「あ!」・運動と知覚とか(快楽はない)螺旋

~翌日~


緋桜 如月ヒオウ キサラギ(3年):で、昨日の続き、やる?


吉野 翠ヨシノ ミドリ(3年):え、やるの?


キサラギ:だってオレだけってつまらん


藍影 愁アイカゲ シュウ(1年):ハードル高いと思いますけど?何を発見して何を考えることがあります?思いついても調べてたいてい終わりますよ?昨日のキサラギさんみたいな独自の視点なんて早々出ませんよ。僕みたいにコア過ぎてもアウトでしょ?(一般人なめんな)


キサラギ:えー、つまんねーな。


須墨 誠スボク マコト(2年):なんでもいいよ?生活の中で日々見ているもの、最近読んだ本から見つけたこと、気に入ったTVとか…なんなら昨日言ってたシュウ君の話でも…


シュウ:すいません、それは勘弁してください。なんか改めて思うと公開処刑でした。


マコト:ふむ、残念だ。ヒカル君やミドリ君は何かないかな?


ミドリ:えー…?日々ルーティンワーク過ぎて特に…


山吹 光流ヤマブキ ヒカル(1年):あ、じゃあぼく言っていい?『脳にとっての視覚のポジと大縄跳びのコツ』


マコト&ミドリ:………何それ??(・_・)


柏木 透カシワギ スイ(2年):…zzZ……zzZ……(´-ω-`)


ヒカル:運動会とか体育祭でやる大縄跳びは知ってるよね、あの30人位で一斉に跳ぶやつ


ミドリ:クラス対抗とか色対抗でやるわね


シュウ:あれ以上での大人数参加の競技種目ってまずないですね。…玉入れくらい?


キサラギ:前々から早く走るコツとかあったが最近じゃ玉入れとかいろんなコツ出てきてなんか味気なくなってきてるよな。まぁ、つまらないのは知識の定着がチームでバラバラで知らないとすぐ置いてかれてて勝負にもなってなかったりするからだけど。


シュウ:あー、そもそもその知識あってもやる気ない奴必ずいますからね。ブリーフィングする程わざわざ言うべきか悩んだり、作戦立てるリーダーにも「ひっこめー」とか言うのとかそれで引っ込むザ・日本人の気質、奥ゆかしくって素晴らしいですねー


キサラギ:競争意識がそもそも育ってないんだよな。そこまでいってないっていうか。そんなことより家帰ってゲームしてたい人~?


シュウ&ヒカル:はーーーーいwww


マコト:えっと………(´・ω・`)


ミドリ:話完全に離れちゃってるから。大縄跳び。それともやめて今日もう家帰る?


ヒカル:あーごめんさい。高校の時ね、同じ学校だったからシュウも知ってるんだけど、うちのとこ競技ったら何でも活発な方でね。詰め切れるだけ詰めてたんだ、で、そこで見えたものの話。大縄跳び、そのコツはまぁとりあえず定石としては身長は高い人は中央、低い人は端。他に~…なんだっけ?


シュウ:もちっと頑張って?!…当たり前過ぎて全部は僕も抜けそうだけど…そうだな、縄の持ち手はまずなるべく短く。短く持つことで回す縄の重量が少なく済んで体力がもつ(あれ重いものだから)。縄を短く持つ為にも跳ぶ隊列は二列でできる限り密集。縄を持つ人間は上体を全て使って縄が上空の時は伸びきって低空は常に地面すれすれで毎回回すようにして端で跳ぶ人間の負担を減らす。低空時にコツとして早く通過させたいから腕使ってちょっと引っ張ったりして加速させるってのもあるけどそこは回し手二人の息と跳ぶ方のタイミング、全体の連携・練度になるね。


ミドリ:えっと…ちょっと待って。大縄跳びってそんな考える競技だったっけ…?


キサラギ:勝負事とか競うってのは常に技術力の革新とか文明を推進させるものだぜ?ジャンプとサンデーとか、アメリカとソ連の宇宙ロケット=核技術の開発競争とか、世界大戦とか戦争とか、競争ってよくもわるくも人間をステージアップさせるよ。オリンピックなんてスポーツであるだけで国の財力と威信と技術力をかけた血の流れない戦争だぜ。


シュウ:いろいろ考えるんですけど机上の空論だったり実際思うようにいかないとこも多々あってめんどくさいですよ。それが他人と合わせることだったりするとそりゃあもうね…。


マコト:まぁ、キサラギ君のは少し言い過ぎなところはあるけれど、精一杯・自分の限界までいくっていうのはそれはそれでまた見えたりするものがあるのは事実だね。相手が自分より上ってのはそこまで行けるという証明でもあるし目標になったり、それが仲間ならそこまで頑張れたり、そうやって生まれる道徳や倫理、哲学は生きてく上でそう得られるものではないだろうよ。

と、話がまた逸れてしまった。続けて?次は跳ぶ方かな?


ヒカル:うん、でここからが話したかったとこなんだけど、回し手とかけ声をやる人間はなるべく同じであった方がいい。ってのがぼくらの一致だったよね。


シュウ:ああ、そこね。結局マンガとかのクライマックス程全員の意思がシンクロとかないもんね。


ミドリ:?


キサラギ:少し飛ばしてね?つまり、回す人間が縄をくぐらせるタイミングを掌握してるから外からかけ声する人間は、そのタイミングをきっちり回し手の人間の体力なり息なり把握してベストでかけないといけないわけだ?


マコト:なるほど、さっき言った練度の問題になるね。実際、そこまで意識を共有できる程の練習量は積まないからかけ声は回し手がやるのがいいと。…回し手の人はそれはとても体力がいるポジションだね…。


シュウ:分担できればいいし、チームによってはやってたとこありましたけどね。でもどうしても長引くと縄の動きと見てるだけの人間の…好き勝手にやるかけ声がバラバラになってってましたよ。


ヒカル:で、ここでぼくが言いたいとこなんだけど、まずイメージして欲しいのがとことんそうやって突き詰めていった先にあとは全員の体力の問題になった時のところでね。


ミドリ:うわ、なんかやだ(´・д・`)


ヒカル:普通に跳んでくと50回もいくとかな…そのあたりから体力はなくなる。運動してないともう息上がるね。そうなると「もういいや」ってなるけどそれだと負けちゃうので更に先へいく為にまだ全員頑張るんだけどそこからがぼくとしては少し面白くて。


マコト:フム、続けて?


ヒカル:跳んでるとね、だんだん意識が遠のくの


キサラギ&ミドリ:あーーーー……。


シュウ:あの感覚はやっぱ言葉ではなかなか表現できないですよね。『意識が遠のく』としか言いようがない…。


ヒカル:で、視界がどんどん閉じてくんだ。けど、ここで重要なのが跳ぶ側は列の中でただでさえ視界の端を動き回る縄を見てないといけないってこと。回し手なんて端っこにいる人間の数人しか見えてない。だいたいの人は回ってる縄とそしてかけ声でタイミングを計ってる。


キサラギ:あー、で、脳みその話か。


ヒカル:うん、あの時の感覚ってさ、視界は閉じてくんだけどそれでも集中すれば声はけっこう届いてるんだよね。だから逆で考えてさ、視界と音だと音の方が脳は受け付けてるっていうか…えーと…うん、そんな感じなんだなって。


シュウ:情報量の違いから脳が処理できる優先度を脳自体が割り振ってるんでしょ。疲労ってこの場合脳みそに酸素がいってない、脳がどんどん処理能力を落としていってるんだから。


マコト:ふむ、確かに視界の情報量と聴覚から得る情報量はかなり差があるだろうね。視界は色・明るさ・距離etc、周囲から得る情報は五感の中で一番だからね。


キサラギ:音は要はタイミングに焦点を合わせりゃいいしな。目で縄追うのに比べれば圧倒的に楽だろうよ。ちなみに外界の情報を得る上で危険察知の役割は同様に視覚と聴覚がその大部分を占める。相手を無力化する上でスタングレネードってやつはほんと効果的に相手を…


シュウ:さぁ血の流れない素晴らしい文化活動の話の続きしようぜー!!?


キサラギ:ちっ…んじゃ、大繩跳びで詰めとして一番大事なとこ、もう見えてきたな。


ヒカル:うん、かけ声ってだから大事なんだ~♪


ミドリ:はぁ~…そういう話ね。そりゃそこまでかけ声大事なら回し手がきっちり最後まで声かけるか、見てる側も注意深く観察してかけないといけないか…。


シュウ:ま、最悪ギャラリーなら静かにしないとってとこまで頭で行きつきますけど、さすがにそこまでピリピリすると面白味というか盛り上がりがない。何より失敗した際のその生徒のつるし上げが起こってそこからチームとして瓦解して成果がマイナスなので、やっぱしみんなでなるべく回し手のかけ声に合わせるようにかけ声かけてましたよ。何より、一番声の大きいチームはそれはそれで一番楽しそうでしたし。120回跳ぶとこよりそっちが勝ちって感じでしたね。


ミドリ:そんな跳ぶの?!


ヒカル:うちらんとこは3年の時100回いったら満足しちゃったよね。ってかほんと無限っていうかその恐怖?で、誰か一人でもくじけるとおしまいだし。


スイ:………素敵……………………


マコト:スイ君………?


スイ:考えて考えて、それでも最後に力になるのが気持ちなんて…


ヒカル:………………(*'▽')

シュウ:……………(゜.゜)

ミドリ:……………('_')

キサラギ:……………( `ー´)

マコト:………………(^_^)


ヒカル:50回も超えると、っていうか失敗して時間内だからもっかい挑戦、もっかい挑戦ってしてるうちにもう回し手の声もすぐかすれちゃうんだよね。それでも声からしてて、そこ変われないから精一杯多く跳ぼうとか、代わりに声いっぱい出してやろうとか…


シュウ:ほんと、声だけは届くんですよね…。回数数えないでタイミングのかけ声、「ガンバレ!ガンバレ!」になってるチームとか…。応援って大事だなって思いましたね。最後に時間切っても跳び続けるとこは引っかかるまでですからみんなの注目浴びて、終わりは観客も他のチームもみんなが拍手してて…


ヒカル:なんか……また、やりたいよね☆


シュウ:やだよ。ってかもう僕ら大学生なんだし。無理です。それに、改善の余地はあったけど、あのチームではやりきったよ。


キサラギ:……………。


マコト:ふむ、いい思い出だね。


ミドリ:とりあえずあんた達の高校が普通でないのはわかった。


ヒカル&シュウ:わーーー……(;´∀`)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る