鉄屋でしたから。鉄モノはまだ少し創っているんですよ。」


「大切さん、持ってきてくれましたよ。」


「最近のリリィには、もっと広いカゴがいいのかもしれないですね。まぁ店内を飛び回って、ユーカリの木に乗っかったり、ラベンダーのプランターで寝てる事もあるんですが。リリィはカゴに戻って来ますよ。」


バッカス会ではそんな事もあり、私は地道さんからトリカゴを譲って頂き、鳥と虫屋さんでは、数匹の小鳥達の中から、コザクラインコであったリリィや美柑オススメのオカメインコと迷ったあげく、黄色とブルーの羽を持つ、セキセイインコに決めたのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る