歩みの水際
好きなものを好きなようにやるだけのことが
どうにも
そのくせ夢見がちの
閉塞した自己愛
せめて今は
誰が敷いたでもない
這うような
好きなものを好きなようにやるだけのことが
どうあっても難しく
その割に欲しがり
何ら希望を見ないとしても
濡れ色の心で
忘我の心地とは言えなくとも
歩みの
雫の淫らに心を打たれたよ
怠慢な
ここ数日、夏が季節を忘れているよ
コーヒーがブラックで飲めるようになったよ
生き方なんて覚える端から零れていくよ
明け
煙草の
逆徒になれるほど熱心にやれはしないよ
ただひたすらの
歩みの水際
濡れ色の心で
月映えの道には程遠い
脈絡のない線路
不格好なままで
ただ歩いている
淡海に続く一縷の道を
全うしたくて
雄渾とは間違っても言えるものか
存在しない復路
仮の宿に浮かべばこそ
叶うとは
首を左に振る癖を直したいよ
淡海なんて水溜りに過ぎないと知っているよ
自販機に頼りすぎているとわかっているよ
祈りの水際として
歩みのままに
憧憬は蜥蜴に預けたから
祈りの水際として
選びようのない改悛の行程を
寝腐れ髪をそのままに
小さな悲劇で
一歩を止めない
愛するあなた
願わくは繋がりながら
どうぞ歩かせてください
どんなに不器用でも
あなたの心模様を濁らせることになっても
ただひたすらに
祈りの水際として
淡海に続く一縷の道を
それが何を得ることでなくとも
どうぞ歩かせてください
全うしたくて
それさえ忘れて
濡れ色の心で
歩みの水際にいたいだけ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます