坂道の先に



見慣れたとも言いがたい

きみのいる街

道順は覚えた

そのくらいの頭は残ってる

坂道を登った先に

きみの家がある

初恋に似た気分で

一歩ずつ進む

慣れない街の

灯火のようにある

僕は弱い

坂道は疲れる

登っているのは

僕が羽虫だから

そこにあるのが灯火だから

あれ?

僕に羽なんてあったっけ

でも僕は羽虫

小さな小さな羽虫

きみに翻弄されるだけの虫

蜘蛛の巣に引っかかる前に

早く着かないといけない

独りでは越えられない夜の間

きみに抱かれるために

羽虫でいるのも悪くない




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