真新しさはない。けれど、この物語は地に足がついている。 お話はまだまだ序盤、これからもヴァンには苦難とそれに伴う幸福が待っていることだろう。何より彼自身がそれを望んでいる。 海外文学の翻訳本に多大な影響を受けていると思われる本作の文章からは灰褐色の石畳を幻視させられた。確かな石の質感がどういうわけか香ってくるのだ。 堅実なファンタジー作品が好きな人には大変お勧めできる一作だと、そう思う。