「クソリプうさぎとのんきなかめさん」

うさぎさんはネット依存症

来る日も来る日もネットに入り浸っては他の一般ネットユーザーを煽る日々を過ごしていました。

それでいつしかついたあだ名がクソリプうさぎ。

そんな名前が付けられてもうさぎは一向に気にしていませんでした。


友達のいないネット廃人のうさぎさんでしたが唯一の友達がかめさんでした。

幼い頃からの知り合いと言う事で特に理由なく仲良しでした。

しかしそれはうさぎさんがネット依存症になる前の話です。

かめさんとうさぎさんの交流はもう3年もありませんでした。


うさぎさんは今日もネットで話題を集めるために面白そうなつぶやきを探してはパクツイをしています。

今までに炎上して作り直したアカウントはもう20をゆうに超えています。

早速新しく作り直したアカウントで暴言を飛ばしまくるうさぎさん。

この時のうさぎさんはとても楽しそうです。

他人をおちょくって自分の発言でみんなが右往左往するのがとても楽しいのです。

嘘ばっか言って信用をなくしてもアカウントを作り直せば全てリセット。

うさぎさんの悪質な遊びは終わりそうにもありません。


一方かめさんはと言うといつものんびりぼうっとしていてネットにもさほど興味はありません。

一応アカウントは持っているのですがログインすらあんまりしていない状態でした。

なのでネット上のかめさんの友達はうさぎさんだけ。

うさぎさんがころころアカウントを変えるのでもちろんそのリンク先はもう存在していません。


今日もかめさんはのんびり日向ぼっこしていました。

日光浴がかめさんの趣味であり日課なのです。

あたたかいひざしを浴びるだけでかめさんは満足していました。

のんびりとした時間が過ぎていきます。


その頃、うさぎさんはいつものように調子に乗ってクソリプを飛ばしていました。

しかし今回はクソリプを飛ばした相手が悪かった…あっと言う間に個人情報を特定されてしまいました。

困ってしまったうさぎさんはすぐにアカウントを消しました。

しかし今までやんちゃしていたので新しいアカウカントを作ってもすぐにバレてしまいます。

うさぎさんは唯一の趣味を封じられた格好になってしまいました。

SNSを封じられてそれまでは時間がいくらあっても足りないくらいだったのに一気に暇になってしまいました。

うさぎさんはクソリプを飛ばせないストレスがどんどん溜まっていきました。


ああ~!ネットで発言したい!多くの人を自分の発言でもてあそびたい!

どうにかならないかな~!


うさぎさんは悶々としながら寝っ転がっていました。

自分とバレずに発言出来るいい方法をずーっと考えていました。

他の人のアカウントで発言すればいいと言う結論に達したのは早かったのですが

その方法が中々思い浮かびません。


する事もないので何となく窓から外を眺めているとそこには日向ぼっこしているかめさんが。

うさぎさんはそこで悪知恵を閃きました。

そうです、かめさんのアカウントを使おうと思ったのです。

早速うさぎさんはのんびり日向ぼっこをしているかめさんの元へと向かいます。


やあ、ひさしぶり!


うさぎさんより先にかめさんが気付きました。

うさぎさんはちょっとバツが悪そうにかめさんに挨拶を交わします。


や、やあ!

調子はどうだい?


この時、うさぎさんは久しぶ入りに他人と話をしたのでかなり緊張していました。

ぎこちない会話になりながらも話を進めます。


ところでかめさんもネットやってたよね?

ちょっと相談があるんだけど…


会話が久しぶりすぎていきなり本題に入るうさぎさん。

でもかめさんはそんな事は全然気にせずにうさぎさんの話に乗っていました。


そうだけど、どうしたの?

何か僕が役に立つ話かな?


そ、そうなんだよ…!

事情があって僕のアカウント使えないんだ…

君のアカウント貸してもらえない?


いいよ!僕のでよかったら♪


かめさんは簡単にうさぎさんにアカウント情報を教えてしまいました。

うさぎさんは喜んで早速また自分の部屋に戻って行きました。

かめさんは何でうさぎさんがそんなに喜ぶのか分かりませんでしたがうさぎさんがすごく喜んでいたのでそれをとても喜びました。


かめさんのアカウントを借りてログインしたうさぎさん。

また無茶をし過ぎて速攻でアカウントは凍結されてしまいました。

うさぎさんは逆ギレして部屋の中がめちゃめちゃになりました。


うおーーー!

ムカツクムカツクムカツクウーッ!


まぁ、どーにもならないんですけどね。


結局ネットがつまらなくなり外に出たうさぎさん。

何もしないとすごく時間がゆっくり流れる事を知りました。

風に揺れる花やゆっくり流れる雲…忘れていたものがたくさんありました。

今まで自分は何をしていたんだろう…普段何も考えないうさぎさんをそう思わせるほどに…。


うさぎさんが近所を散歩していると日向ぼっこしているかめさんがうさぎさんに声をかけてきました。


どう?ネットは楽しめてる?


え…。


かめさんの言葉にうさぎさんはどきりとしました。

うさぎさんはさっきかめさんのアカウントもダメにしてしまったのです。

その時うさぎさんは自分でも驚くほど素直になっていました。


ごめん…かめさんのアカウント凍結されちゃった。


そうなんだ。まあなっちゃったものは仕方ないね。


かめさんはあっさりうさぎさんを許してあげました。

昔から変わらないかめさんの優しい笑顔にうさぎさんはほっと胸を撫で下ろすのでした。


そうだ、久しぶりに二人で遊ばない?


うさぎさんはかめさんを遊びに誘いました。

二人で遊ぶなんて何年ぶりの話になるでしょうか。


いいね!いっしょに遊ぼう!


うさぎさんの提案にかめさんも嬉しそうです。

一つ返事でうさぎさんの提案に乗りました。


ネット依存症だったうさぎさん。

もうその姿はどこにもありません。

うさぎさんのストレスもいつの間にか発散されていました。

ストレス発散が出来るようになるとうさぎさんの性格も明るく朗らかになってみんなから好かれるようになりました。

やがてうさぎさんにかめさん以外の友達も出来て毎日面白おかしく暮らしましたとさ。



(おしまい)

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