「密室には悪魔がいた事件」探偵報告書
えいい
プロローグ 三人の意気込み(報告書序文)。および、まとめた人物の言い訳
☆野上隆之介の自己紹介
晴彗学園大学付属高校探偵部といえば、校内はおろか近隣の学校にまで広く名を知られている存在だ。名探偵の誉れ高い僕、野上隆之介が部長を務めるのだから当然である。
全国高校探偵選手権に出場すれば、優勝間違いなしである。しかし、その様な大会は無いので、残念ながら僕の名声を全国に轟かせる事はまだできていない。だが、それも時間の問題であろう。
それでもまだ、僕の活躍を疑う諸氏はこの報告書を読むといい。僕が解決した、密室首吊り殺人事件の全容が記されている。誰もが納得するはずである。
□芦屋真咲のひとりごと
野上隆之介の起こす厄介ごとに巻き込まれるのは珍しい事ではない。いつも自分で事件をでっち上げて、手に負えなくなると自分で勝手に解決を宣言する迷惑なヤツだ。
野上は俺を探偵の助手などと呼ぶが、そんな職に就いた覚えはない。だが、コイツが騒動を起こす事により、俺の裏の仕事がしやすくなるのも事実だ。
俺の名は、芦屋真咲。本業は後から記述する。
野上が殺人事件と吹聴している事件も、裏には人に非ざるモノの関与があった。
それをこれから書き残す。
○龍胆寺霧のあいさつ
こんにちは、私の名前は龍胆寺霧といいます。苗字は、りんどうじと読みます。野上君、真咲君と同じ探偵部に所属しています。
二人は好き勝手な事を言っていますが、そんな派手な活動をしている部活ではないので誤解しないでください。
ですが、六月に起きたある事件は、本物の探偵になったみたいで面白かったです。
その事件のせいで二人からは、黒猫探偵とか猫使いとか呼ばれるようになりました。
それは、その時に出来た珍しいお友達のせいなのですが…
その事件を、これから紹介したいと思います。
* * * * *
これから記載する文章は、ある事件について三人が書いた報告書をまとめたものだ。
なぜか自分が事件の尻拭いをする羽目になったので、全容を知るために三人に書いてもらったのだ。
しかし、三人の文章は、同じ事象を書いているはずなのに、つじつまが合わず、矛盾していて、支離滅裂だ。余計な事はたくさん書いてあるのに、まったく報告書の体裁をなしていないのである。残念な事に、他の二人に見せないことを条件に書かせたので、三人にまとめさせることもできない。
仕方無いので、自分でそれぞれの報告書の一部をテキトーに抜き出し、まとめてみた。
「適当」ではなく、「テキトー」なのであまり期待しないで欲しい。
三人寄れば文殊の知恵というが、三人集めた結果、真実はうやむやになった。
自分の事が信じられないなら、元の文章を読んでみればいい。早々に整合性を取るのを諦め、テキトーに繋ぎ合わせるしかやりようがなかった事に同意するだろう。
いずれにせよ、この事件によって、悪魔は新しいマスターと契約することになった。
そして、その契約者は世界の英知を手に入れたのだ。
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