Rolling Calling You ―世界を何周してもうさぎは空を飛べない―
転がって転がって転げ落ちて
どうにか逃げ延びてやり過ごして
這いずるようにさえしてもどかしく切符を買って
走るよりも転がった方が速くて
発車間際の明日に転がり込む
なんとか間に合えば
また僕はきみを呼ぶ
夜を通り抜ける列車は満員だけれど
どうしても寂しいと思ってしまうから
Rolling Calling You
きみのもとへ飛んでいきたいと思うのに
うさぎの身分ではかなわない
距離ばっかりじゃなく
過去や傷や過ちや
僕たちが男女であることなど諸々
すっかりバリケードだけ立派になってて
ローリングアタックで壊すしかないけど
トゲがついていて痛そうだなあ
きみに孤独を埋めてもらうには
ちょっと傷を覚悟しなくちゃならない
それが僕だけの話ならばよかったけど
要するに途中下車はできない
のどかな街を見送って
空が飛べないってことを思い知るばかり
寂しさが募って呼んでも
届くことはないと知っているよ
Rolling Calling You
夜を過ぎれば降ろされる
ここは名前も知らない街
もちろんきみはいない
すっかり転がることが板についてる
旅先でのアバンチュールなど期待したいところなのに
こんなに転がってばかりいては期待薄
世にはびこるのは無情ばかり
さあて今日も生き延びよう!
転がって転がって転げ落ちて
次の明日が発車する街まで
陽が落ちるまでに
ああ、もしここにきみがいたとして!
明日に急ぐことなんてやめて
手を繋いで
徒歩で
どこまでも行けたなら!
転がって
転げ落ちて
無様にけれどだってこっちのが速いって言うか
走るのも飛び跳ねることもまともにできない
出来損ないのうさぎ
寂しがることだけ一人前
急がないと明日が行ってしまうよ
ああこんなに転がって転がって転がって
呼んでいるのに
無様に呼んでいるのに
かっこよくはない
切実なだけ
急がないと明日に乗り遅れる
転がって呼んで転がって呼んで転げ落ちて求めて
すっかり誰を呼んでんだかわからなくなって
きみのいる街からは離れていくばかり
世界を一周できればもう一度会える
呼んで求めて呼んで求めて
すっかり誰を呼んでんだかわからなくなった
Rolling Calling You
転がって転げ落ちて
運よく誰かと巡り会えても
同じ明日に乗るとは限らない
やっぱり一番確実なのは
明日に急ぐことをやめて
手を取り合って
徒歩でどこへなりとも行くことだけど
Rolling Calling You
うさぎは歩くことが大の苦手
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます