第2話 桜川那子は江坂悠李に僅かな望みをかけると決めた (2)
高校中退=実家へ強制送還。そんな公式がふと、那子の頭に浮かんで、思わず身震いする。そうならない為には、卒業するしかなく……卒業する為には、クラスで授業を受けなければならないわけで……逃げ道のない答えに辿り着き、那子は大きな溜め息を吐いた。
また鬱陶しい連中と顔を突き合わせなきゃならないと思うと、それだけで気が重い。監視役の保健医がいないのをいい事に、那子はぐったりと机に突っ伏した。
金髪がサラリと頬にかかり、窓から差し込む日差しが、その髪色をよりいっそう明るく透かす。何度もブリーチを繰り返したせいで、背中まである毛先は触ると少しパサついていた。
『那子、その髪、いい加減黒くしたら? じゃないと、どこもバイト雇ってくれないよ?』
春休み、バイトを探していた那子に、瞳子が散々言っていたのを思い出す。
瞳子の言う通り、何ヶ所か受けたバイトの面接は全滅で、結局バイトは探せずじまい。このゴールデンウィーク中にはバイトを見つけようと、既にバイト面接の段取りを明日一件組んでいた。
――バイトの面接もあるし、痛んだところもカットして、髪も黒めに染めよかな…?
那子は机に突っ伏していた体をおもむろに起こすと、気を取り直す様に大きく伸びをした。
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