3.薬草採取

 手に持ったロープを何度か引っ張り、安全を確認する。ロープの片方の端は自分の体に、もう片方は木の幹に結び付けられている。

「行ってくるね」

「はい。気をつけて」

 クレアに見送られ、レティシアは崖を下り始めた。崖とは言っても、切り立った、というほどではない。前を向いて歩ける程度だ。足を滑らせないように、一歩ずつ慎重に進む。

 少し降りたところに、小さな白い花が咲いていた。顔を近づけて、じっくりと観察する。目的のもので間違いないようだ。

(これを十本ね)

 冒険者ギルドで受けた、薬草採取依頼の内容を思い出す。小さな花を、根元からちぎり取った。

 辺りを見回すと、同じ花が何本か固まって生えているのが目に入った。それを採りに行こうと、崖を平行に進む。

「レティ」

 クレアから声をかけられ、レティシアは崖上を見上げた。こわばった表情で、前方にある何かを指差している。

 彼女が指差す先には、宙を旋回する鳥型の魔物がいた。レティシアの居る崖から一定の距離を保っていて、こちらを観察しているようにも見える。

 レティシアは、唇をぎゅっと結んだ。腰に刺した、護身用のナイフの柄に手を添える。いつも使っているメイスは、上に置いてきてしまっている。

 魔物はしばらく近くを飛んでいたが、こちらに気づかなかったようで、やがてどこかへと飛び去っていった。レティシアは体の力を抜いて、短く息を吐く。魔道具で援護しようとしていたクレアも、ほっとしているようだ。

(早く終わらせなきゃ)

 焦らずに、かつなるべく急いで、レティシアは花の採取を続けた。


「お疲れさま、レティ」

「うん」

 崖を上りきると、レティシアは近くの岩に腰かけた。クレアから水を渡され、少しずつ飲む。

 取ってきた花をクレアに渡すと、彼女はそれを梱包して背負い袋に詰めた。その袋は、今までに集めた薬草でパンパンに膨れている。

 依頼で採取しなければいけない薬草は、あと三種類だ。一番大変で、危険があるのは今終わった。残りは単純に面倒なだけのはずだ。

「次探しに行こっか」

「休憩は、もういいんですか?」

「うん、なるべく早く帰りたいし」

 ロープを解いて、レティシアは立ち上がった。大きく伸びをして、体をほぐす。

 森の中を進んでいると、様々な鳥の鳴き声が耳に入る。普段は真面目に耳を傾けることも無いが、今日はいつもより余裕がある。

「鳴き声綺麗だね」

「はい。あれは、求愛のために行っているそうですよ」

「きゅうあい?」

「ええ。つまり、つがいを見つけるためです。子供を残すための大切な行為なので、頑張って、綺麗な声を出しているんでしょうね」

「そうなんだ」

 レティシアは、改めて鳴き声に耳を傾ける。人間で言うなら、綺麗に着飾ることに当たるのだろうか。自分には、あまり縁がなかったが。

 突然、鳥の声が止んだ。バサバサと音を立てて、複数の影が木から飛び去っていく。冒険者二人も、その場で立ち止まった。

 横に居るクレアが、レティシアの肩を叩いた。手で示す方向に目を向けると、森の奥に大きな獣がいた。向こうも冒険者たちに気づいているようで、じっとこちらを見ている。だが獣はすぐに、走り去って行った。

「魔物じゃなくてよかった」

 レティシアが呟く。この辺りには、さっきの鳥型以外で生息している魔物は居ないはずだ。しかし、遠くから移動してくる可能性も無くはない。

 人間以外で魔力を持つ生き物は全て魔物と呼ばれるが、その性質は他の獣とは大きく異なっていた。ほとんどの魔物は、たとえ全く勝ち目がない戦いでも、積極的に人間を襲ってくる。人間の持つ特殊な魔力に引き寄せられるからだとか、そう運命付けられて生まれたからだとか色々言われているが、真実は明らかになっていない。

「そう言えば、魔物も子供を作るのかな」 

 歩き出しながら、レティシアはふと思いついたように言った。

「種類によりますね。獣に近い魔物は、作ることが多いそうです」

「そうじゃない魔物はどうやって増えるんだろう」

「さあ……スライムなら、分裂して増えるそうですけれど」

 クレアが首を傾げる。彼女の言葉を聞いて、レティシアは嫌な記憶を思い出した。

 スライムは粘液状の体を持つ危険な魔物で、通常の武器ではほとんど傷を与えられない。倒すには、事前に炎系のトラップを仕掛けて誘導するか、強力な魔法もしくは魔道具の助けが必要だ。さらに、少しでも相手の体に触れると一瞬で内部に取り込まれ、そうなれば助かる見込みはほとんどない。

 自分たちが普段行くようなダンジョンには、まず現れない相手だ。だがレティシアは過去に一度だけ、天井に張り付くスライムを見た事がある。事前に発見できたから良かったものの、もし気づかずに下を通っていたら……。

「そろそろ、次の薬草が生えているはずです。…どうかしました?」

「ううん、なんでもない」

 身震いするレティシアを、クレアは訝しげに見た。レティシアは首を振ると、道から外れて薬草を探しに行った。

 

 次の薬草も首尾よく入手して、二人は再び森を歩いていた。日はだいぶ傾き始めていたが、この調子で集めれば、暗くなる前に森を出ることができるだろう。

「レティ、伝え忘れていましたけれど、クレッグさんにお願いしていた魔道具、売れたそうですよ」

「ほんとに?」

 レティシアが、顔を輝かせながら聞き返した。クレッグというのは、二人がよく世話になっている魔道具店の店主の名前だ。

「ええ。金貨五枚だそうです」

「へえー。何に使うのかな」

 最初は彼に直接買い取ってもらおうとしたのだが、売れそうに無いからという理由で拒否されてしまった魔道具だ。そこで、もし売れたら代金を受け取るという条件で、店に置いてもらっていた。

 その魔道具は、指先ほどの大きさの球体で、発動させると少しだけ上に跳ねる。それだけの機能しかなく、何の役にも立たないガラクタだ。元々ガラクタだったのか、それとももっと大きな魔道具の部品だったのかは、今となっては分からない。

「貴族の使いらしき方が、買って行かれたそうです。子供のおもちゃにでもするのかもしれませんね」

「ふーん」

 金貨五枚という値段は魔道具としては下限に近いが、気軽に出せる金額でもない。貴族にとっては、大した額ではないんだろうか。

「金貨一枚は、手数料としてお渡しする約束ですから、私たちに入るのは四枚ですね。やっぱりあの髪留め、買おうかしら」

「え、ほんとに買うの?」

 レティシアは眉をひそめた。王都の有名な職人が作った髪留めだとかいう触れ込みで、確か金貨数枚の値札が付いていたやつだ。その売り文句も本当かどうか分からないが、とにかくクレアはデザインが気に入ったらしい。

 二人で稼いだお金は、半分は共有の財布に入れ、残り半分は二人で分けて個人で持つことに決めている。クレアが自分の手持ちから買う分には、口を出すことではないのだが……。

「いいじゃないですか。レティもアクセサリーぐらい、買ったらどうです?」

「いらないよ、私は……。魔道具だったら欲しいけど」

「貯金、溜まってるんでしょう? たまには、お洒落にもお金を使わないと……」

「あれは新しい武器を買おうと思ってるの」

 レティシアは口をとがらせた。冒険に必要なものは共有の財布から買うことになってはいるが、それだけでは武器の新調などなかなかできない。

「そうですか……魔道具の武器が、どこかで手に入ればいいんですけれど」

「うーん、もしあっても大体剣だし」

 昔の人の趣味なのか、何か理由があるのか、魔道具の武器と言えばほとんど剣だった。魔道具の剣には『魔剣』という通称がついているぐらいだ。レティシアはメイスを主に使っているので、魔剣を拾っても売るしかない。

「そう言えば、この前拾った魔剣はどんな効果だったの?」

「…ああ、あれですか?」 

 少し考えてから、クレアがぽんと手を打つ。ダンジョンで出会った、強力な自動人形が装備していたやつだ。

「あれは結局、分からなかったんです。効果があるかどうかも」

 ため息をついて、先を続けた。

「剣に篭っていた魔力も少なかったので、すごく安く買われてしまって。本当は手元に置いておこうかと思ったんですけれど、ローレンツさんたちと、分けなければいけなかったでしょう?」

「うん」

「買い取るほどでもないかと思って、手放してしまいました」

 と、残念そうに言う。売りに行った時はレティシアが居なかったから、決められなかったのかもしれない。

「コアの魔石も内部の構造も、他の自動人形と変わらないなんて、絶対おかしいんです。何か、秘密があるに違いありません」

 ぶつぶつと言うクレアに、レティシアは首を傾げる。

「クレアが見ても、変なところはなかったんでしょ?」

「ええ。でも私が確認したというだけでは、参考にはなりません」

 そうかな、とレティシアは疑問を感じた。クレアの魔道具に関する知識は、かなり豊富だ。詳しく分からなかっただけならともかく、全く違いに気づけなかったなんてことがあるんだろうか。

(もっといい魔道具をたくさん買えれば、クレアの知識も生かせるのに)

 二人が持っている魔道具は、ほんの数点だ。魔道具の知識があればダンジョン探索にも役に立つとは言え、やはり魔道具使いは多数の魔道具を持っていてこそだ。目の前の魔物や障害にどんな魔道具が有効か分かっても、手元に無ければ意味がない。

(でもそうなったら、私は要らなくなっちゃうかな)

 レティシアは気持ちが沈んだ。この前から、ついこんなことを考えてしまう。クレアと性格が合わないんじゃないかなんて、変なことを言われたせいだ。

「レティ、調子悪いの?」

 心配そうな表情で、クレアが顔を覗き込んでくる。レティシアは慌てて首を振る。

「そんなことないよ、大丈夫」

「そう? 体調が悪くなったら、すぐに言ってくださいね」

「分かった、ありがと。…あ、あれじゃない?」

 道の脇に、目的の薬草らしき植物が見えた。今度は探す手間も必要無さそうだ。二人は早速採取を始めた。


 またしばらく歩いた後、進む先に広がるものを見て、二人は顔を見合わせた。それに近づくと、同時に立ち止まる。

「もしかして、この中なの?」

「そうみたいですね」

 依頼人から貰った資料を再度確認して、クレアは頬に手を当てた。次が最後の薬草だ。これさえ終われば街に帰れるのだが。

 二人の目の前には、ちょうどレティシアの目の高さぐらいの雑草が、びっりしと生えていた。向こう側が全く見通せない。

「…じゃあ、手分けして探そう」

 レティシアは首を振った。両手で雑草を掻き分け、群生地帯に侵入する。

 雑草の密度は高く、茎は太くて丈夫だった。掻き分けて歩くのも一苦労で、油断すると転びそうになる。

「う」

 辺り一面に草の臭いが充満していて、くらくらしてきた。臭気の塊に、どっぷり浸かっているような気分だ。

 退け損ねた草の葉が、頬を浅く切った。びくりと体を震わせる。手袋をはめた手でぬぐってみると、幸い血は出ていないようだった。

(もうちょっと背が欲しいな)

 傷をさすりながら、クレアの方へと首をひねる。彼女の顔は、ちょうど草の上に出ていた。

(背を伸ばす魔道具でもあればいいのに)

 視線を前に戻して、レティシアはため息をつく。今日みたいに草が邪魔だとか、店で棚の上の商品が取れないぐらいならまだいい。しかし、ダンジョンで仕掛けに手が届かなかったり、魔物の弱点に攻撃できなかったりすることだってある。場合によってはかなり困る。

 少し進んだところで、急に開けた場所に出た。レティシアが一歩踏み出すと、足元でべちゃりと音がする。その一帯だけ、地面がぬかるんでいるようだった。

 そこに生えていたのは、今までの雑草とは違う、膝の高さほどの植物だった。細い茎に、細長い葉がたくさん付いている。

「ええと」

 レティシアは、荷物から資料を取りだした。そこにある薬草の絵と、目の前の植物はよく似ていた。

(偽物もあるんだよね)

 資料には、二つの植物の絵が並べて描かれていた。片方が目的の薬草で、もう片方は何の効能もない雑草だ。見分け方も載っていたが、字の読めないレティシアには意味の無いものだ。そのかわり、クレアに絵で説明を加えてもらっている。

 それによると、本物と偽物は葉の形が違うようだ。この二種は、すぐ近くに混ざって生えるらしい。だが目の前のいくつかの植物を見比べてみても、どれが本物なのかさっぱり分からなかった。

 クレアを呼ぼうと思って辺りを見回してみるが、彼女の姿は見えなくなってしまっていた。木の陰にでも隠れてしまったのかもしれない。

 突然、すぐ近くからガサガサと草を掻き分ける音が聞こえてきた。ちょうど、今居る開けた場所のすぐ外側、雑草の中からだ。レティシアは、身を硬くした。

(獣?)

 音がする位置はあまりに近い。さっきまでは音などしていなかったのだから、レティシアが来る前から潜んでいたことになる。獲物を待ち受けていたのだろうか。

「おや?」

 だが声とともに現れたのは、一人の男性の姿だった。這って進んできたのか、雑草の壁から顔だけ出している。いまいち年齢が分からないが、少なくともレティシアの倍以上はありそうだ。

「こんにちは。あなたも薬草探しですか?」

 男は立ち上がると、人の良さそうな笑みを向けてきた。背はレティシアよりはさすがに高いものの、男性としてはかなり低かった。その代わりというわけではないだろうが、横には大きい。

「はい」

「なるほどなるほど。この辺りは薬草が豊富ですからねえ」

 繰り返し頷きながら、男は目の前にある膝丈の植物を一本抜いた。少しだけ目をやって、腰に着けた袋に入れると、次の一本を抜く。

「どれが薬草か分かるのですか」

「え? …ああ、分かりますよ。よければ見分け方をお教えしましょうか?」

「助かります」

 男の説明は丁寧で理解しやすく、レティシアでも本物と偽物を見分けられるようになった。てきぱきと、必要な分だけ薬草を回収する。

「私は商人のユグと申します。あなたは冒険者ですかな?」

「はい、そうです。レティシアと言います」

「ここへは依頼で?」

「はい」

「ふむふむ。あなた、崖にある白い花を採りませんでしたか?」

「え」

 薬草を袋に詰めていたレティシアは、驚いて顔を上げた。

「はい、採りましたが……どうしてそれを?」

「それはですねえ。あの花は、普通これとセットで使われるんですよ。ですから、もしかしたらと思いましてね?」

 膝丈の薬草を振りながら、ユグが嬉しそうに言う。

「もし可能であれば、二、三本でいいので白い花を譲っていただけませんか? 私一人では、ちょっと採りに行けないんですよねえ」

「それは……」

「もちろん、代金はお支払いしますよ。相場より少し上乗せするということで、いかがですかね?」

 ユグの提案に、レティシアは迷った。依頼主からは、白い花は採取するのが大変なので、最悪数が揃っていなくてもいいと言われている。その分報酬は減額されるだろうが、割り増しで買ってくれるのならここで売るべきかもしれない。それに、ユグには薬草採取を助けてもらったことだし。

「…すみません。依頼を受けて集めたものなので」

 しばらく考えたが、結局は断ることにした。ユグに恩があると言っても、やはり依頼が優先だろうと思ったからだ。

「そうですか……分かりました。それなら仕方ないですねえ」

「手伝っていただいたのに、すみません」

「いえいえ、構いませんよ。無茶なお願いをしたのはこちらの方です」

 気を悪くした様子もなく、ユグが首を振る。薬草を入れ、袋の口を縛った。

「では私は、まだ用事があるので。…そうそう、最近は街の広場で露店を開いているので、よければ覗いていってください」

「はい。ありがとうございました」

 軽く会釈して、男は去って行った。レティシアも頭を下げて見送る。

「どなたか、いらっしゃいました?」

 話し声を聞きつけたのか、遠くの方からクレアが歩いてきた。

「ちょっとね。薬草の見分け方を教えてもらってたの」

「あら、見つかったんですか?」

「うん。これで全部集まったよね」

「ええ。念のため、もう一度確認しましょう」

「わかった」

 来た道を戻り始めるクレアに、レティシアはついていく。二人で雑草地帯の外へ出て、最後の確認を始めた。


 次の日二人は、依頼達成の報告をするため、とある屋敷の一室に来ていた。ソファーには、若干緊張した様子のレティシアと、いつもと変わらないクレアが並んでいる。向かい側の席には、依頼人の中年男性が座っていた。

「む!」

 男は、テーブルの上に並んだ大量の薬草を一つ一つ調べていた。最後の薬草を調べ終えると、目を見開く。

「足りないものがありましたか?」

 不安そうに、レティシアが尋ねる。いやいや、と男は首を振って笑った。

「全部揃ってるよ。揃ってるから驚いたんだ」

「それが依頼内容でしたから」

 レティシアは内心首を傾げた。数が足りなくてもいいのは白い花だけで、その他は全て指定の数だけ採ってくる約束だったはずだ。

「それでも全部集めてこないやつが結構いるんだ。そのくせ報酬は全額よこせ、じゃないと薬草は他に売るなんて言い出す」

 男は手のひらを上に向け、両肩を上げた。

「とにかく助かったよ。これもちゃんと揃ってるしね」

 白い花を指差す。懐に手を入れると、レティシアに数枚の金貨を手渡した。

「…ええと」

 レティシアは、困ったように眉を寄せた。約束の金額より少し多い。

「多めに渡した分は、良い仕事をしてくれたことへのお礼だ。旨いものでも食べてくれよ」

「ありがとうございます」

 素直に頷いて、冒険者の二人は立ち上がった。

「それでは、失礼します」

「ああ、またよろしく」

 手を上げる男に礼をして、二人は部屋を出た。屋敷の出入り口を抜けて、街の大通りを歩く。

「よかったですね、レティ」

「うん」

 レティシアは頬をほころばせた。魔道具が売れた代金も入ってくることだし、結構な臨時収入だ。

「では、早速お買い物に行きましょう」

「え……何か食べるの?」

 さっきの男の言葉を思い出して、レティシアは言った。まだ日が傾き始めたところで、晩ごはんを食べるには少し早い。

「違います、アクセサリーです」

「ああ」

 なるほど、とレティシアは頷く。例のやつを見に行くんだろう。

「分かった、行ってらっしゃい」

「なに言ってるんですか。レティのアクセサリーを、買いに行くんですよ」

「え」

 私はいい、と反論する間もなく、クレアに腕を引っ張られる。

「待ってクレア、行っても何も買わないよ。今、お金貯めてるんだから……」

「大丈夫です、お金なら私が出しますから」

「えええ……」

 いつに無く強引なクレアに引きずられ、レティシアは強制的にアクセサリー店に行くことになった。買う買わないで揉めたものの、店で一番安いイヤリングを購入するということで、二人は妥協したのだった。

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