勇者様は公務員/十一屋翠

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★★★ Excellent!!!

勇者は公務員だし、魔王はアパートに住んでて家賃のやりくりに追われてる。世知辛え。
ヒロインも村がピンチなのに、受付をたらい回しにされて書類を何枚も書かないとまず助けを求めることもできない。世知辛え。

しかし、社会というものにそって生きるならば、この世知辛さを噛み締めなければならないのだ。

勇者よ。魔王よ。役目なんて忘れて、真面目に働いちゃえばいいんじゃないかな。

ああ、そしたら物語が終わってしまうじゃないか。

世知辛え……。世知辛え……。世知辛え……。

★★★ Excellent!!!

 魔王も勇者もたくさんいます。
 タイトルでありますように勇者というものは公務員であり、税金で支えられております。国営勇者システムによって貧しい地域にも派遣されており。発生する魔王災害を対処する世界観です。
 ほのぼのコメディタッチですのでサクサク読めます。
 高笑いするコミカルな魔王や家賃の払えない魔王などと戯れますが、微妙に経済状況を入れてくるところが笑いを引きますね。
 テリトリーやお国事情があるせいか、勇者同士も仲がいいわけではないという。
 過去話がどう絡んでくるか見物ですね!

★★ Very Good!!


 公務員が堅苦しい手順で仕事を進めるのは、世の中のシステムを滞ることなく動かす為だ。
 皆が好き勝手動いていたら、その分どこかにしわ寄せがくる。そうなれば関係の無い所で損をする者が出るだろう。
 融通が利かない仕様は、世の中に生きる者全てが、義務を成し遂げ権利を行使し、ルールの中で自由に生きるために必要なこと。
 自分も家族も、隣の人も、知らない他人も人外の者も、魔王でさえも。皆が幸せを享受できるように考えられたシステム。

 よって、公務員に文句を付けてはならない。
 自分の時間が削られても文句を言ってはいけないし、無駄に思える作業を延々とさせられても愚痴ってはいけない。後回しにされたことを怒ってはいけないし、たらい回しにされたあげく大した得を得られなくても突っかかってはいけないのだ。
 それは必要悪。誰かが一方的に損をしないよう考えられたシステムなのだから。

 ……そうでも思わないとやってられない。



 無償で平和な世を守るのが、勇者の役目。
 その勇者が公務員ならどうだろうか?
 目の付け所が違う、不思議な設定の作品だ。

 その世界で一番得をするのは誰か? 
 この作品を読めばわかるだろう。ずばり、魔王。
 魔王は元々が強い生物だ。だから、隠していた力を解放することはあっても、基本ステータスが成長したりしない。主人公が旅をしている間、レベル上げに勤しむ魔王など、考えるだけで恐ろしすぎる。ゲームバランス的にあってはいけないだろう。

 これを踏まえて考えれば、世界で最も強いのは魔王を倒した二周目以降の勇者になる。
 こんな連中に闊歩されていては、魔王としては全く面白くない。
 登場した瞬間、駆逐されていては生まれてくる価値すら無くなってしまう。そうならないためにも勇者と事前に打ち合わせをして、妥協点を探り、アイデンティティを守りつつやられ役に徹する。これなら… 続きを読む