第73話 困ったときの神頼み


「次の定期試験では、どうかいい点数を……いや、せめて赤点なしで済みますように!」


 願い事が叶うとうわさの神社で、俺は心からそう祈った。なけなしの五百円玉まで使って。


 サッカー部で念願のレギュラー入りを果たしてからというもの、朝練から力が入ってしまい、授業中に居眠りをするようになってしまった。


 しかも部活の後は、家で机に向かう気力なんてなく、前回の試験では赤点を量産してしまったのだ。思わず神頼みをしたくなる状況なのである。


 すると翌日、サッカー部の顧問が選手を集めてこう言った。


「次の定期試験で六十点以下が一教科でもあった者は、レギュラーから外す。しっかり勉強するように。以上」


 一瞬、目の前が真っ赤になった。

 せっかく手に入れたレギュラーの座を失ってなるものか。やってやろうじゃないかと闘争心に火がついた。


 これが神頼みの結果なら、神様もなかなかやるな。俺はそう思った。


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