15
「あの、あのさ…」
少しの間のあと、切り出そうとした私に、
「事故った時…」
聡が言葉を重ねた。
「事故った時、友達や親はさ、骨折だけですんだなんて不幸中の幸いだって、そんなふうに皆慰めたんだ」
「うん」
話ながら聡は、まっすぐ前をむいたままで、時々、視線を痛めた左足にうつしたり、天井を見上げたりしたけど、あまり、私のほうを見ようとはしなかった。
だから、私は聡をまじまじと見た。
聡は色白で、髪の毛が茶色がかっている。目も、焦げ茶色だから全体的に色素が薄いのかもしれない。
身長はあまり高いほうではなく、やせがたで、撫で肩。(聡は撫で肩なのを結構気にしている)
「でもさ、事故にあった当人にとったら、不幸中の不幸だよ。まさか、青信号になったのにバイクが突っ込んでくるなんて思いもしなかったし」
ただ、声はなかなか低めで、落ちついたしゃべり方をする。
顔は童顔で実年齢より若く見えるけど。
「生活だって不便だよ。トイレが一番大変って、そんな話聞きたくないか。ハハハ…」
もう何度もデートしているのに、今さらながらそんなことを思うなんて、私は余程聡を見ていなかったのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます