第2.3話 狙撃限界=限界射程
繰り返す演練は身となる。
寝ていても号令を聞いたら体が動くようにせよ。
―教育隊先任の話
素人に弾を渡すより訓練に弾を費やせ
―補給隊標語
―――
私にジャストサイズの野戦服が有った事に疑問を感じるべきだったんです。
まさか私サイズのストックが有るとは……。
「ごにょごにょな方法で手に入れたサイズだけど、ちょうど合って良かったよ」
その入手法について詳しく。
憲兵さん、こっちです。早く。この
「な~んて冗談だけどね。配属決まってから
う~ん……。手の大きさなんて身体歴に載ってない気がするけど……。
「それにしても嬢ちゃんの銃がソレになるとはなぁ」
え、これ私の銃って決まっちゃったの!?
「私はどちらかというと30口径の方が好きなのですが……。サイドアームでも良いので、もらっちゃダメですか?」
熊をとか撃つなら.357弾が欲しいけど、そうじゃなければ撃ち慣れた38口径が良いなぁ。
猪とか鹿も撃てるし。山鳥なんか撃つときは30口径より下じゃないとグチャグチャなっちゃうしね。
……あれ、私って猟をしに来てる訳じゃない気がするケド。
「30口径のソフトポイントだな。反射が気になると思うからスコープは要らないと思うが……あぁ、消音器は組み込みで付けてやる」
ん?その仕様って思いっきり……
「俺は猪肉好きなんだ。任務ついでに狩ってきてくれや」
やっぱり猟仕様じゃない。
いやいや、それ欲しいけどさすがにダメでしょ!バレたら怒られるって!
「大丈夫だって。ホローポイント10発くらい持ってりゃ対人狙撃用ってシラ切れる。俺はいつもそうしてる」
狙撃用だから消音器付き。って事なのね。
良いって言うならもらうんだけど、ホントにそれで良いの?
……って今更なのかな。25mmをポンと貸し出してくれる
「ありがとうございます。獲物が取れたらお礼しに来ます」
25mm訓練弾(弾頭は研磨して使いまわしです)ももらったし、まずは練習しに行きますか。
……。
…………。
「流石に……多過ぎました……」
満載の弾箱を40箱は頼みすぎました……。
リヤカーだから大丈夫と思ったけど……動かない……。
「いや、うん。人力で引っ張るのは無理だわ。まさか引っ張っていくつもりだとは思わなかったわ」
結局、トラックで送ってもらいました。
積み下ろしもやってもらって楽ちん楽ちん。
「さて、撃つぞー!」
「今日は何発ノルマっスか?昨日みたいに遅くなると晩飯食いそびれるから勘弁っスよ」
あ、うん。昨日はごめんなさい。
ついつい楽しくなって撃ち尽くしちゃったので……。
「大丈夫です!今日は控えめに800発だけですから」
むしろそれ以上撃ちたくても弾が無いのです!
このクラスの弾じゃ、射場で薬莢から詰めるのも難しいですしねぇ。
「ばしばし撃ってきましょー!ノイマンさんも撃ってみます?」
「いや、俺はまだ死にたくないっスから撃たないっス。んじゃ距離は6000で良いっスね?」
何よ。私が撃ててるんだから、大人の男なら簡単に撃っちゃいなさいよ。
……まぁ、私も軽減魔導使って無理やり撃ってるだけなんだけど。
「800発……。今日も残業っスか……」
いや、そこまで……掛かる前に撃ちます。はい。
(数時間後)
「的が可哀想なくらいズタボロになってるっス。もうパーフェクトに当たってるじゃないっスか」
もうこの距離ならパーフェクトね。
風吹いてる時の合わせ方も分かったし。
「今度は7000いってみましょうかー」
「マジっスか。まぁ、ヴェルーニちゃんなら出来そうなのが怖いんスけど……」
(数時間後)
「次、8000いってみましょー」
「あと何発有るんスか……」
「まだ400発は残ってますよ」
「……」
(数時間後)
「これが最大っスよ。10000以上は砲撃射場借りないと無理っス」
「流石にこれ以上飛びませんよ……」
なんかテンション上がって撃ちまくってたら10000で当てれる?着弾できる?ようになっちゃいました。
双眼鏡を借りて見ると、ゴロゴロと転がる弾頭が……。
いやぁ、流石にこの距離は飛ぶだけで精いっぱいですかー。
「いや有り得ないっしょ。なんでこの距離で当たるんスか」
そう言われても……。当たるように練習してるんだし……。
「意外と当たりますよ?撃ってみます?」
反動はともかく、精度がとってもいい銃ですから。この子。
なんで25mmでここまで精度が高いのか。って気もしますが……。
「射撃検定で2級の俺にゃ無理っス」
いや、胸を張って言う事じゃないと思う。
それでいいのか偵察班。
「当たるまで近付きゃ良いんスよ。横着して遠くから撃とうとするからいけないんス」
そういう問題じゃ……そういう問題か。
確かに、狩りなんかじゃ50m以内で撃つもんね。
でも……
「今度、ノイマンさんの射撃をみっちり特訓ですね」
撃てるに越したことは無いからね。
「とりあえず100で1000発くらい撃って感覚覚えて、せめて500までは当てられるようにしなきゃ」
「うへぇ……。俺、休暇取って良いっスか……?」
だーめ。ちゃんと練習しなきゃ。
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