第8話 とっておきの提案
「むっ!」
そのタフさにはさすがのギリュウも驚きを隠せないようだった。
(この娘、何故まだ正気を保っていられるっ!)
無敵のギリュウにも少し焦りの色が見え始めた。
みちるがここまで自分の攻撃に耐えるとはと言うのは想定外だったのだ。
「それより提案があるんだけど…」
ギリュウの拷問のような攻撃に苦しめられながらみちるはレイチェルに話し始めた。
切羽詰まったこの状況でどうやら彼女は形勢を逆転させる秘策を思いついたらしい。
「もういいっ!君はもう喋るなっ!」
苦しめられながら何とか絞り出すように話し始めたみちるにレイチェルは彼女に無理をして欲しくない一心でそう叫んでいた。
その叫びを聞いてみちるはさらに大きな声で話を聞いて欲しいと叫ぶ。
「いいから聞いてよっ!」
みちるの大声にレイチェルは正気に戻った。
何かを覚悟している…そんな言葉だった。
「私、腕輪を外して力を開放したらどうなるかな?」
みちるの口から出た衝撃的な一言…。
しかしそれはとても大事なものを失う事でもあった。
「ダメだ!そんな事したら君は人に戻れなくなる!それに…」
レイチェルはみちるの提案を却下した。
確かに力を開放すれば今までの何倍もの力が溢れ出してあのギリュウを追い払える可能性も少しは出てくるのかも知れない…。
しかし急激な魔物化に身体は耐えられるものじゃない…。
みちるの事を思えばそれは許されるものではなかった。
「大丈夫、勝てる自信あるんだから…」
みちるはそう言うとゆっくりと腕輪を外した。
今まで外そうと思っても外せなかった腕の光の腕輪がこの状況の中で何故かするりと簡単に抜けてしまった。
「あれ?外そうと思えば以外に簡単に外せるんだねこれ…」
あっけなく外せてしまった腕輪に拍子抜けしてしまったみちる。
それを見て焦り出すレイチェル。
「やめるんだみちる!すぐに腕輪を戻すんだ!」
「もう手遅れよ…輪っかさん、レイチェルの頭に戻りな…」
みちるの手から離れた天使の輪がレイチェルの頭の上に戻った。
それは天使の力の制限からみちるが開放された事を意味していた。
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