男女混合二人三脚ハーフマラソン 01
「お~い。 はじまるってば!」
「んにゃ?」
「今朝はあんなに意気込んでたのに、おぉ~い!」
「あ?」
「んもう、はじまるって言ってるの!」
と、そこに大きな声。『起きろ!』
「は! え~とその?」左に女性? って近い、近い。
ん? 彼女の首に例の物が。ってことは俺も?
『二人三脚ハーフマラソンを走り切れ!』
怒気を含んだ声? 俺なんかした?
「なに寝ぼけてんの! もうスタートだよ?」肩を組んでる女性が心配そうに言う。
「や、すまん。ちょっと、別の事考えてて……」今の状況を確認しないと。
パァァン!
周りにいる選手達が一斉に走り出し…ってえ? 俺達も?
「はい! せぇのぉ!」左の女性、俺の右肩を叩く。ん?
左足を急に引かれる違和感。
「あっ、あれ? おぉぉ?」気づくとちぎれ雲が青い空に浮かんでいて。
「きゃぁ!」
ドテンッ 派手にその場で座り込むように転んだ、女性と一緒に。
周りからは、ドッと笑い声が聞こえる。 え? なに?
ゼッケンをつけた選手らしき人は気づくと周りにはいない。
「急がないと」彼女は俺に声をかける。
「歩調、合わせましょ。 今までの練習通りにね」にこっと笑う。
「お、おう」つい、そう答えていた。
二人三脚? ハーフマラソンっていう事は、ええっと何キロ走るんだ?
「で、俺の相棒が君ってこと?」
彼女は俺に立つように促し、僕らの足の紐を結び直ながら、
「は? 何を言ってるの? ねぇ、時間が惜しいんだから早く走ろう?」
「ああ、そうするけどさ」
「ちょっと走りながら話そうか。さぁ、息を合わせて走りましょう」
ちょっとおぼつかない足取りで、俺たちは走り出した。 ゴールに向かって。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます