「ひまわりちゃんと朝顔さん」

ひまわりちゃんは太陽が大好きです。

いつもいつも太陽を追っかけていました。


でも太陽は夜には姿を消してしまいます。

そんな時、ひまわりちゃんは明日の朝を楽しみにしながら眠りに付くのです。


今日も元気に太陽があがるのを待っていると側で綺麗な花が咲くのが見えました。

朝顔さんです。

朝顔さんはひまわりちゃんが大好きな太陽の昇る前にその美しい花を咲かせたのです。


「ふあ~あ、よく寝たぁ」


朝顔さんはそう言いました。


「おはよう♪朝顔さん、ねえ、どうして太陽の昇る前に花を咲かせちゃったの?」


「あ、ひまわりちゃん、おはよう!なんでそんな事を聞くの?」


「だってみんなが起きてからの方がみんな喜んで見てくれるのに」


「それもそうかも知れないけど、私はこのまだ暗い時間の空気が好きだから」


「そうなんだぁ」


やがて太陽が昇り朝がやってきました。

するとひまわりちゃんは朝顔さんの事を忘れてひたすら太陽を追いかけます。

気が付いたら夕方になっていました。


辺りが暗くなってきてひまわりちゃんは改めて朝顔さんの方に話しかけました。


「やあ、今日もいい天気だったね!」


そう言いながら朝顔さんの方をのぞき込むと、朝顔さんの花はもうとっくにしおれていました。


ひまわりちゃんはびっくりしました。

だってひまわりは一日位で散る花じゃないですもの!


「どうして?なんでしおれちゃったの?」


ひまわりちゃんは朝顔さんに聞きました。


「これが朝顔の生き方なのよ、朝顔には朝顔の生き方、ひまわりにはひまわりの生き方、みんな違うのよ」


「だけど、それでも何だか寂しいね」


「私には私の生き方しか出来ないし、あなたにはあなたの生き方しか出来ない、それだけの事よ」


「それもそうだね、みんな違うものね」


「みんな一生懸命生きればそれでいいのよ」


「うん、私もそう思う」


しばらくして朝顔さんは立派な種を付けました。

ひまわりちゃんも遅れて立派な種を付けました。


朝顔さんには朝顔らしいかわいい種が。

ひまわりちゃんには太陽のように勢い良く沢山の種が一斉に付きました。


きっと来年も素晴らしい花を咲かせてくれる事でしょう。


(おしまい)

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