引き篭もりやめたら超能力者になってました

@katuragi

第1話 三年前の悲劇から・・・

幼馴染みの彼女が死んで3年の月日が経った。

俺が中学生の時、幼馴染みは学校から帰る途中に通り魔に出くわしてしまい胸を刺されて殺された。通り魔は捕まりそのまま刑務所に連行された。


俺は幼馴染みが死んだその日幼馴染みと喧嘩した。今思えば些細なことで喧嘩していたと思う。もし喧嘩せず一緒に帰っていたら幼馴染みは死なずに済んだのだろうか。もし喧嘩した後すぐ謝っていれば未来は変わったのだろうか。俺は幼馴染みを守れなかった悔しさと幼馴染みに伝えきれなかった思いが残ってしまった虚しさ、

そして何よりずっと大切で大好きだった彼女が亡くなってしまった現実を俺は受けいることが出来ずその日以来、外に出ることはなくなった。


家の中で俺はただ毎日ぼーっとしてた。勉強はネットを使って、運動は家の中でできる範囲でちょくちょくやっていた。

引き篭もって半年ぐらいはずっと幼馴染みのことしか考えていなかった。

幼馴染みは暇さえあれば毎日俺の家に遊びに来ていた。

そう・・・毎日・・・

幼馴染みはとても元気な奴でゲームやいろいろな話で盛り上がることが多かった。

今ではもう死んでしまって会うことさえできない。


そして幼馴染みが亡くなってから3年後の現在、俺は久しぶりに外出する。

理由は単純、

「何で壊れるかなー・・・」

俺の生活に必要不可欠なパソコンが壊れてしまった。

今の俺にパソコンが無ければ死んでしまう。

まぁ、機種が古かったため新しいのを買ってきた方がいいと思ったから外出しようと決めた訳だが。

今の時代iPhoneやスマートフォンがあれば充分な世の中だが、当時中学生だった俺には携帯は必要ないと親に言われた。ましてや引き篭もってしまい尚更買う必要が無いと言われしまった。

パソコンは親に買ってきてもらった方がいいのだが、あいにく父は海外出張で母は機械に全く詳しくない。母に、チラシを見せてこれ買ってと言ったら早いのだがこういう日に限って母は仕事。

さて、今から外出する準備をするのだが、ぶっちゃけ外に出たくない。出たら負けのような気がする。

外に出たくない理由は、人と喋りたくないだけ、それだけである。

3年も外出しないと人とどう喋っていいのかが分からなくなっている。基本親としか喋っていない。


そうこう悩んでいるうちに、タンスの前に立って30分たった。

そして、

「はぁ~出るしかないのか」

悩み続けた結果外に出ることにした。

タンスから外出用の服に手をかけ着替える。

「小さい・・・」

服を着たのはいいが服のサイズが合わなかった。

3年も前の服はどう考えてもとても小さかった。

「借りてくよ父さん」

仕方なかったのでこっそりと父の服を着た。


リビングの机の上に、

(出かけます)

と、だけ書いたメモを置いた。


玄関の前に立つ。


キーィィィン・・・


頭が痛い。外に出たくない。だが、この機会を逃すと2度と外に出ないような気がする。

自分を変えるためにそして、パソコンを買うために、俺は踏み出さないといけない。

靴を履き、玄関のドアの前に立ちドアノブに手をかけた。

「行ってきます」

俺はドアを開けて1歩踏み出した。


この時、今の自分を少しでも変えようとした男、霧夜雷斗きりやらいとが踏み出した1歩が彼の人生を大きく変えるものとは誰も知るよしもなかった。

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