Seventh day
研究施設にて 01
「そういえば、
「開発経由の報告書によりますと、レポート脳内視覚域へのダイレクト通信部分にかなり手こずっているようです」
それを聞いていた町田研究員がつぶやく。
「なかなか、あの小説の中の端末みたいには、いかないのねぇ」
「安定するまでは、継続して施設内のオリエンテーションエリアを最大限活用するしかないか」気持ちを切り替えるように言う、主任。
「山2つ分もの敷地内にこれほどの施設を作ってしまうってどうなんでしょうねぇ」
皮肉っぽく言い放つ、鶴川。
「実際の所はぁ、
「どう考えても、ゲーム規模で終わるレベルの物じゃないのはわかるんです、わかるんですけど……」腑に落ちない、という表情を浮かべている。
主任はそんな鶴川研究員を見て
「医療向けの臨床試験だけじゃデータが足りない、ってことだろう。新デバイスを今後大幅に改良して、低価格化まで持っていこうっていうんだ」
そしてさらに
「そもそも、今回の新規VRゲームの開発はきっかけでしかない。 その先にあるビジネスをしっかり立ち上げる為にも今は多くの
「自分は社内の同期や先輩、後輩たちを騙している気がして……」辛そうにいう鶴川。
「あらぁ、今更そんな事をいうなんて、鶴川さんどうしたのぉ」意外だという顔をする。
「本当に彼に惚れたのか? まさかと思っていたが」
「そ、そんな事ではなくですね、あのその……」顔が真っ赤になる鶴川。
「ふふふ、あんなに愛想のなかった鶴川さんが惚れちゃう彼はうらやましいわぁ」
「さて、話を変えようか。 現在、新デバイスを日常的に使用している被験者150人への脳の負荷はどの程度になっているかな」
***
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