ミドルア
アグラレシアとナハトミカの国境を流れる大河ルダウの河口付近の中州にできている都市。
遺跡に水が流れ込まないように、巨大な運河が造られ、ルダウはミドルアを挟むように海へと流れ込んでいる。
都市全体が巨大な城壁によって囲まれている。
アグラレシア側とナハトミカ側へとそれぞれ吊り橋が架かっているが、普段は上げられていて、通行できるのは一日に一度だけ。
一見、鎖国しているようにも思われるが、ミドルアは常にシーカーを応募していて、またミドルア内部のギフトのほとんどは、外の世界では役に立たないために、出入国の審査はそれほど厳しくはない。例え、ミドルアで見つけた技術を外に売り込むことにより富を得たとしても、ギフトを一度体感した者は、その快楽を忘れられず、再びミドルアへと戻ってくる――とか?
地下部には広大な遺跡が広がっている。
無整理で、内部では時間の動きすら一定ではなく、唐突に妙な場所へとつながることもあったりして、どれほどの大きさがあるのか未だに不明。
地上部では増築に増築を重ねた建造物が複雑に絡み合い、都市を外から見れば、まるでひとつの巨大な城のように見えるのだとか。
都市では下層、中層、上層、最上層部に分かれていて、上層に行くほど侵入は制限されている。
つまり、高位クラスにならなければ上層へ行くことはできない。
下層部は人の入れ替わりが激しいために、エントランスを除いてほとんどがスラムの様相を見せている。
■外観
中央に巨大な塔が建っていて、それを囲むように八つの塔が建っている。
合計で九つの塔は、それぞれ完全に独立しているわけではなく、いくつもの連絡通路や空中庭園が複雑に絡み合って、支え合っている。
ゆえに、第一層以外は、そこが何階に当たるのかは各塔によってまったく異なるために明確には言えない。
■地表
ミドルアの東西を貫くように【大動脈】と呼ばれる広大な通路が走っている。
それは
大動脈の端には、それぞれアグラレシアとナハトミカ側への《門》が存在している。
大動脈の北側には四つの塔の基礎が、南側にも四つの塔の基礎がある。
中央塔を除いた八つの塔には、北西にある魔晶石(アェタイト)の塔を除いてそれぞれ主がいる。彼らは「ブレイン」と呼ばれ、ミドルアを実質支配する者として考えられている。
九つの塔の地下から、それぞれ地下迷宮へと侵入出来る。
それぞれ特色があり、地下部では互いに接触している部分もある。
大動脈沿いにいくつもの店が出来ていて呼び込みみたいなことも行われている。
ミドルアの商人たちにとって、大動脈沿いに店を出すのは一種のステータスとなっている。
南側にはアテマリス神殿の大聖堂があり、北側にはティオリア神殿の大聖堂がある。
それぞれミドルアの到る所に支部を持ち、密かに勢力を争っているとか。
基本的に大動脈の東側はアグラレシア帝国寄りの、西側はナハトミカ寄りの勢力で占められている。
九つの塔の基礎から外れた場所は、よくスラム化している。
■九つの塔
それぞれの塔がなぜその名で呼ばれているのか不明だが、別に塔の材質を示しているわけではない。本当によくわからない。
アグラレシア側の門から、右回りで尖晶石、燐灰石、柘榴石、長石、魔晶石、角閃石、輝石、沸石と並んでいる。
塔は巨大すぎて、一種のダンジョン化している部分もある。だが魔晶石の塔を除いて、概ね、各塔の主たちによって一定の規則ができあがっている。
塔の主に従い、様々なパーティ(シーカーたちのグループのこと。遺跡攻略に当たり、共同で行う者たちの集まりを指す。公的な集団ではない)の本拠地が設立されている。
それぞれ、60~80階になるが、中央塔をのぞいて、すべて同じ高さ。
●中央塔(セントラルタワー)
もっとも巨大な塔。
この塔の上層部のどこかにイーハ・ブレヴィアリオがいるとか?
ブレインたちが集まる中央会議室や、ギルドや組合の本部もこの塔にある。
この塔内にパーティの本拠地を設置するものは滅多にいない。パーティを組まず、個人で遺跡攻略に当たる者は、よくこの塔に住居を持っている。
階層は100を超える。もっとも巨大で、もっとも高い塔。
●尖晶石(スピネル)の塔
騎士王=サディアス・ブラックストンの君臨する塔。
わりと塔内の規則は厳格、かつ規律正しい。この塔に拠点を持つパーティはどれも大規模であり、パーティとしてのランクも中堅以上のものが多い。
この塔に所属するギルドは、最大のギルド〝至塔騎士団(ナイツ)〟に関わりのあるギルドか、下請けの仕事をする下部ギルド。下部ギルドにいる人々は、いつの日か、ナイツに昇格することを夢見るのだとか。
●燐灰石(アパタイト)の塔
老魔術師イレールの支配する塔。
マイスターがもっとも多く在住している。
わりと個人主義者が多いことから、パーティを組まないシーカーたちもたくさんいる。
ダンジョンに挑むより、研究室で研究することを主としているものが多い。
どの勢力とも一定の距離を置いた付き合いをするものが多い。
●柘榴石(ガーネット)の塔
吸血鬼フレデリク・ド=リールが支配する塔。
別名〝夜の塔〟〝赤い羽の塔〟とも呼ばれる。
亜人がやたらと多い。
●長石(フェルドスパー)の塔
獅子頭レオンの君臨するギルド。もっとも雑多な雰囲気のある塔。
この塔に根拠地を持つパーティは小規模なものが多い。だが、パーティの中でも上位にあるものは、塔全体の中でも最高位に位置している。
ちなみに、娼館も多い。
治安の悪さも高いが、活気も高い。
●魔晶石(アェタイト)の塔
唯一支配者のいない塔。
高位レベル者でも苦戦するほどの魔物が、なぜかこの塔では出没する。
●角閃石(アンフィボール)の塔
魔女アイリーンの支配する塔。
しかし、当の本人はよく留守にしているため、塔内は別の組織が形成されている。
その集団は魔術師ユニオンと名乗り、今、急速にミドルアに認知されつつある。
だが、その象徴たるアイリーン自身は、あまり興味がないようだ。
●輝石(パイロキシン)の塔
雪女エ・デイスリーン・ミドレが支配する塔。
やはり亜人が多い。そしてなぜか、聖職者も多い。
エ・デイスリーンは、塔の最上階に座して、滅多に動くことはない。
塔の最上階では常に雪が舞っているのだとか。
時折雪が止むこともあるが、そんな時は、エ・デイスリーンはどこかに出かけているのだとか。
●沸石(ゼオライト)の塔
道化師ハヴィエルの支配する塔。
もっとも混沌とした塔。
様々なパーティのホームも存在するが、魔物も普通に塔内を闊歩している。
変人の集まる塔。中には、人から外れてしまったようなものたちも住んでいる。
■ダンジョン
いくつかの層状構造になっているダンジョン。
各層もそれぞれ階層に分かれていて、その厚さは各層によってまちまち。
上位層を抜けないと、下位層には行けない。
そして、各層には、下位層に抜ける通路は一つだけで、その通路は常にボスと呼ばれる魔物が守護しているのだとか。
ボスは一定期間を置くと、復活する。
ダンジョンに充満するアエタイトがどうにかして集積され、ダンジョン内にいるモンスターに、自然にボス的な力を与えているのではないかとかどうとか。
そして、ボスはその層でもっとも居心地の良い場所へ陣取るとか。
●ダンジョンの構造変化について
毎日零時になると同時に、ダンジョンは鳴動して、造り替えられる。
地表にも影響が出て、各塔はゆっくりと時計回りに八分の一だけ回転する。
ダンジョン内の構造変化は、もっと複雑で、下位層になればなるほど、変化は大きくなるのだとか。
構造変化時、通路にいたりすると、壁に押しつぶされてしまったりする。
また、ダンジョン内の部屋はつぶされたりはしないが、通路が閉ざされてしまって、出ることができなくなったりすることもある。
ゆえに、ダンジョンに入るのは、通常一日単位で行われ、比較的早い時間に戻ってくることが基本となっている。
計画的に数日間潜る場合も、地下で閉じ込められることを考え、数日分の食料を余分に持ち込むことが必須になっている。
このせいもあってか、ダンジョンの攻略は、発見から三十年経っても、まだ完了していない。
ダンジョンは今のところ、第九層までが確認されているが、いったい全部で何層になっているのかは、未だに判別されていない。
●入り口について
ダンジョンの入り口は、各塔の地下にある。
全部で九カ所。
セントラルと、スピネル、フェルドスパーの入り口が、もっとも難易度が低いとされているが、どこから入ろうとも同じ第一層である。出没するモンスターのレベルに大差はない。
せいぜい、出現頻度が違う程度である。
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