再開を願う
彼女から連絡が付かなくなった約30分後。
ようやく彼女は僕の元にやってきた。
「会えて良かった〜」
と開口一番に、泣きそうなのか、笑顔なのか、よく分からない表情で彼女は言う。
僕は今までこのやり取りを彼女と何度してきただろうか。
大学時代から何度も何度も。
このデジャブを僕は何度していくのだろう。
それでも彼女に会えて安堵している僕がいる。
お賽銭を投げて、
お詣りをして、
階段を降りる。
長い階段を降りる途中で僕は彼女に問う。
「お詣りの時に、なんてお祈りしたの?」
と。
彼女は満面の笑みを浮かべて
「君と会わせてくれてありがとうございます!、って。」
と言う。
僕は
「そっか。」
とそっけなく返事をすると、彼女は「も〜ぅ!」と怒り出す。
だって照れくさいし、僕は欲張りなので二つもお祈りしてしまったのだ。
そんなの、言えるわけないじゃない。
「彼女に会わせてくれてありがとうございます。
そして、また会えますように。」
と。
僕らは、デジャブのように繰り返し、そして再会を願うのだ。
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