第7話 穏やかに進行する事態
懐かしい夢を見ていた。といっても、それはほんの一年前のことだったけれど。
座り込んだ私の前に立つ姿。大きくはないけれど、不思議と信頼できる背中。その背中には今、大きな傷があった。左上から右下に斜めに切り裂かれた傷から、止まることなく赤色の血が流れ出していて、黒い服をさらに黒く染めている。
もう過ぎ去ったことでありながら、記憶には鮮やかな赤色が残っていた。私を安心させるために、無理をして笑みを浮かべたアイツの顔も。
アイツが怪我をしたのは、私のせいだ。
なのに、アイツは一言も私を責めなかった。それどころか、背中から血をだくだくと流しながら、私に怪我はないかと聞いてきたのだ。
まずは自分の怪我を心配しろと。私を気遣う前に、止血をしろと。笑ってないで、怒れと。私を責めろと。一発くらい、殴れと。
言いたいことはいっぱいあった。絶対に言わなきゃいけないこともあった。
でも、言えなかった。
こんなときばかりは、自分の性格が嫌になる。言いたいことが言えないというより、素直な言葉にできないのだ。胸の奥にある言葉をまっすぐ出せばいいのに、言葉は私の喉を通ったところで曲がりくねってしまう。
だいたい、アイツも悪い。
怒鳴ってくれれば良かったのだ。お前のせいで怪我をしただろうがとか、なにやってるんだとか。私を一言でもいいから、責めてほしかった。そうすれば、私だって少しは開き直れたのに。女の子にも怒れないとは、アイツも情けない。
……いや。
本当に情けないのは、私の方だった。私は、ただの臆病者なのだ。言いたいことも言えなくて、言おう言おうと思ううちにタイミングを逃して、結局言葉にできなくて。
いつも、そうなのだ。
思っていても、悩んでいても、言葉はなかなか出てきてはくれない。やがてそんな思いは時間に取り残されて、気づいたときには最初の輝きを失っている。
本当に、情けない。
ああ、もう。素直になりなさいよ、リナリア=リーフォント。いつまでそうやって生きていくつもりよ。一生顔を合わせないでいるの?
何度も繰り返した問いかけは、いつも答えがでない。
分かってはいるけどさ。分かってたって、簡単にできないことだってあるのだ。たとえば、素直になって言葉を交わすとか、いつもにこにこと笑顔でいるとか。当たり前のようにできる人には、そりゃ簡単なんだろうけど。できない人間には、本当に難しいのだ。
ああもう、なんで夢の中なのに落ち込んでいるんだか、まったく。そもそも、全部全部ぜーんぶアイツが悪いのよ。アイツがびしっと私を叱っていれば、それで問題なかったのよ。アイツが無駄に優しいせいで、私がこんなにうじうじと悩むことになってるんだから。そうよ、アイツの方にも責任はある。
結局まあ、いつも通りの結論になって、私の朝は始まるのだった。
φ
アーリアル魔術学院。
この街の中心にある、通称「学院」と呼ばれる場所。そこでは多くの人間が、魔術や武器の扱いといった戦技から、地理学や建築学までを広く学んでいた。
当初、学院は迷宮を攻略するために作られた施設だった。才を持つ人間に技術を与え、優秀な冒険を数多く排出してきた。迷宮で名を馳せた人間のうち、少なくない人数がこの学院から旅立って行った人間であった。
学院が創立されてから長い間、クラスは2つだけだった。しかし、時代が進むにつれ。街が大きくなり、人が賑わうようになってから、学院は形を変えた。
迷宮を探索することよりも、優秀な人間を育むことに力を置き始めた。実技主体であった教育方針は姿を潜め、机上での理論が増えた。幼等部も設立され、今では子供たちが一般的な基礎学力と教養を身に付ける役割も担っていた。
各学年の制服である色とりどりのマントを揺らしながら、多くの学生が歩いている。学院の中心であるフルブアの泉では、いつも学生の姿を見ることができる。講義のためにそれぞれの教室へ向かうにも、大食堂に行くにも、ここを通るのが一番の近道だった。
広場の隅に置かれたベンチに座っていたリナリアは、行き交う学生の流れから目を外し、背もたれに体を預けるようにして空を仰いだ。
太陽は中天に差し掛かっており、空は青く澄んでいた。降り注ぐ陽光は優しく心地良いものだったが、あと3ヵ月もすれば殺人光線のような威力を発揮するだろう。
学生たちの奏でる喧騒を遠く聞きながら、空を流れていく雲の塊をぼんやりと眺める。
木陰の白いベンチに座り、空を見る。そんなリナリアの姿は、傍目から見れば一枚の絵のようでもあった。
ハイクラスの一年生を表す、白のラインが一本入った赤色のマント。そのマントよりもさらに鮮やかな色で、陽光にきらきらと輝く紅の髪は長く伸び、黒いリボンによって後頭部で纏められている。黒を基調としたシックな制服に包まれた体は華奢で、スカートからすらりと伸びた白い足に目を奪われるのは男性だけではないだろう。
青少年の思い描く美少女という幻想のひとつをそのまま再現したかのような容姿に加え、学年主席の頭脳。学院で知らぬ者はいないというほどではないが、無名というにはあまりに多くの人に彼女の容姿と名前は知られていた。
そこかしこから注がれる視線を気にした風でもなく、リナリアはただ空を眺めていた。
時刻はすでに正午を回っている。昼食休みのまっただ中だ。学生は仲の良い友人と連れ添って、食事をするか、談笑をするか。少なくとも、ひとりでいる学生はあまり多くない。
そんな中、ひとりっきりでベンチに座るリナリアの姿は、本人が思うよりも随分と目立っていた。
誰かと待ち合わせだろうか、恋人でも待っているのだろうか。昼食時の雑談として、遠巻きにリナリアを見ていた学生たちの間で、そんな会話がされる。
けれど、リナリアは誰と約束の待ち合わせをしたわけでもなく、そんな相手もいない。基本的に、彼女の交友関係は恐ろしく狭い。というより、友人らしい友人はひとりとしていなかった。本人もそれで困ったということもないし、欲しいと思ったこともないため、結果的にひとりでいることが多かった。
少なくない頻度で、男子生徒や下級生が食事などの同席の誘いをしてくるが、大抵は断っている。リナリアからすれば、他人といることは疲れるだけだった。
そもそも、と思う。
自分はどうやら人付き合いのうまい方ではないらしいと、リナリアは最近になって気付いた。
どうにも本心でつき合えないというか、ついつい思ってもいないことを口にしてしまうというか。ありのままの自分を相手に見せられないというか。誰かといても、常に自分が一歩離れた位置に立っているようで、そういう付き合いに疲れてしまった。
ある時、学院にいる変わり者と有名な男子生徒に、「り、リアルのツンデレだあ!」と指をさされたことがあったが、何となくイラッと来たので問答無用で吹っ飛ばしてしまった。もう少し詳しく聞いておけばよかったと、雲を見つめながら考える。
と、不意に視界が暗くなる。どうやら、誰かの手で遮られたらしい。
誰が、と思うよりさきに、犯人の声が聞こえてきた。
「なにを黄昏ているんですの、あなた。深窓の令嬢を気取ったところで似合いませんわよ?」
ああ、そういえば。
自分にもし友人という人間がいるのなら、たぶんコレだろうなと、視線を空から下ろしながらそう思う。
そこに立っていたのは、はちみつ色の髪をクルクルと巻いた少女だった。マントはリナリアと同学年を示す赤色だ。腰に手を当てて平らな胸を張った姿は、彼女が己に持つ自信を表しているようだった。
身長が低いせいで子供っぽく見えるが、これでもリナリアよりも2つ年上なのだ。昔は病弱でいつも寝ていたという話が、リナリアにはときどき信じられなくなる。
「……きーきーうるさいわよ、カティア」
カティアと呼ばれた金髪クルクルの少女は、小さい体を精一杯大きくして、嫌みったらしく口を開いた。
「あら。どこかの誰かさんが似合わないことをしてらっしゃったから声をかけて差し上げたのに、そんなお返事? これだからお猿さんは」
「あらあら。お猿さんでごめんなさい。でも、そのお猿さんに実戦授業で遅れを取ったのはどこのリスさんだったかしら」
「……むかっ。誰がリスですって? だいたい、あなたは攻撃魔術特化で、わたしは補助魔術特化でしょう。差が出て当たり前ではなくて?」
「さすが、言い訳は得意なのね。角うさぎにびくびくしていたカティアさんのお言葉とは思えないわ」
わざとらしくリナリアが驚いてみせると、カティアの額に青筋が浮かんだ。眉をゆがめて、頬をひくひくと動かしながら、カティアはリナリアを睨みつける。少し涙目になっていたので、迫力はまったくなかった。
本人としてはそれでも必死に迫力をこめたつもりなのだろう。しかし、まるでアンティーク人形のような、美しいよりも愛らしいという表現がぴったりな容姿のせいで、怖さよりも可愛らしさを感じさせる。
カティアの背後に、必死で主人にじゃれついてくる子犬の幻影を見ながら、リナリアは微笑した。
ベンチの端に座りなおしてスペースを開け、隣をぽんぽんと叩く。
「ほら、座りなさいよ」
「だ、誰があなたの隣に座るものですか! あなたはわたしのライバル! 敵対関係というものですのよ!」
「それならまあ、それでいいけど。そこ、日差しがキツくない?」
「……うっ」
カティアは肌が弱いのか、日差しにとても弱かった。夏に数時間も外に出ていれば、それだけで肌が真っ赤になるほどだ。
まあ、あれだけ真っ白じゃねえ。カティアの肌に目をやりながら、リナリアは心中でつぶやいた。
着ているのが黒い制服ということもあって、カティアの肌の白さはより際立っていた。その白さは雪のようで、雪は太陽の下では簡単に溶けてしまう。そう考えると、カティアの肌もいつか溶け出すんじゃないかと、ちょっとだけ心配になる。
リナリアの提案に、カティアはしばらく悩んでいたようだった。
ベンチを見つめ、リナリアを睨み、自分の立つ場所を確認し、太陽を恨めしげに見つめて「うぅー」と唸る。不本意そうな顔ではあったが、木陰のベンチの魅力には逆らえなかったらしい。
カティアは野良猫のようにリナリアの様子をうかがいながら、できるだけ遠回りをしてベンチにたどり着き、おずおずと腰を下ろした。リナリアと二人並んで座ると、それはまるで姉妹のようだった。リナリアも背が高いとはいえないが、カティアはさらに低い。赤色のマントがなければ、ロークラスの生徒と間違われるに違いないだろう。
カティアが居心地悪げに座っているのを横に感じて、リナリアは笑みをこぼす。なかなか懐いてくれない野良猫を餌付けしたような達成感があった。
しばらく、ふたりは無言を間に置いてベンチに座っていた。先に口を開いたのは、居心地の悪さを限界に感じたカティアだった。
「あなた、変わってますわね」
「そう?」
「変わってますわ」
不思議そうに聞き返したリナリアに、しっかりと頷いてみせる。
「わたしがフォアローゼスの者だと知っていて、そこまで不遜に対応するのはあなたくらいですもの」
「なら、敬った方がいいかしら?」
ええ、是非そうしなさい。
そんな答えが返ってくると思っていたリナリアの予想は外れた。
「いいえ。あなたはそれで構いませんわ。それでこそ、わたしのライバルと呼べますもの
ふるふると、ふたつのクルクルを左右に揺らしながらカティアが言う。
「学年主席の座、わたしが必ず頂きます。もう長くない主席のイスを、今のうちにせいぜい楽しんでおくのですわね」
ほーっほっほっと大げさな笑い声。
小さな少女がそんな笑い声をあげる姿は、とても微笑ましかった。
駆け回る子犬を見守る目で、リナリアが口を開く。
「そっか。じゃあ、実戦考査もがんばらなきゃね」
「ひぐっ」
胸を押さえ、カティアがびくりと肩をふるわせる。そしてなにを想像したのか、カタカタと震え出した。
というのもこの少女、実戦授業が大の苦手なのだ。おまけに過度の上がり症だった。ペーパー試験であれば楽勝だ。幼い頃から病気のせいで部屋の外に出られなかったカティアは、部屋を埋め尽くすほどの本を読んできた。文学だろうと魔術概論だろうとサバイバル法だろうと、なんでもござれだ。しかし、人の前に出るとダメなのだ。期待されると実力が出せない。心臓がばくばくとうるさく高鳴り、頭の中にはひよこが踊り始めてしまう。
1ヶ月後には実戦考査がある。学生同士でパーティを組んで、迷宮に挑むのだ。
ただでさえ上がり症だというのに、苦手な実戦。しかも迷宮で。
カティアには悪夢だった。
「も、もももももちろん楽勝ですわっ!」
しかし、負けを認めることは流儀に反する。折れそうな心に添え木をして、カティアは声を張り上げた。
「本当に?」
「あ、当たり前ですわ! 楽勝すぎて腹痛がしてきますもの! 頭もちょっと痛いですし考えるだけで気分が落ち込みます!」
それはダメだろう。
思わずそんなことを口にしかけたが、リナリアはなんとか飲み込んだ。
「まあ、カティアは補佐専門だからね」
「そ、そうですわよ! わたしは補佐専門ですもの! 前になんか出ないんですから、角うさぎの尖った角でぶすってことには…………ひぃっ!」
自分で想像して、自分でぞっとしたらしい。
顔を蒼白にして、カティアはぶるぶると震えだす。
そんなカティアをリナリアは優しい目で見守りながら、この子のパーティメンバーは苦労しそうだなあと思っていた。
「アルベルティーナさんがいてくれたらいいのに……」
絞り出すような声音で、カティアがつぶやく。
「そりゃ、そんな人がいたらレベル1だろうとどこだろうと楽勝でしょうけど」
なにしろ、レベル8――つまり迷宮の最前線で活躍するパーティの副団長だ。彼女ひとりでレベル1を制圧できるだろう。
そんな最強の前衛がいれば、自分たち魔術士は心おきなく魔術に注力できる。
「でも、さすがに高望みし過ぎじゃない? この学院の生徒に、一流の討伐者並みの実力を求めるっていうのは」
「うぅ……わかってますわよ、それくらい。最上級の願望を述べてみただけです。始まりの鐘の副団長が、実戦授業の監督官になっただけでも格別の幸運だったんですもの……」
始まりの鐘は数少ない公式Aランクのパーティだ。そんな人間たちが、たかが学院の実戦授業のサポートに来るのは、幸運というよりも異常だった。
ちらりと肩を落とすカティアを見る。
リナリアが思うに、原因はカティアだ。
フォアローゼスと言えば、この辺りでは名の売れた富豪だった。記憶が確かなら、カティアはひとりっ子だ。そして病弱だった。そんな娘が迷宮に入るというのなら、親は過保護になるものじゃないだろうか。フォアローゼスは、資金面でギルドに大きな貢献をしている。多少の無理くらいは――それこそ、Aランクパーティを派遣するくらいは、なんとかなるのではないか。
あながち間違っていないかもしれない推測に、リナリアは乾いた笑い声をあげた。
もしこれが当たっていたら、カティアの家族はけた外れの過保護だろう。
始まりの鐘には、<二つ名>持ちがふたりいる。ひとりは、パーティの代表でもあり天恵を持つ団長。もうひとりは副団長だ。実戦授業の日に幾人かのメンバーを連れてやってきたのは、副団長であるアルベルティーナだった。
リナリアが聞く噂では、実戦授業の前日、レベル1に迷い込んでいたゴルボルドをハルバードで真っ二つにしたとか。
上級の討伐者全員がなにかしらの方法で身体強化をしているとは言え、R=8のゴルボルドを単騎で、しかも一太刀で切り伏せたというのだから、その強さは別格だろう。<雪鳴>の二つ名は伊達ではないようだ。
「……はあ。どうしようかしら」
カティアの声。
リナリアに聞こえないように呟いたつもりかもしれないが、しっかりと聞こえていた。
リナリアはなんだかんだで気楽に考えていたが、どうやらカティアは思ったよりも真剣に悩んでいるようだった。
どうしたものかと思う。
別段、自分が手助けする必要も義理もない。が、今のカティアはなんだか放っておけないオーラを出していた。それに彼女は、放っておくとひとりで無理をしそうな気がする。
考えはあった。それに、ちょうど明日は祝日だ。学院の授業も休みだし、冒険者たちの多くも体を休めるだろう。
「特訓にでも行く? レベル1までなら、もう許可されているし」
実戦授業を終えれば、ハイクラスの生徒には迷宮への出入りが許可される。もちろん、そこでの怪我や事故は全て自己責任となるが。
リナリアの提案に、カティアは悩んでから首を振った。
どうにかしたいとは思うものの、できるだけ迷宮には行きたくないようだ。
しかし、リナリアはカティアをやる気にさせる方法を知っていた。単純な方法だ。ただ一言、魔法の呪文を唱えるだけでいい。
「なるほどね。怖いわけだ」
「だ、誰がっ!」
「でも、行きたくないんでしょ?」
できるだけ馬鹿にした顔と声色でリナリアが言うと、カティアはかあっと顔を赤く染め、ほぼ勢いそのままに声を上げた。
「いいわ! 行きましょう!」
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暗がりから姿を現したのは巨体だった。大の男を縦に2人、横には3人。醜く脂肪に膨らんだ緑色の体に纏うのは、血と垢と体液で汚れきったボロ切れだけ。手には刃の欠けた大きな石斧。頭は豚。石斧のひと振りで岩を砕く怪力を持ち、下級の魔物を食料とする。
ゴルボルド。
冒険者たちには、そう呼ばれている。
レベル1の狭い通路を歩くゴルボルドは今、耐え難いほど飢えていた。この階の獲物は動きが素早く、食えたとしても肉は少ない。
つい最近、もう一匹いたゴルボルドが人間に殺された。その日は姿を隠していたが、もう空腹に我慢できない。
耐え難い食欲に身を蝕まれながら、ゴルボルドは通路を歩く。
腹が減った腹が減った腹が減った腹が減った腹が減った腹が減った腹が減った腹が減った腹が減った腹が減った腹が減った腹が減った―――
不意に曲がり角から飛び出した獲物に、ゴルボルドは反射的に石斧を振り下ろす。外れた。だが、砕いた床の破片が散弾銃の如く飛び散り、角うさぎの小さな体を打ち叩いた。
力なく横たわった小さな獲物を鷲掴みにし、そのままカジる。ぶちぶちと肉がちぎれる食感。口の中に満ちる血の味。ぐっちゃぐっちゃと咀嚼し、さらに残った肉を口の中へ。それだけで、角うさぎの体は無くなってしまう。足りない。肉が。血が。足りない。もっと。
不満げに呻いて、ゴルボルドはまた歩きだした。
そのとき、ゴルボルドの頭の中に沸き上がる感情があった。
つい最近、ここにはたくさんの肉がやってきていた。アレは美味いのではないか。獲物は大きく、喰いがいもありそうだ。なにより、アノ肉は柔らかそうで、血も美味いに違いない。
ゴルボルドはそんなことを考える。
ああ、きっと。
人間の肉はウマいはずだと、そんなことを、考える。
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