特別能力捜査班

なかの

第1話『特別能力捜査班』

「ない!!ないっっっ!!鍵がないい!」

彼は所長。

僕達が所属する「特別能力捜査班」のリーダーだ。

そして彼は、そそっかしいことで有名だ。


この人より、そそっかしい人はこの世にいるのだろうか。

常々、僕は、そう思っていた。

そして、このシーン。

彼が鍵をなくすシーンも一体何回見ただろう。


「どうせポケットの中じゃないですか?」

と女性スタッフの三枝さんが言う。

彼女も僕と、同じでこのシーンを何度も見ている。

だいたい、ポケットの中にあるのを忘れて騒いでいることが多いからだ。


彼は、『メガネをつけたまま、メガネを探すタイプの人間』なので、だいたいは、このパターンだ。


「今回はそこじゃないんだよね」

「え?どこ??」

と三枝さんが僕に聞く。


「所長の引き出し、下から二番目」

と僕が三枝さんにだけ聞こえる声で言う。


「所長!今回は、机の中らしいですよ!!下から二番目だそうです!」と三枝さんが、所長に伝える。


「おおおお、あった!あったよ!!」

と所長が叫んでいる。


「流石『シーカー』!」

と所長が僕に言う。

僕が教えたことに気がついたのろう。

物は、なくすくせに、妙に鋭い時がある。


「『シーカー』ってダサいんだよなぁ。なんかもっといい名前ないんですか?」

と僕は所長のネーミングに文句をつけた。


「いいじゃないか。お前の能力にピッタリだ」

「能力っていうのもなぁ。そんな大層なものじゃないんだよなぁ」

そう僕の能力は『探索スキル』、人が隠したものの在りありかなどが、わかる能力だ。

かなり大したことがない、せっかく超能力なら、火を出せるとかの方が楽しそうだ。


僕の能力がどういう理屈なのか、科学班の説明によると、人の顔や、部屋の状況をみると、その人の動きなどを予測して、物の位置がなんとなくわかるらしい。


「サイコキネシスみたいな能力の方が良かったなぁ」

「そんな力より銃の方が強いんじゃないか?」

と所長が言う。


「そんなこと言ったら、僕の能力とかも、パソコンの方が得意ですよ。今流行りの、ディープラーニングっていうやつ。事前のデータと事後のデータを集めて、予測するっていのは、パソコンの方が得意」

「特定の環境下ではな。生活環境ではお前の能力は未だにパソコンより柔軟だ!」

と所長が言った。


「その理屈だと、やっぱりサイコキネシスが普段はいいって話になるじゃないですか!」

「あ、ほんとだ!!」

と所長は本気で驚いていた。


「『ほんとだ!!』じゃないよ、まったく」

と僕も笑った。


電話が鳴り所長が出る。

「はい、はい。わかりました。『シーカー』を出します」

と言って電話を切る。

どうやら僕の仕事が始まるようだ。


「新しい、事件の調査依頼が来た。『シーカー』出番だぞ!」

所長が言った。


「さて、頑張りますか。」

と僕は立ち上がった。

そして、事件現場に向うのだった。

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特別能力捜査班 なかの @nakano

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