第45.5話 閑話と登場人物紹介

 これは、俺が異世界に来て、リーナたちと出会う前のこと――



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「ふあぁ……」


 徹夜でWRBをやっていたせいか、眠い。いやまあ、さすがに二徹すりゃあ誰だって眠くなるだろうが。


「珈琲でも飲んで寝るか」


 どうせ今は夏休み。高校で出された課題なんか夏休みの最初の週に終わったし、俺は部活もやってない。となると、必然的にいつもWRBをすることになる。


「ああいや、寝る前に飯を買いに行っておこうか」


 二徹した後だから、眠いとはいえテンション自体は高い。それに、今しがたWRBで死闘を繰り広げたばかりだ。すぐさまベッドに入るのは惜しい気もする。余韻に浸りたいからな。


「じゃあ、家の前のコンビニに、買いに行くか」


 一人暮らしが長いから、家事は一通り出来る。だから当然ある程度なら料理も出来るんだが……さすがに疲れているから、料理はしたくない。


「あー……そういや、買い出しに行った後にプレイ動画の閲覧数確認して……いや、それ以外にも、もろもろ確認しないとな」


 雀の涙ほどの親の仕送りじゃ暮らせないので、一応俺はユーチューバーの真似事をして生活費を稼いでいる。自慢じゃないが俺はWRBの界隈じゃ知られた名前だから、かなりの額を稼げている。

 この前は、俺と同じでトップランカーのライバルと戦った動画をアップしたんだが……閲覧数がいつもの倍くらいだった。アイツとの闘いは、どうも日本一決定戦みたいな様相を呈していたらしく、俺のファンとアイツのファンが同時に動画を見たので、凄いことになっていたらしい。

 ちなみに、俺が勝った。


「うおっ、まぶしっ」


 季節は夏。そしてカーテンを閉め切った部屋にいたからか、日差しが身に染みる。というか暑すぎて溶けそう。

 近くのコンビニ(徒歩1分)まで歩いていくと、なんか入口の前に数人がたむろっていた。ヤンキーがアイスでも食ってるのか?

 もし本当にヤンキーなら絡まれたくないので俺が迂回して入口に入ろうとすると……


「よぉ、兄ちゃん。金貸してくれよ」


「なぁ、見た感じ持ってるんだろ? ほら、早くぅ~」


 ……胸糞悪い光景だった。

 ったく、かつあげなら他所でやってくれよ。俺の見える範囲でやってるんじゃねえよ……

 俺は一つため息をつく。

 いつもなら――ちゃんと睡眠をとってる時なら、そんなの相手にしないだろう。せいぜい、睨むくらいのものだ。

 だけど、眠くて苛立っていたものだからか、俺はついそれに声をかけてしまった。


「なあ、そこ邪魔なんだけど」


「ああ!?」


 三人のヤンキーがこちらを振り向く。よく見ると、ここ最近この辺でよく見る顔のヤンキーだ。確か、最近暴走族が出来たとかなんとか聞いたから、きっとその関係者とかなんだろう。

 もっとも、構えも立ち方もど素人。喧嘩すら殆どしたことがあるのか怪しいレベルだ。恰好だけのヤンキーかな? 最近はそういうのが増えてしまって困るって警察のおっちゃんも言ってたし。


「だから、邪魔なんだよ。こんなところでやられると。やるなら人に見えないところでやれ。警察に通報するぞ?」


 とはいえ、眠くても殴りかかるほど俺もバカじゃない。ちゃんと手には携帯も持ってるし、通報する準備も出来ている。これでコイツらもすぐどっか行くだろ――


「うっせえんだよ! テメェ!」


「あー、気分を害したわ。罰金な」


「おら、有り金全部出せよ」


 どうやら、こいつらは予想以上にバカみたいだ。正直、ヤンキーやらせておくのも心配になる。

 一つため息。相手にするのもバカらしい。普通に警察に通報して――


「おら! テメェみたいになんも出来ねえ奴は縮こまって震えてりゃいいんだよ!」


 ――その瞬間、俺は目の前にいた男を殴り飛ばしていた。


「な、なにしやがるテメェ!」


「うるせえ!」


 さらに残りの二人もぶっ飛ばし、そいつらがわけわからないと言った表情で逃げていくのを見ながら俺は心の中のドロリとしたものを感じる。


「……シューヤみてえなこと言いやがって」


 シューヤの顔がフラッシュバックしたくらいで取り乱すとは……我ながら情けない。


「あ。あの」


 その時、絡まれていたおどおどした男が話しかけてきた。


「た、助けていただいてありがとうございました……」


 そして頭を下げられる。

 ……ああ、そうか。今のはそいつから見たら、俺が助けたように見えたのか。

 正直、機嫌が悪かっただけだし……最後のは、シューヤの顔が浮かんでカッとなっただけだしな。

 とはいえ、見捨てる気はなかったのは確か。そうじゃなくても警察くらい呼んだだろう。


「いや、誰にでも出来ることだ。大したことは無い」


 そう、今のは俺に出来たこと――つまり、誰にでも出来ることだ。

 だから、感謝されるほどのことでもない。


「で、でも、ありがとうございました」


 再び頭を下げて去っていく男。

 ……まあ、誰にでも出来ることとはいえ、礼を言われるのは悪くない。


「さて、じゃあ飯を買って帰るか」


 運動したせいか、急に眠くなってきた。

 あくびをしながらコンビニに入る。

 ああ、ジャ○プでも買っておくか。



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 そこで俺は目が覚めた。

 やれやれ、なんでもない日常を思い出すとは、俺もまだ向こうの世界に若干未練があるんだろうか。


「確かに、リアルWRBが出来るようになったとはいえ――あいつとは二度と戦えないわけだからな」


 武装無しにして、手数と回避で戦っていた、俺のライバル。

 東のYUYA、西の拳王とで、あの後も何度も戦ったっけ。


「あいつと、もう一度戦いてえなあ」


 そんなことを思いながら、俺はベッドから起き上がった。


「さて、と。今日も働くか」






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「ちょっとキャラが分からない」というご要望を受けましたので、章の途中ではありますが、登場人物紹介を書いておこうと思います。また、二章が終わりましたらちゃんとしたものをまとめようと思います。


登場人物


・ユーヤ

 本作の主人公。日本人で、異世界に飛ばされてしまった。第一世代機兵「ムサシ」の搭乗者で、ライネル王国最強の操縦者。現在の身分は騎士で、王家直属特別兵の主任。

 本名は「山上雄哉」で、今は「ユーヤ・ナイト・エディムス」と名乗っている。

 本人曰く「ただのゲーヲタ」だが、ただのゲーヲタが暗殺者とタイマンはれるわけねえだろとツッコミを入れたい。


・リーナ

 本作のヒロイン。チョロインではない。本名は「アンジェリーナ・ドウェルグ」

 実は19歳で、ユーヤよりも年上。ユーヤとは、戦場から逃げている時に出会った。機兵の操縦はへたくそだが、戦闘力は高く、心も強い。

 現在のライネル王国の、国王。前王「エドワード・ドウェルグ」の娘。


・ミラ

 本名「ミランダ・ドウェルグ」だが、クーデターを起こしたので、王家から追放されて、現在は「ミラ・ウェーンライト」と名乗っている。現在の身分は平民で、王家直属特別兵。

 第一世代機兵「ゴクウ」の搭乗者で、ライネル王国有数の操縦者。

 前王の娘で長女。


・ギル

 ユーヤが来るまでは、ライネル王国最強の操縦者だった。王家直属特別兵の一人。

 本名は「ギルバート・ザービル」。なかなか独特な「~である」という口調でしゃべる。

 軍人としてみんなから慕われており、前国王の信頼も厚かった。


・ライア

 今のところ作中(いろんな意味で)最強の男。三國○双の諸○亮孔明のようなイメージ。外見は似ても似つかないけど。

 本名は「ライア・アンテネラ」。王家直属特別兵の一人。

 機兵の操縦自体は出来ないが、第二世代機兵と喧嘩してもぶっ壊せると言われているほどの実力者。お前本当に人間か? いや、まだ噂の段階だから大丈夫かもしれない。

 丁寧な口調でしゃべるが、割とキツイことも言う。


・エド

 前国王、エドワード・ドウェルグその人。こいつもチート爺。

 失踪していたが、実は生きていた。

 裏から国を変えようと奮闘している人。


・レイニーばあさん

 一雲質屋のオーナー。本名は「ウィンサニー・ウェーンライト」で、リーナの師匠の、奥さん。当然、強い。

 人当たりのいいばあさんで、怖いものなし。


・クラウディア

 一雲質屋で働いていた女の子。本名「クラウディア・ウェーンライト」。少し変な口癖を持つ女の子。

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