貴方の思いをキスで表現せよ 05


「いいか、お前らキスってのはなぁ、こうすんだ!!」

そう言うや否や、俺の顔を両手で抑えるジャージ先生。


「やめろ、無理やりは嫌だ」と迫る唇を払おうと努力する俺。

「そんなに嫌いか? 先生だからか?」

「何言ってんの。 俺の事、気にしてくれる女性にそっけなく出来るかっての!」

「なら、なぜ私の思いを遂げさせてくれないんだ!」

「近い、顔近づけながら大声さないで。 落ち着いてよ、先生」


「貧乳だからか」

「ちがうって」

「背が高くて釣り合わないからか」

「そうじゃないってば」

「最初の二人より可愛くないもんな」

「そんな事ないよ。 先生の授業受けるとキラキラしてて素敵だなって」

「え? ホント?」

「俺、嘘つかないよ」

やっと落ち着いてきたようだ。

他の女性陣は、と振り返ると、あきれ顔でジャージ先生を見ていた。


「ふぅ。 やっと手を放してくれたね、先生」

「君に、素敵だって言ってもらった」

「うん。 仕事に打ち込む先生はほんと魅力的だよ」

「そ、そうか」

「だから、自信を持っていいって」

「うんうん」

あれ? 先生、目が潤んでる? 泣かしちゃった? やっべ、かわいい。


キュンと来た瞬間、俺は……


「あー、いいなぁ」ポニ子さんの声が。

「うわぁ、先生、やるぅ」ギャル子さん、妬いてます?

「ちょっ、ええ?」ロン毛さん、驚いてる?


ジャージ先生の目からとめどなく溢れる愛を、俺の唇が優しく受け止めていた。

初恋の味ってこんなのかな、って思いながら。


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