第7話 メンバーはすべて海外組


 ワールドカップを目前に控えた5月、日本代表最終メンバーが選出された。


 その発表記者会見は、衛星放送によって世界中へと中継され、日本人はある種の感慨かんがいを持って各地でそれを見守っていた。


 もちろん全員が海外組だ。つまり、海外の強豪チームに所属し、その実力で生き残っている強者つわものぞろいである。もはや、国内組という言葉は誰も口にしなくなっている。


 見慣れたユニホームが並び、国歌が流れ、国旗がはためく。

 選手達は、その背に重い期待を背負い、立ちふさがる強豪国を撃破していく。


 かつて予選を勝ち抜くので精一杯だった代表チームも、今や優勝候補の1つにまで評されるほどに成長していた。その勇姿は、世界に散らばった多くの仲間を勇気づけ、たくさんの夢と希望を与えていく。


 彼らが活躍しているかぎり、世界は日本を忘れない。

 勝利のたび、選手が流す大粒の涙。

 それは、沈没してしまった祖国への追悼の涙であった。


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