第126話 指揮者やります!


「先生、僕がやります!」

 僕は勇気を出して手をあげた。合唱コンクールの指揮者に立候補したのだ。僕は去年も指揮者をやっているから、みんなもすぐに賛成してくれた。


 指揮者は責任重大だ。しっかりとやらないと、みんなの息があわなくなる。それに曲の間はずっと集中して腕をふり続けなくてはいけないから、とても疲れる。他のクラスでは、やる人がなかなか決まらなくて大変だったらしい。


 本当なら、僕だってやりたくない。僕は人前に立つのが大の苦手で、教室の前で発表するときでさえ、緊張で足が震えるほどなのだ。それに放課後に遅くまで残って、音楽の先生から個別レッスンだって受けなくちゃいけない。


 もちろん、引き受けた以上はきちんとやる。僕のひどい音痴がみんなにバレるのに比べれば、はるかにマシだ。


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