第19話 最終防衛ライン
場面は変わってこちらは一気に空間跳躍したディーナ。
「こう言うものがァ…あるからァ…いけないんだよねェ…」
彼女は右手を振り上げ、その腕に力を溜める…。
それは今までの封印の仕草と型こそは同じだったけれど…溜める力の量が桁違いだった。
ブゥゥゥゥン…!
静かなシャンバラにディーナのエネルギーを溜める時に放つ重低音が響いていく…。
そして一瞬振り向いて邪魔が来ない事を確認して…一気にその溜めた力を解き放った!
バシュゥゥゥン!
ドガァッ!
ディーナのこのエネルギー攻撃を受けてシャンバラの建物の一部が砕け散る!
さすがに一発で崩壊する程ではないものの、それは恐ろしいほどの破壊力だった。
何度もこの攻撃を食らったらいくら古代文明の強固な建物であっても完全に砕け散ってしまう事だろう…。
もしかしたらあの封印の技は本来こう言う使い方をするものなのかも知れない…。
「ふうん…硬いわねェ…」
ディーナはすぐに第二波の準備を始めていた…。
彼女、一体どれだけ力のストックがあるんだ…。
一方でさっきまでモクモクと上がっていた煙はだんだん弱くなっていった。
「ふぅ…バカ共の掃除は終わったよ」
それはライアンだった。
実はライアンはこの建物の警備に張り付いていたのだ。
ただ襲撃にちょっと不意をつかれてしまった為、対応が後手に回ってしまい…その事態の終息に時間がかかってしまったのだ。
「トッシーがうまくディーナを抑えてくれたから最悪は免れたけど…こいつはちとヤバいかな?」
ライアンはそう言うと捕まえた襲撃犯をぽいぽいと建物の外に放り投げていた。
投げられた襲撃犯は宙を舞って…今まさに攻撃を加えようとするディーナの目の前に次々に落ちていった。
ドサッ!
ドサドサドサッ!
突然の仲間の無残な姿に思わず構えを解くディーナ。
全員致命傷ではないものの、しばらく行動不能な状態で転がっていた。
こんな芸当が出来るのはライアンしかいないと彼女もすぐに感じ取っていた。
「はい、ごくろーさん」
相変わらず霧のようにディーナの前に現れるライアン。
「驚いたァ…まさかァ…本気で裏切るなんてねェ…」
「オレは最初から誰の味方でもないよ…好きな方につくだけさ…」
ディーナとライアン、二人の間に緊張感が走る。
一触即発の雰囲気が辺りを包み込んでいた。
「どうやらうまく行ったみたいだね…」
「何言ってんだよ…システムが70%もダウンしやがった!」
「すぐサブシステムとの連携を取らないと…タイムスケジュールが…」
「何とかトラブル以前にこっちの処理は終わったけど、次のエリアへの移行が困難に…」
「…」
制御室の5人は健在。
しかし作業はうまく進んでいないようだった。
突然の攻撃を受けたからね、仕方ないね。
見えないちゃんは混乱する制御室の中で次の対策を練っていた。
徳之心の力が目覚める事を想定に入れての跳躍だったものの、彼にはもっと自分の力に目覚めてもらわなければいけなかった。
ディーナとの接触で彼は一体どこまで成長しただろう…。
「あいつ…うまくやってるかな…」
シャンバラ制御塔での守り人5人の作業は続く…。
「連続テレポート地獄やぁ!」
僕は走り疲れてまた盛大に転んでしまった…。
これで転ぶの何度目だよっ!って思わず自己ツッコミを入れてしまう。
それでも建物との距離は中々縮まらない。
おまけに目印にしている建物から立ち昇っている煙も小さくなっていた。
その様子から見て何か事態が動いているらしい…。
早く辿り着かないと自分が何も出来ない間に何もかもが終わってしまう…そんな気がしていた。
そこで思いついたのがこの連続テレポート。
最大20mのテレポートを怒涛の勢いで続ける事で目的地まで飛ぶって作戦だ。
簡単に言うと一歩20mの歩幅で全速力で走るって感覚やね。
ただこの力を使うのも結構体力消耗する訳で…。
この連続テレポートで僕は確実にお腹を減らしていった…。
(お、お腹すいた…)
作戦はうまく行ってこの方法でいつの間にか僕は建物まで後3kmの近くまで近付いていた。
そして建物の側100m付近ではディーナとライアンとの戦いが今にも始まろうとしている…。
しかしそんな戦いが始まろうとしていただなんてまだ遠い場所にいる僕は気付くはずもなかった…。
そして…
ばたり…
限界まで頑張った僕は体力を使い果たして倒れ込んでしまった。
こ、こんなところで…。
結局建物まで後700mまで来たところでの自滅だった…。
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