男女混合二人三脚ハーフマラソン 02
「ねぇ。 はじまるわよぉ!」
「ほぇ?」
「今朝はあんなに張り切ってたのにぃ。 しっかりしてぇ!」
「え?」肩を揺すられて意識が戻ってくる。
「どうしたの、はじまりますぅ!」
と、そこに大きな声。
『起きて!』
「お、おう、すまん。 ちょっと別の事を……」
「そぅ? それにしてはなんかお目覚めモードっぽいわぁ」
うん、寝かけてたかも、と言いかけて気づく。あれ女性?
ん? 彼女の首に光る物が。 あれ? なんか前にも似たような……夢?
『二人三脚ハーフマラソンを走り切れ!』
おおぅ! 頭に澄んだ声が響く。
「他の選手見てたとか、ないわよね? 胸ばっか見てちゃだめだよぉ」
「え? いやぁ、なんかごめん。 っていうか、皆鍛えてるなぁ、って」
そうなのだ、選手はみな、アスリートらしい体格なんだ。 どう見ても俺は浮いてるとしか。
パァァン!
周りにいる選手達が一斉に走り出し…ってえ? 俺達も?
「いくわよぉぉ!」左の女性、俺の右肩を叩く。ん?
左足を急に引かれる違和感。
「おっ、おわぁぁ?」気づくと入道雲が青い空に浮かんでいて。
「きゃぁ!」
ドテンッ 派手に上向きに転がりこむ、女性と一緒に。
周りからは、ドッと笑い声が聞こえる。 え? なに?
ゼッケンをつけた選手らしき人は気づくと周りにはいない。
「あいたぁ」彼女お尻をしたたかに打ったように見え、さすっている。
「ご、ごめん。つい、右足出しかけちゃって」
「いいから、いいから。 さっさと仕切り直して走りましょ?」
「そ、そうだね」
二人三脚なんだ、しっかりタイミング合わせて行かないと。
彼女は俺に立つように促し、僕らの足の紐を結び直ながら、
「いくわよぉ。時間はたっぷりあるんだからね」
「いや、そうでもないんじゃないかなぁ?」
「なにいってるの! 私たちの挑戦はこれからよ! 今度はちゃんとタイミング合わせて走りましょう」
しっかりと大地を蹴って、俺たちは走り出した。 ゴールに向かって。
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