第63話 新しい一歩


 ついに私は、大学生になった。


 ビルの合間から、ひらひらと桜の花びらが舞い落ちてくる。初めて見る都会の春に、私は期待に胸をふくらませた。


 大学への進学、都会での一人暮らし。

 もちろん、まわりには反対の声もたくさんあった。でも家族は私を信じて応援し、協力してくれた。そして笑顔で送り出してくれた。


 自分で時間を決めて、家で勉強をする。これは思ったよりも大変だった。いろいろなものに気をとられ、勉強に集中できないのだ。


 そんな私を机に向かわせようと、掃除や洗濯、お風呂掃除に食事の準備、ぜんぶ家族の誰かが代わりにしてくれた。おかげで、私は私のために時間を使うことができた。合格できたのは、家族のおかげだ。


 明日は入学式。

 不安も多いけれど、貴重な4年間という時間を大切に使おうと思う。


 携帯の待ち受け画面。

 夫と娘たちの笑顔に励まされて、私は新しい一歩を踏み出した。 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る