陋劣の剥落、されど卑しく愚か
随分と下卑た物言いをするものだと
我ながら感心して
そこに何かの意味を認められず
しかしながら猛省する義理もなく
されど
今宵、見事な月夜
酔いの覚めぬうちに
されど卑しく
始めから終わりまで
愚かそのもの
けれど剥落
人として上等になったのかどうかは
議論の余地なく
とどのつまりは
始めから終わりまで
愚かそのもの
死人にならねば出られぬ浮き世
漂うばかりでは死にはせず
緩慢な罪悪を積み重ねては
脱皮のように剥落を待つ
その後、一日も経てば
皮膚は硬くなっているだろうのに
今宵、冬の夜光に照らされて
陋劣は再び剥落していく
さあこれは見事な遊戯
繰り返される愚かしさと喜劇に
拍手喝采が鳴り響けば
また再びナイフを取ろう
切り裂くのは己の心
阿鼻叫喚の共感で
賛辞は惜しみない
そのこと自体が
もはや卑しく
とうに愚劣で
陋劣そのものであると
例え気付いていたところで
剥落に抗うこともできない
もはや惨事で
尊厳からの滑落
されど逃れ得ぬ
また卑しく
繰り返すたびに人間
清らかに生きていては
死ぬ自由さえそこにない
剥がれ落ちる陋劣が
すっかり海となって
いつしか大地を潤すなら
咲く花の美しさは
紛れもなく生の謳歌であるだろう
まるで聖者の棺
その眩しさに目を覆う
卑しく
とうに愚劣で
陋劣そのもの
どうしても人間
きみがどんなに
思い返してみるに
僕はどこにもいないきみを見ていたのかもしれないな
それは否定しないけれど
きみへの思いは
剥がれ落ちない
余計に卑しく
救えぬ愚劣さで
剥落していく愛を歌う
陋劣そのもの
どうあったとしても人間
始めから終わりまで
緩慢に剥落を望み
死ぬ自由さえ拒む勇気のない
しがない人間
冬が終わる
いまだ
僕は身震いして
コートのポケットに手を入れる
きみのぬくもりには
ほど遠い
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