魔獣使いのサモナーを探せ 03 (3/20改稿)

俺たちの前に、立ちはだかる濃茶の板戸で作られた扉。

所々掠り傷やらへこみがあり、固い物があちこちぶつかって出来た跡がある。

そう、まさにお城の部屋の入り口って感じの造りだ。


「にゃぁおぉぉん」 元魔獣子猫ちゃんが恋い焦がれるような鳴き声を出す。


すると、扉が ギギイィィッ と重みある音と共に開き始めた。


隙間が出来たところで、元魔獣子猫ちゃんはするりと、中へ入っていく。


俺たちは、それに続いて開いた扉の中へ警戒しながら入っていった。


「やっと、ここまで到着か。 お疲れ様」

部屋の奥には、声の主マッチョマンサモナーさんが椅子に座って待っていた。

子猫ちゃんだった魔獣はというと、その隣で元の体躯に戻り「ファァァー」とあくびをした。 そして、その尻尾をソファーに向けて指し示し「座んなさいな」と言いたげな優しい視線を俺たちに向けた。


「し、失礼します」と俺。

「うう、緊張しちゃうわ~」動作がぎこちないですよ、姐さん?

「落ち着けませんか? メイドにお茶を持って来させましょう」パチンと指を鳴らすマッチョマンサモナーさん


「これは、なかなか座り心地がいいですね」ソファーの具合を確認してますな。

「ふぁぁ、やっと落ち着けますぅ」伸びをしてリラックスモードのようで何より。


マッチョマンサモナーさんの方を見やると、漆黒のロングスカートに可愛いフリルのついた白いエプロンが近づいていた。メイドさん、可愛いなぁ。


「お口に合いますか、どうか」と、僧侶風の服装を纏うサモナーさん。


「では、頂きましょうか」バリトンさんが手を伸ばす。

「私、猫舌だからちょっと冷まそうかしら」慣れた手つきでカップを回す姐さん。

「この香りはぁ、ミントかしらぁ?」そうなのか? ポニテ姉さん詳しいな。


「いい香りがしますね」

カップに口をつけ一口飲んだ途端、目の前がふっと暗くなって……

俺は意識を失った。

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