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あの時、勇気を出して聡に連絡をして本当に良かったと思う。


なぜなら、なんと聡は入院していたのだ。


なんでも、信号無視をして走ってきたバイクと接触し、足を骨折してしまったらしい。


連絡がとだえたのは、そのせいだった。


それを知った私は、いいよどむ聡から無理矢理入院先を聞き、仕事をさぼってお見舞いに駆けつけた。


病室で、痛々しくもギブスをはめた聡の姿を見たとたん、でも、私は不憫と言うより、暖かな気持ちになったのを覚えている。


聡は脚の骨折と、顔にかすり傷があった以外は元気そうで、白く清潔な病室の窓際で、静かに本を読んでいた。


窓の外では、紅葉し始めた木の葉が夕日を浴びて色濃くなり、ガラスに反射し、色白の聡の頬に赤みを帯びさせていた。


大きく深呼吸すると、消毒液の香りが胸を満たした。


こんな状況なのに、聡をつつむ空気の流れは緩やかで、私を安心させたのだ。

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