30.亜竜

 重い荷物を背負いながら、ディーは夕暮れの街並みを歩いていた。大通りからは遠く離れた細い道だ。廃屋寸前の家が並び、人通りはほとんど無い。この時間に一人で通るのは、少し不安を感じなくもない。だがもう慣れた道でもあった。

 家の一つに、ディーは向かう。他と同じくぼろぼろになっていて、人が住んでいそうには見えない。が、中から明りが漏れているので、使われているのだろう。

 開きっぱなしの扉を抜けて、中に入る。迷いなく階段を下りると、その先は酒場になっていた。店員と目を合わせると、店の奥の方を指さされた。いつもの部屋ということだろう。ディーは奥の廊下を進んで、部屋に向かった。

「入っていいぞー」

 ノックしようとしたところで、中から男の声が聞こえる。なんであたしだって分かるのかしら、と不思議に思いながら、ディーは扉を開く。

「よ」

 部屋の奥にのソファーには、足を組んでくつろいでいるステフが居た。軽く手を上げて挨拶してくるのに返しながら、荷物を下ろして彼の正面に座った。

「重そうだな、それ」

「色々依頼してくれたおかげでね」

 床に置いた背負い袋を、ステフの方に押し出す。彼は袋を開けて、中身を確認していた。鉱石や薬草、魔物のパーツまで、様々な物品が入っている。全てディーが集めてきたものだ。どこにも売っていなくて、魔物退治する羽目になったものもある。

 ディーが確認作業を眺めていると、ステフはちらりと視線を向けてきた。

「何に使うか聞きたいか?」

「べつに。どうして毎回のようにその質問をしてくるかの方が聞きたいわね」

「つまんないやつだなー」

 根掘り葉掘り聞こうとするやつもいるっつーのに、などとステフはブツブツと呟いていた。ディーは肩をすくめる。

「ん、大丈夫そうだな。この短期間でよく集められたな」

 ステフは懐から小さな袋を取り出し、放り投げてきた。受け取ったそれは、ずっしりと重い。中身はわざわざ確認するまでもないだろう。

「少し割り増ししておいた。イリーズも、さすがに無茶な期限だったと反省したらしいぞ」

「ありがと」

 ディーは深く息を吐いて立ち上がる。これで厄介な仕事が一つ片付いた。体力的にも精神的にも消耗させられたが、見返りは十分だ。懐にもだいぶ余裕が出てきたし、そろそろ装備を新調してもいいかもしれない。

「ディー」

「なに?」

 部屋を出ようとしたところで、ステフに呼び止められた。疲れた顔で振り返ると、彼は眉を寄せながら言った。

「最近働きすぎなんじゃないか? 休息も大事だぞ」

「あなたがそれを言うの?」

「いやー、そう言われると返す言葉がない」

 ステフは笑いながら頭を掻いていた。本気で心配していたのか、それともブラックジョークのつもりだったのか。どっちでもいいか、と思いながら、ディーはその場を後にした。


 いつもの酒場に戻って、ディーはカウンターでエールを飲んでいた。もう何度も来ているため、席に着くだけで酒が出てくる。最初のころは店員が話しかけてきたりもしたが、今ではほとんどない。完全に無言のまま帰ることの方が多い。

 さっきの店でもよかったのだが、どうも雰囲気が好きになれなかった。あそこは話し合いに使われることが多いのか、一人で来ている客がほぼいない。いても、誰かと待ち合わせをしているだけだったりする。

「やあ、ディー」

 ローブ姿の魔術師風の男が、隣の席に座る。ディーはちらりと視線を向けた。会ったことはあるはずだが、名前が思い出せない。

「なに」

「グレンが今何してるか知らないか?」

「なんであたしに聞くの」

 ディーは不機嫌そうに答えた。男は少したじろいだようだった。

「いや、あんたらよくつるんでたから……知らなさそうだな」

「知らない」

 男から顔を背ける。彼が今どこで何をしているのか知りたいのは、自分だって同じだ。用があるのに、全然会えていない。

「うーん、そうか。最近誰も見てないんだよな」

「へえ」

 それは初耳だった。単に、自分がタイミング悪く会えていないだけだと思っていたのだが……。

「他の町にでも行っちゃったのか。それとも……」

 男は途中で言葉を切った。その先は言われなくとも分かる。それとも、どこかで人知れず野垂れ死んでいるかだ。べつに珍しい話でもない。

 冒険者同士の別れなんて、こんなものなのかもしれない、とディーはぼんやりと考えた。エールを一口あおる。

「ディー、一つ仕事を受けないか? 本当はグレンに頼むつもりだったんだけど」

 仕事、という単語が耳に入って、ディーは男の方に顔を向けた。目線で先を促す。

「目的は魔物退治だ。依頼を受けてるわけじゃなく、部位を売って金にする予定だから報酬は決まってないが、一人金貨五枚以上にはなると思う。一日で済ます予定だ」

 一日金貨五枚とは、破格の報酬だ。酔った頭でも、それだけは分かった。

「いつ」

「それが、明日からなんだ。急に一人抜けてしまって、補充人員を探してる」

 明日は何かあったかなと考えたが、特に予定は無いはずだ。買い物でも行こうかと思っていたぐらいだ。

「いいわよ」

「ほんとか? 助かるよ」

 詳しい説明を始めようとする男に、ディーは口を挟んだ。

「話は明日聞くから」

 今話されても、ろくに理解できないだろう。明日の集合場所と時間だけ確認して、席を立つ。酒場を出て、宿へと向かった。


 目を開けると、ディーは周囲に視線を走らせた。棚に綺麗に並べられたナイフと、それとは対照的に適当に纏められた服が視界に入る。間違いなく自分の部屋だ。昨日はかなり酔っていたが、部屋までは帰ってこれたようだ。

 ベッドの上で身を起こすと同時に、昨夜の会話を思い出す。適当に依頼を受けてしまったな、と後悔する。だが、受けると言ってしまったものは仕方ない。

 まだ日は昇っていないようだ。約束の時間には十分間に合う。ディーは食事と身支度を済ますと、宿を出た。

 指定された集合場所は、町の出入り口の一つだった。街道に接続している大門ではなく、森を通る小さな道へと繋がっているところだ。ディーが着くと、既に四人の男たちが集まっていた。

「おはよう」

 昨夜話をした魔術師風の男が、片手を上げて挨拶してくる。ディーも同じように返す。彼が何という名前だったか、まだ思い出せない。

 残りの三人のうち、二人は彼と同じく魔術師のようだった。剣を携えているのは最後の一人だけだ。

 ずいぶん偏ったパーティだなとディーは思った。魔術師が居ないのはよくあることだが、逆に過半数を占めているというのは珍しい。

 どうやら、昨日の男がリーダーらしい。彼の先導で、町の外へと出る。森の道を黙々と進む。全員初対面に近いのか、それとも普段からなのかは分からないが、誰も一言も喋らない。

「それで、何を退治しに行くの?」

 ディーは、先頭を歩く男に遠慮がちに話しかけた。ここに来てまだ仕事の詳細を把握していないことを他のメンバーに知られるのは、少し気が引ける。男は今更気づいたかのように、ディーの方を見た。

「ああ、そう言えば説明してなかったか。ワイバーンだよ」

「ワイバーン?」

 眉をひそめて、ディーは聞き返した。非常に有名で、そして危険な魔物だ。最も有名な魔物であるドラゴンほどではないだろうが、討伐の難易度は最上位クラスだ。自分たちが敵う相手とは思えない。

「まだ子供だけどね。油断してるところを短期決戦で決めるつもりだ」

 彼女の懸念を察したのか、男は弁解するように言った。ディーは質問を加える。

「寝込みでも襲うつもり?」

「巣の位置までは掴めていないが、水飲み場にしている湖の場所は分かっている。ワイバーンが水を飲んでいる間に、俺たちの魔法で一気に攻める」

「ふうん」

 魔術師たちに視線を送る。それでこんなパーティ構成になっているわけだ。一撃必殺を狙って魔術師を増やすというのは、悪くない作戦だが……。

「あたしたちは囮役ってわけ?」

「いや、そう言うわけじゃ……」

 ディーの指摘に、リーダーの男は言葉を濁す。あたしたち、と言いながら、ディーは剣を携えた男に目をやった。彼は弁明するように手を振る。

「僕たちの仕事は、相手に先に気づかれた場合に攻撃を引き受けることです。牽制していればいいのでそこまで危険はありませんし、そもそも気づかれなければ前に出る必要はありません」

 彼の声を聞いて、どこかで会ったことがあるなとディーは思った。やっぱり名前は思い出せなかったが、ともかく。

(それを囮と言うんだと思うけど)

 と、ディーは心のなかで呟く。まあ、今更文句を言っても仕方ない。

「一回の魔法で倒せるの?」

「少なくとも大きなダメージは与えられると思っているが、やってみないと分からない。駄目だった場合はすぐに撤退するつもりだ」

「そんな簡単に逃がしてくれるのかしらね」

 相手は空を飛ぶ魔物だ。本気で追いかけられたら、逃げ切れるとは思えない。だが男は自信ありげに答えた。

「水飲み場がある湖の周りは森が深い。こっちが一度森の奥に入ったら、少なくとも空から追うのはほぼ無理だ。低く飛べば追いかけてこれなくはないと思うが、限度があるだろう」

「なるほどね。だいたい分かったわ」

 ディーはとりあえずは納得することにした。少なくとも逃げることに関しては、問題ないように思える。

(こいつらの魔法がワイバーンに通用するかどうかは、全く分からないけどね)

 そこが最も気に入らない点だった。本人たちがどう思っているかは知らないが、ディーからしてみれば運任せに近い。

(逃げることを前提に考えておいた方がいいわね)

 そう心に決める。魔物を倒せなかっただけなら一日無駄にしただけで済むが、逃げ遅れればそれまでだ。反省する時間すら残されないだろう。

 しばらく進んだ後、道を逸れて藪の中へと入って行った。以前に探索した跡なのか、周囲より若干草がけられた部分を通る。

 歩くごとに、森は深くなっていった。天気は雲一つ無い快晴であるにも関わらず、少し薄暗い。周りの木は太いものが多くなり、もうディーが腕を回しても足りないほどだ。木の密度も段々増えている。

 途中何度か休憩を入れつつ、さらに進む。やがて、一行は山の麓にぶつかった。正面はとても登れないほどの険しい崖になっている。先頭を歩く男は、山を回り込むように、崖沿いに右に進んだ。

「もう少しで例の湖に着く。近くまで行ったら、声は出さずに静かに歩いてくれ」

 彼の言葉に、剣を携えた男は生真面目そうに頷いた。ディーは、草を掻き分けてガサガサと音を立てる自分の足を見た。

(無茶言うわね)

 ワイバーンの聴力がどの程度かは知らないが、人以下ということは無いだろう。気づかれずに近づくのは不可能だ。待ち伏せできればいいのだが……。

「もうすぐ水を飲む時間のはずだ。ワイバーンを見つけたら、打ち合わせ通り同時に魔法の詠唱を始めよう。まずは翼を狙うんだ。飛ぶことさえできなくすれば、後は十分対処できる」

 残りの魔術師二人も頷く。こいつらの声をまだ聞いていないな、とディーはぼんやりと考えた。

 ある地点まで行くと、先頭の男は崖から離れる方へと向きを変えた。そこからさらに進んだところで、前方から光が差し込んできているのが見えた。森が途切れているようだ。あそこが目的地だろう。

 木の密度が減り、その先にある湖が見えてきた。それほど広くは無く、すぐに反対側まで泳げそうな程度だ。大小さまざまな鳥が、水を飲んだり泳いだりしている。ワイバーンを含め、魔物は全く見当たらない。

 一行は頷き合うと、湖に近い木の陰で腰を下ろした。息を殺して、湖の方を眺める。ずいぶん長い間、五人はそこで待機した。

 やがて、大きな羽ばたきの音が遠くから聞こえてきた。鳥たちが一斉に飛び上がり、逃げていく。その直後に、急降下してきた巨大な影が地面に着地した。体の大きさは牛ほどもあるにも関わらず、それを感じさせない軽やかな動きだ。

 ディーは唇にぎゅっと力を籠めると、借り物のボウガンを構えた。直接見るのは初めてだが、あいつが目標のワイバーンだろう。姿はドラゴンに似ているが、四足ではなく二足なのが違う。

(確かに子供みたいだけど……)

 成体ならもっと大きいはずだ。だがやつのサイズでも十分脅威には違いない。大きな足の爪は人間の体など引き裂いてしまえそうだし、さっきの着地のスピードで攻撃されたら、避けきれるかどうか自信が無い。

 魔物は悠々と水を飲んでいる。魔術師たちは、既に呪文の詠唱に入っていた。動きを少しでも見逃さないようにと、ディーはワイバーンを凝視し続けた。

 不意に、ワイバーンが水の中から顔を上げた。魔術師たちの声が聞こえたのか、ディーたちの方に迷いなく視線を向ける。ふわりと浮き上がり、体を向けてきた。

「ちっ!」

 舌打ちをして、ディーは走り出した。もう一人の男も同時に飛び出し、二人でワイバーンを挟むように左右に散った。魔物は一瞬、誰を狙うべきか迷うように首を巡らせる。

 走りながらボウガンを撃つ。矢は狙い違わず、翼の薄い部分に直撃した。が、あっさりと弾き飛ばされる。

(やっぱり駄目か)

 知能は低く、炎を吐いたりするわけではないものの、肉体的能力だけならドラゴンに匹敵すると言われる魔物だ。目か口の中でも狙わない限りダメージを与えられないだろう。

 攻撃されたのが気に入らなかったのか、魔物はディーに狙いを定めたようだった。高く飛び上がり、爪を向けてくる。

 ディーはぞっとしながらそれを見た。こちらに向かって滑空してきたら、絶対に避けなければならない。かすっただけでも致命傷になりかねない。

 だがワイバーンが動き出すより、魔術師たちの呪文が完成する方が少し早かった。

『力よ!』

 三人の声が綺麗に揃う。高速で走る衝撃波が、空間を歪ませながら魔物に迫る。数百匹の羽虫が通り過ぎていったような、不快な音が辺りに響く。

 しかし、それだけだった。ワイバーンが煩そうに翼を大きく振るうと、到達した衝撃波は何の効果も及ぼさずに消えてなくなった。リーダーの男は、愕然とした表情で魔物を見ていた。

「撤退だ!」

 彼の判断は素早かった。それを合図に、魔術師たちは森の奥へと逃げてていく。ディーも身を翻し、一番近くにあった木の陰に隠れた。

 視界を埋める木々から、ルートを計算する。ワイバーンの動きを見ながらタイミングを計れば逃げ切れるだろう。

「っ!」

 不意に、強い衝撃がディーを襲った。体のどの部分に何が起こったのか、咄嗟に分からない。一瞬意識を失いそうになる。

(攻撃された!?)

 振り向こうとして、体が大きく傾いた。足がもつれ、地面にしりもちをつく。そこでようやく、吐き気とともに頭部に強い痛みが走った。頭を打ったんだ、ということが今更分かる。

「……ぁ」

 目の前には、半ばから折れて千切れかけた木と、木の上部を爪で掴んで羽ばたくワイバーンの姿があった。木に向かって滑空して、力まかせに折ったんだろう。

 魔物が爪を離すと、木はディーの真横に倒れた。敵は冒険者に狙いを定め、攻撃を加えようとしている。この距離ではとても避けられない。逃げないと、と思うのだが、体が動かない。

 だがワイバーンの次の行動は、ディーにとって予想外のものだった。大きく羽ばたき、舞い上がって地面から距離を取る。警戒するような魔物の視線は、ディーの方を向いていない。

 唐突に、ディーの背後から声がかけられた。

「頼みを聞いてくれたら、助けてやってもいいぞ」

「分かった」

 振り向きもせずに、即座に答える。しばし間が開き、相手の驚いたような気配が伝わってくる。

「内容を聞かなくていいのか?」

「断れるわけないでしょ」

「まーそうだな」

 声の主は、草をかき分けて歩いてきた。隣に並んだその男に、ディーはちらりと目を向ける。巨大な両手剣を構えたステフがそこに居た。黒い刀身には赤い色で何かの文様が刻まれていて、禍々しい雰囲気を感じる。

「手伝う?」

「休んどけよ」

 彼はそう言うと、ディーを庇うように前に出た。

(どうやって倒すつもりなの?)

 ステフが持つ武器に目をやる。相手が高く飛んでいる間は手を出せない。滑空に合わせれば攻撃することは可能だが、危険すぎる。何か秘策があるんだろうか。

 だが策があったにせよ、それを披露する機会は訪れなかった。突然、ワイバーンが身を翻し、彼方に飛び去って行ったからだ。

 ステフは拍子抜けしたように剣を下ろす。ディーも飛び去る魔物をぽかんとした顔で見送った。魔物が人間を見逃すなんて、かなり珍しいことだ。

「根性無いやつだなー」

 彼はぽりぽりと頭を掻いた。ディーはふと思い出して、辺りに視線を巡らせる。

「他の冒険者は?」

「ん? 正面にいたやつなら、お前の方に敵が来るのを見て逃げてったぞ」

「そ」

 ディーは小さく息を吐いた。見捨てられたとも言えるが、妥当な判断だ。全員無事なようだし、まあよかったんだろう。

 立ち上がろうとして、ディーは大きくバランスを崩した。再びその場に座り込んでしまう。全身の感覚がふわふわして、まるで自分の体じゃないようだ。頭痛が酷くなったような気がして、ディーは顔を歪めた。

「頭の怪我は早く見てもらった方がいいな。おぶって行ってやろうか?」

 ステフが手を差し伸べてくる。彼の背中を見ると、何の荷物も背負っていない。ディーは訝し気に眉を寄せた。

「さっきの剣は?」

「片付けた」

「…あっそ」

 深く考えるのは止めて、彼の手を取る。どうやってここまで来たのかとか、自分たちがピンチに陥るまで黙って見ていたのかとか、色々疑問はあるが今は聞く気になれない。しゃがんで背中を向けてくるステフに、体重を預けた。

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