第6話 突然の来襲

強大な魔物の接近に最初に気付いたのはレイチェルだった。

北の空から不穏な気配がみちるの家に近付いてくる…!


ガタッ!


レイチェルは不穏な気配に気付くとすぐに行動を開始した。

そして朝食を食べ始めたみちるに声をかけた。


「みちる、すぐにここを離れるんだ!」


「えっ!えっ!」


みちるの手を取りすぐに家を飛び出すレイチェル。

みちるは状況を何も把握出来ないままレイチェルに腕を掴まれて空に飛び出していた。


「まだ朝ご飯の途中なのにーっ!」


レイチェルは自分の出せる最大のスピードで空を飛んで行く。

しかし強大な気配が追いつくのにそんなに時間はかからなかった。

あたりを包むドス黒い気配にさすがのみちるもその違和感に気が付いた。


「何これ…今までとは全然違う…」


急激な勢いで近付いてくる得体の知れない気配にみちるはどんどん不安になって来ていた。

そんなみちるの動揺を知ってか知らずかレイチェルは冷静に状況を分析していた。


「まずい奴がやって来たみたいだ」


その刹那、レイチェルの言葉通り魔界四天王、獄炎のギリュウが二人の前に現れた。

まるで瞬間移動したかのように突然二人の前に彼は現れたのだ。

そのあまりの凶悪で威圧的な姿に二人は一瞬体が固まっていた。

ギリュウは不敵な笑みを浮かべながら二人を睨みつけると薄ら笑いを浮かべながら

みちるに対して挑発的な言葉を放った。


「ほう、貴様が噂の魔物魔女か」


みちるは相手がとんでもない存在だと感じていながらもギリギリで平静を装いながら

相手の勢いに飲まれないように必死に抵抗していた。


「あ、あなた誰よ!」


ギリュウは自分の威圧にひるまないみちるに感心した。

それで必要最低限の礼儀を持って対応する事にした。


「失礼…、私は魔界四天王が一人、獄炎のギリュウ…」


「ま、魔界四天王だって…!」


その名前を聞いてレイチェルの顔が青ざめた。

格が違い過ぎる!

今のみちるでは…獄炎のギリュウと言いえば天界でさえ天使長クラスでないとまともに相手すら出来ないほどの相手だった。

あまりの大物の登場にレイチェルは更に身体が固まってしまった。

魔界四天王相手に何も打つ手が見つからなかった。


「よっしゃー!少しは歯応えがありそうじゃないの!」


ビビるレイチェルに対してみちるは闘志満々だった。

今までの相手が一撃で倒せるほど弱過ぎた為、調子に乗っていたのだ。

相手の力量も分からないまま戦闘に臨めば勝ち目がないのは世の常識…。

それでもここで弱気になったら全てが終わるとみちるは直感していた。


「貴様には今までの無礼の精算をしてもらわねば…」


「うっさい!先手必勝みちるビーム!」


ギリュウの言葉が言い終わらない内にみちるが攻撃を始める!

それは相手がどれだけ強くても無防備の内なら勝機があると踏んでの彼女なりの作戦だった。

みちるの手のひらからから放たれるエネルギー弾!


ドゴォォォ!


「よっしゃあ!手応えありィ!」


思わすガッツポーズをするみちる。


「ダメだ!効いてない!」


レイチェルは叫ぶ!


「え?うそ…?」


噴煙が消え去るとそこには全くの無傷のギリュウがいた。

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