12
「もしかしてこの街には他にもプレイヤーがいるのか?」
「それはない」
「ん???」
「封鎖しているから」
「え?」
「え?じゃないわよ。だって私一人で自由にやりたんだもん」
絶対そういうゲームじゃないよね、これ。
「でも私以外にもそういうことをしている人はいるわよ。だからみんなホストになりたいの」
「いや、でもよ」
「協力イベントもあるし、その時はそういう世界に集まるし、ずっと一人ってわけではないわよ」と少し気に障ったようだ。それに、と言葉はまだ続く。
「こういう他人とやるソーシャルゲームあんま好きじゃないんだよね」
やっぱりそれか。なんとなくだかそんな気がしていた。だってこいつのセリフ痛いもん。
「……なら、やらなきゃいいじゃん」
「このゲームはやりたいのよ。でもそのためにはみんなと一緒にやらなきゃでしょ?でもそれは嫌でしょ?ダメでしょ?周りとうまくやるなんて不可能でしょ?だからホストプレイヤーになれるこの時を待っていたのよ!!!」
どうよ!みたいな感じで言われてもなーって、感じ。
他の人が信じるかどうかは知らんが、俺は信じた。全部まるっきりじゃないけれど、信じた方が色々納得できる。だって目の前でガチャを引いて、三角帽子、が当たったらしく、装備、ってとこタップしたら、ホントに彼女の頭に三角帽子が乗るんだよ?マジシャンって可能性もあるのかもしれないけれど、信じることで色々腑に落ちる。
ちなみ制服に三角帽子は似合わない。
「ってかあんた、信じちゃったの??」
うわー、みたいな顔で言わないでくれよ。困るのは俺だって同じだ。これから先どうしたらいいのだろう。
「あ、そういえば俺の名前を知っているって?」
「私が付けたからに決まっているじゃない」
なるほどそう来ましたか。
「ゲームってさ、大体なんていうの?教えてくれる人?みたいなのがいるのよ」
あー、確かに俺のやっているゲームも妖精みたいなのが色々と教えてくれる。
「でね、このゲームではパートナー……じゃなくて召使を最初に決めるのよ。それが色々と案内だったりをしてくれるわけ。それがあんた」
なんだよそれ。俺、お前のパートナーなのかよ。……え?待ってそれってすっげー大役なんじゃないの?あれでしょ、準主役的なポジション?そこまではいかない?落ち着け、このゲームのもしかして恋愛要素あり?なし?そこ気になります!
……あれ?俺って考えられているよな?
「なあなあ!俺さ思考できるんだけど?」
そうだ。本当にゲームのキャラならばそんなことはできない。全部プログラムされているはずだと思うわけ。
「あー、それはあれ。人工知能」
「人工知能?」
「そう。知ってる?要するに人間と同じように思考ができるわけ。このゲームのすごいところはそれなのよ。ほとんどのキャラに人口知能が搭載されているの。まぁでも制限はかかっているらしいけどね。例えば“ゲームの世界だということは理解できない”とか」
「いや、できちゃってるんですけど俺」
「そうなのよね。だからさ、さっきのあんたが記憶を一部無くしたことに関係するのかもしれないけど、きっとあんたバグっているのよ。やっぱり」なーんか変だったのよね、とうんうん頷いている。
え?あれって本気言ってたの?
まじ?バグっちゃっているの俺?大丈夫なの?大丈夫じゃないよね。
「今のところは大丈夫よ」
「そうか?」
「たぶん」
「おい」
「それよりもさ。どうやったらクリアになるのよ。チュートリアルが終わらないじゃない」
そうかこれはチュートリアルだったのね。だからあのカマキリ男もあんな刀の振り方で押されてたのね、と一人ごちた。
「なぁ、このミッションにはカエル男は関係ないんだろ?」
「そうね。どこにも書いてないわ、そんな情報は」
「だったらカエル男もバグなんじゃねー?」
「……なるほど。カエル男もバグか。それはありえるのかも。普通はあり得ないけど、こうなっているからにはありえるわね。でもどうやって探す?カマキリ男はパート……召使の後を付いていけば会えるって設定だったけれど、カエル男がバグならば、どうやって会えばいいのかしら」
「こら、召使言うんじゃない」
どうやって会えばいい?カエル男を探している警察か?いやでも警察は未だ一度もカエル男に会えていないのでは?毎回目撃されたところに来ているだけだ。こういう時ってゲームだとどうするんだっけ?そんなに詳しいわけじゃないから思いつかない。
とても迷惑な話だが、カマキリ男は俺に付いていけば会える、という設定だ。となると特定のキャラが重要なのかもしれない。誰だ。カエル男に会えたやつ。
いる。一人だけいる。偶然じゃなくて、探して会えたやつが。
「なぁ、もしかしたらカエル男会えるかも」
「え?ホント?」
沙良絵だ。
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