行ったり来たりで
季節が変われば
景色も変わろうはずが
僕らときたら
ありきたりに
行ったり来たりで
毎度おなじみ
鳴り渡る朗らかな笛に
連なる行列
賢しさを損なう
断罪に遠ければこそ
何か手向けたくなるもの
時が移ろえば
鼓動も動きゆくはずが
僕らときたら
ありきたりの
行ったり来たりで
知らぬ存ぜぬでも
先の知れる顛末
許しがたいね
例えばのワンシーン
いつも通りのコーヒーの香り
今日もつつがなく胃を傷つけて
カーテンを気持ちほど開けている
漏れ入る陽光はいかしも至誠で
そのわりに尻尾はあたかも魔性
月が浮かぶころには
いくらか落ち着いているであろう些事
蝉はとうに鳴きやんでいるとなれば
UKロックのひとつくらい
おごそかに聞いてやりたくもなる
だからってどうしたも
こうしたもなくて
連続性の中にあるうちの
ひとつきり
行ったり来たりの道中の
往路を過ぎて
復路の手前
あるいはその逆
連続性の中にあるうちの
間違いのないひとつ
冷たさに戸惑わず泣きうるのであれば
明日も昨日もないうちの
きみのまぼろしを見るのかもしれない
あるいは声が自由であれば
あるいは祈りと共にあれば
あるいは?
あるいは海が近くにあれば?
あるいはそこに相似があれば?
あるいは?
ただ命でさえあるのなら?
たったそれだけで?
何がわからなくとも
きみのまぼろしが佇む湖は
少しも美しくないと
それだけは重々承知でいるよ
行軍をやめないとして
おごそかに聞くUKロックは
どんなマーチにもならなくて
少しばかり途方に暮れる
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