18

「ただいま!」


息を切弾ましせて部屋に飛び込んだ私を、テレビを見ていた聡は驚いたように見上げた。


「おかえり。てゆうか、どうしたの?そんなに急いで?」


「ううん、ちょっと、走ったら息があがっちゃったの。年のせいかな?なんて」


聡に早く会いたくなって。


そう言うのは、あまりに恥ずかしい気がした。


「そう?なら、いいんだけど。変な人に追いかけられたわけじゃないよね?」


「誰が私みたいなおばさん追いかけるってゆうの」


自分で言って悲しくなった。


おばさん…か。


でもそういう年齢に差し掛かっているのも事実だ。みんな、結婚した。子供もいる。


はぁ。は結婚、か。


「電話くれたら迎えに行ったのに…」


そんな私の複雑な思いなど知らない聡は、脱いだコートをハンガーにかけてくれた。そして、


「ナオそれ…」


たこ焼きの入ったビニール袋に気づいた。


「ああ、これはおみやげ。聡も好きでしょう?」


誇らしげにたこ焼きをかかげた私に、聡は髪の毛をわしゃわしゃさせながらテーブルを指差した。


そこには、同じたこ焼きのパックがある。

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