第48話 迷い人たち


「告白した方がいいかな? それとも、このまま親しい友人でいた方がいいかな? ねえ、どう思う?」


「俺なら、告白するね」

 個人的な悩みを、他人が解決なんてできるわけがない。

 だから俺は、自分ならどうするかという回答で誠意を見せることにした。


「即答か。いいな、君は単純で」

 失礼極まりないセリフを、俺は友情にじゅんじて聞き流す。


「おまえも単純になればいい。複雑なものほど壊れやすいんだ」

「ああ、もう! どうしたらいいんだ!」

 聞いちゃいない。


 本当に欲しいものと、絶対にいらないもの。

 この2つなら、迷うことはない。

 両方に利点を感じているからこそ、人は迷うのだ。


 やり直しができない以上、選ばなった方が正解だったとは誰にも証明できない。

 よって、結論は「どっちでもいい」あるいは「どっちでも正解」となる。


 と、こんなことを言ってやりたいのだが、言ったらきっと友人は怒るだろう。

 果たして言うべきか、言わざるべきか。


 迷うところである。

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