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それから数日後。
「これ、プレゼント」
夕食の釜飯弁当を食べ終えるころ、聡はおもむろに包みを差し出した。
包みは丁寧にラッピングされていて、赤いリボンまで結んである。触った感じが布っぽく、やわからかい。
「プレゼントなんて、珍らしい」
私は、今夜の駅弁は外れだったなどと思いながらラッピングをほどいていった。
中から出てきたのは、布製のポーチ。デニムの生地に様々な花柄のキルトを張り合わせて作られたそれは、素晴らしく可愛いが、私の趣味ではなかった。
「あ、ありがとう」
あまりの少女趣味に圧倒され、戸惑いがちにお礼を言うと、
「あんまり、嬉しそうじゃないね」
聡は少し覚めた口調で言った。
「てゆうかさ、これ、どうしたの?」
「付き合いで買ったんだ」
「お客さん?」
「まぁ、そんな感じ」
「ふぅん」
よくみれば、ファスナーの回りにはレースまでほどこされていて、ますます私好みではない。
でも、まぁ、付き合いなら仕方ない。
私はそれを、テーブルの端へ置くと、駅弁フェアで買ったご当地サイダーの栓をぬいた。
コップにも注がず、瓶からそのままごくごく飲みながらお笑い番組を見ていると、テレビがパチンと消えた。
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