積み木遊びの鈍色
言葉が足早に駆ける積み木遊びの
きみが微笑んだことの答えは五里霧中
愛してと言うならば汚辱さえ覚悟して
抱き寄せる手が何より過ちだと知って
声音が震えても命の迸りで僕を呼んで
解のない逸話に
君の姿と君の声と君の温度が僕を苛む
されど世は無常に揺らめく幻灯の模様
言葉が足早に駆け抜けて燭に影を作る
愛と言葉と接吻と情欲と夢がざわめく
強くこの手に抱けないことだけが真実
ここに留まることすらできない
案山子は忘れてはいけない
自分が歩けないことを
積み木遊びの鈍色の中で
ふっと消えそうになるのは
三文芝居の鼓動のせい
それを愛と呼んでも
案山子は歩む足を持たない
僕らが共に歩むことはないと
それだけを暗黙のうちに秘める
流される情欲の中で見る
まほろばにたゆたう夢想
案山子であることを忘れて
きみに抱かれるのと似た思いで
散文を紡ぐ
滑稽な幕間
もうすぐ
押し流されるよ
きみが微笑んだことの答えは
求めて嘆くだけならば慕情など捨てて
別たれる覚悟ができたら早く口づけて
命の死滅を目の当たりにして歌ってよ
音波が貫いて溶かす真実は無用の美徳
全て呪うまでもない些細な季節の
僕は案山子僕は案山子僕は案山子僕は
君の姿と君の声と君の温度を消耗して
唯一の夜にふたりで祈りを喚けばいい
その一夜が永遠になることもなく微笑
手をいたずらに繋ぐよりは誠実な悪意
烏になったきみとふたりで踊る案山子
瞬間の忘我の果てに
レッツ・ダンス・オン
僕は案山子僕は案山子僕は案山子僕は
結局生まれてから死ぬまで重なれない
烏ならば案山子の肩から飛んでいけよ
結局生まれてから死ぬまで重なれない
正気の沙汰じゃねぇって言いたいだけだよ
僕は案山子
ともに歩けやしないなら
今夜だけ戯れましょうか
月夜烏が愛をさえずる
そんな夢物語
明日には跡形もない
それを切愛と呼んでみたところで
生ける者の間抜けさで
思い知るだけ
僕らが共に歩むことはないと
月夜烏が愛をさえずる
正気の沙汰じゃねぇって言いたいだけだよ
積み木遊びの鈍色が
月に飲まれてく
正気の沙汰じゃねぇよ
これっぽっちも
どこのひとつも
月に照り返すことすらせず
正気の沙汰じゃねぇ
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