第21話 宝玉を求めて
見えないちゃんに連れられて僕は制御室までやって来た。
またあの4人に会わないといけないのか…。
それを考えただけで僕はちょっとげんなりしてしまった。
(あの部屋の雰囲気、かなり苦手なんだよなあ…)
制御室に入るとそれを見た4人は僕の姿を見るなりそれぞれ勝手に喋り始めた。
「そいつ、使えるんだろーな?」
「どう見ても素人だろ…」
「お願い、あなただけが頼りなの!」
「…」
えーと、そんないっぺんに喋られても困るんですが…。
ま、事前に見えないちゃんから説明は聞いていたけど…。
「宝玉を取り行って欲しいの…作業に必要なのよ」
「宝玉?」
「詳しい場所は制御室の子が知ってる…ついて来て!」
宝玉はあの石版を制御するのにとても大事なアイテムで、本来はそれも同時にセッティングして作業をするものらしい。
けれど残り時間が短いって言うのと作業効率の技術向上で何のトラブルもなければ
宝玉なしでも作業が完了する目処が立ったんでそれで今まで宝玉なしで作業していたらしい。
「そうしたらあの攻撃でしょ?大事な機関がそれでトラブルを起こしちゃって…」
「で、改めて宝玉が必要になった、と」
「そう言う事!」
見えないちゃん以外の4人が何処でどう言う事をしていたのか分からないけど、彼女曰くみんなで分担して作業をしていたらしい。
例えば見えないちゃんは封印解除の担当だし男子は放置されていたこの塔の復旧担当と言う風に。
で、宝玉などのパワーストーン担当は…今まで一度も話し声を聞いていない無口な性別不詳のあの子だった。
(うわ…ちゃんと話、出来るかな?)
そんな訳で僕はまずは最初のコミニュケーションから不安を抱く羽目になっていた。
「えっと…」
「…」
これはいけない!会話が成り立たない!僕はいきなり途方に暮れてしまった。
やっぱりここは信頼を得るところから始めないとダメなんだろうか?
「だから言ったんだよ!」
「素人さんお断りってね…」
「ここであきらめないで!」
「ちょっとみんな黙って!」
しかし外野がやかましい…こんな環境じゃ無口な子は余計喋れないよ…。
ああもう…本当に時間がないって焦っている状況かよこれ…誰か協力してくれよ…。
僕が困っているとその無口な子が僕に近付いて来た。
そして何かを訴えるように僕の顔を見つめている。
僕が話を聞こうとしゃがむとその子が僕の額に手を当てて来た。
「!?」
その瞬間頭に流れ込んでくるイメージ…それは宝玉の場所とその取得方法だった。
なるほど、隠れ里の子はこう言う意志の伝達も出来るんだ…。
情報を全て伝え終わるとその子はゆっくりと僕の額から手を離した。
「ありがとう」
僕がそう言うとその子はニコッと笑った。
それは無邪気で素直な可愛い笑顔だった。
「通じたか?ならとっとと行け!」
「時間ないんだ!早く取ってこいよ!」
「絶対取って来てね!」
「…」
「これで準備オッケーよね!」
うーん…とりあえずこの男子共グーパンチで殴っていいかな?
僕は抱いてはいけない感情を抱いてしまった。
ぐ…いや、我慢我慢。
「場所は分かったけどどうやってその場所に行けば…?」
「私が導いてあげる…しっかり場所をイメージしてね?」
こう言う時はやっぱりパートナーの見えないちゃんだなぁ。
僕はさっき教えてもらったイメージを強く念じた。
見えないちゃんが僕の額に触れて…僕はその場所へと跳躍する。
うああああああ!
ドスン!
お約束のように僕はやっぱり尻餅をついてしまった。
何度も繰り返したから流石にもう慣れたけどね。
お尻の汚れを手で払いながら立ち上がった僕はすぐに頭を切り替えて前を見つめた。
「さ、行きますか!」
僕は目の前に続く宝玉へと続く道を歩き始めた。
早速そこには行く手を阻むかのような長い長い坂が…。
うん、確かにここはあの子のイメージの通りの場所だ。
見えないちゃん、跳躍確かに成功したよ!
意を決して僕は登り始める。
この果てしなく遠い男坂をよ…(違)。
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