名残の月に
十月中旬の夜風は涼しいを超えている。ここ一ヶ月でずいぶんと冷たくなったと思う。
冬支度をする頃には、もう余裕なんて無くなるのかな。
そんなことを考えながら駅近くのいつものファストフード店に腰を落ち着け、ゆっくりとプリントを広げた。
ワンコインのドリンクを片手に今日の復習をするのが、いつの間にか習慣になっていた。
英語の長文の訳を確認しながら、時折ケータイに来るメッセージに目を通す。
友人たちの間にも、さすがにまだ切羽詰った雰囲気は無い。
実感がわかない、いや、危機感が足りないのかもね。
アイスティーを一口含み、そっとケータイをテーブルに置く。
こうしていられる時間も、決して長くはないんだね。
一つ息を吐き、再び英文と向き合う。今すべき事は目の前のこれなのだ。
「よう」
聞き慣れた声と同時に隣に座る気配を感じて、私は視線を上げる。見上げた視線の先にはやはり見慣れた微笑を浮かべた彼の姿があった。
「お疲れ様」
彼は私の言葉にうなづきながら机の上に鞄を置いた。
「買ってくるけど、何かいる?」
「ううん。大丈夫」
いつも通りのやりとりを交わし、彼はカウンターへと向かう。その姿を横目に、私はそっと息を吐いた。
こうして会うのも何度目だろう。夏休みの後半からだったか。
クラスメイトである彼と同じ予備校なのは知っていた。淡い期待のようなものなんて抱かなかった、と言えば嘘になる。でも現実、コースは異なった。そのおかげでこうしていられる、というのだから、これはこれで良かったのかもしれない。
本当に良かったのだろうか。
何の因果か、彼は三年間同じクラスだった。最初は単なるクラスメイト。テストの打ち上げやカラオケなどにグループの友人と一緒に参加した時、彼は必ずそこにいた。
そんな場で率先して馬鹿やって皆を盛り上げる一方で、私を含め皆に声をかけたりもしていた。
個人的には助けられた感じがある。皆で盛り上がろうという場に、私はいつも溶け込めないからだ。
たぶん、彼は周りを気遣っているのだろう。そういった行動は時折見受けられたし、私的にはとてもありがたかった。
別段、私を特別扱いしてくれているなんて思ってない。そこまで自惚れてはいない。
でもそうだったら、と思った時点で、私は敗者になったのだと思う。
我ながら単純なものね。ほんと些細なきっかけで転がり落ちたのだから。
でも努めてそれを圧し留めてきた。経験が無いわけじゃない。昔のようにバタバタ焦らないでいられる程度に成長はしているのかもしれない。
でもその想いを口にしたことは無い。心の内で未完成にうごめく物に、名前を付けてしまうことが怖かった。
いや、それによって優先順位が変わってしまうことが嫌なのだ。
「クーポンがあったんだ」
そう言って戻ってきた彼の手にはトレイが。その上には飲み物だけではなくハンバーガーと小さな箱が載っていた。飲み物はおそらくコーラで箱はナゲットだろう。
家に帰れば晩御飯が待っているはず。ほんとに男の子はよく食べるわね。
いつもいつも、と思いながら彼を見る。
美味しそうに食べてるのはいいんだけど。こっちまで食べたくなっちゃうじゃない。
そんな私の気も知らないまま、彼はあっという間にハンバーガーを平らげてしまう。
「さて、はい。これが前回の答えよ」
私はクリアファイルからプリントを引き出してトレイの上に置いた。
定期的に会っているのは、お互いの授業の問題をやりとりするためだ。時間やお金といった事情もあるので、受けたい授業を全て取れるわけじゃない。だからこそこの協力、互恵関係というのが私たちの間柄だ。
私は英語の読解を、彼は数学の演習をそれぞれ見せ合うことが、この時間のすべき事なのだ。
彼は紙ナプキンで指を拭いてから置かれたプリントを手に取り、自分の鞄からクリアファイルを取り出した。そしてそこからプリントを引き出して私に差し出す。
やはり前回の数学の演習の答えだ。
「ん、ありがと」
私もそれを受け取りつつ、クリアファイルから別の用紙を取り出す。前回彼から受け取った問題だ。
そして二人とも自分の答えを確かめていく。店内のざわめきを耳にしつつ、一つ一つの過程、答えを追っていく。
数学は嫌いじゃない。基本的に答えは一つだし、そこに至るまでの道筋はロジカルで、曖昧さなど無い。
たしかにその道筋は簡単なものではないのだけれど。
「……ふぅ」
一通り答えを確認して、思ったよりも大きく息を吐いた。
正答率は予想より高かったのだが、自信を持っていた問題で凡ミスをしていて、なんとも複雑な心境だ。
ぬるくなったアイスティーを一口含み、横目で彼を窺うと、彼はじっとプリントを見つめていた。
その視線は当たり前に真剣で、とても力強いものに感じる。
そうだよね。先がかかってるわけだし。
その為に、私たちはこうしてる。
軽くかぶりを振って頭の中を切り替える。最近、頻度が増している気がする。
もう十月半ば。こうしているのも、たぶん年内、冬休みに入るまでだろう。センター試験に向けて追い込みが始まれば、空気も変わるはず。
もう一度アイスティーに口を付け、目を閉じてぐっと飲み込む。
中でぐるぐるしている分には構わない。
そう思える人と出会えただけで、幸せだと思ってるから。
目を開けて確認の終わったプリントをクリアファイルに、そしてファイルを鞄へとしまい、代わりに文庫本を取り出した。
これもいつもの事。彼の確認が終わるまで私は本を読んで過ごす。日々の中でも本を手にする時間は減ってきている。まぁ仕方ないことだと思うけれど。
いや、言い訳かな。何かしてないと意識してしまうって、自分でも分かってるから。
向き合わない。逃げ腰。誤魔化し。
私は、卑怯者だ。
一度そう決めた私が、勝者になっていいわけが無い。今更、この時期になって、なんて都合の良すぎる。空気が読めてないなんてものじゃない。
だったらもっと前に、せめて夏前に行動を起こすべきだった。
本来なら顔向けできる立場じゃないのかもしれない。それでも現状を望み、ある種のモチベーションとしているのも事実。
そう思えば思うほど、自分が嫌になる。
どうあれば自分は納得するのか。
告白し受け入れられることか。それとも一度だけ、思い出といって抱かれることか。先を考えずゆっくりと時間を過ごすことか。
全て解の範囲内の事象のようで、それでいて正答でないようにも思う。
どれが正しいかなんて、誰に決めてもらうものでもない。ただ自分が思うようにするしかない。
その自分が、ブレてるんだよね。
顔を見る度にゆらりゆらりと振り子のようにブレていく。決めたはずの事象がブレるのは、ただ自分が弱いから。
そんな自分が嫌に、といういつものループ。
私は、誰かの、彼の隣にいていい存在じゃないんだ……。
「おーい、聞こえてるか?」
呼ばれた声、目の前で振られた手のひらに、はっと我に返る。
どうやら本を開いたまま思考の海に没入していたみたいだ。開いた本の栞すら抜いていなかった。
「ん。ちょっとぼーっとしてた。大丈夫よ」
慌てて無理やり笑みを作り応じる。彼が隣にいるというのに、本当にらしくない。
「ちょっと根詰め過ぎじゃないか?」
「そんな事無いと思うけど」
自分でも違和感を覚えるほどぎこちない笑みだったに違いない。彼の表情がそれを物語っていた。
心中、やってしまった感でいっぱいだった。でもそれはなんとか表情に出なかったようで、まだ自分はふらつきながらも独りで立っていると言えるのか。
「まぁいいけどさ。無理すんなよ。あ、これ食べるか?」
そう言って彼はナゲットの小箱を指し示す。いつの間にか蓋は開けられ数が減っていた。もちろん彼が食べたのだろうけど、それにも自分は気が付かなかったとは……。
ほんと、マズったなぁ……。
「うん。ありがと。いただくね」
答えておもむろにナゲットへと手を伸ばす。
おそらく揚げたてを貰ってきたのだろう。ちょっと時間が経った今でも、まだ温かかった。
嚥下して改めてアイスティーを飲む。喉を通る感覚とともに頭の中も現実に戻っていく。
「疲れてる、のかなぁ。うーん……。まぁ今週末はゆっくりするよ。試験前でもないしね」
少しおどけたしぐさを交えて軽く話す。心配するほどのことは無いよ、と。
「そうだな。焦ってもいいことなんてないからな」
そう言って彼も軽く笑う。
穏やかな、落ち着いた微笑。彼はいつもそうやって周りを見てる。人を見るときの表情。
だからこそ私は殊更いつも通りに振舞う。ケータイを手にしメッセージの有無を確認してまた戻す。慣れた動作は、それだけで心持ちすらも落ち着かせてくれるものだ。
大丈夫。いつも通り。
「これ、今日の課題分」
そんな私に差し出される紙片。今日の彼の講義の問題だ。
「ありがと。……あ」
受け取って気付く。私が渡すべきプリントはファイルの中、鞄の中ということに。
いつもなら外に出しておくはず。やはりちょっとらしくない。
そう思いながら再び鞄からファイルを取り出す。彼は何も言わず私の出したプリントを受け取った。
これで今日すべき事は完了だ。あとは次回の講義の日までに問題を解いておけばいい。
「行事も全部終わったし、後は入試まで一直線か。終わってみればあっという間なんだろうな」
残りのナゲットを頬張りつつ彼は続ける。
「先週まで文化祭だー、って走り回って、打ち上げで盛り上がったじゃん。数日前のことだけど、ずいぶん前の気がするんだ」
ああ、なるほど。その感覚は分かる気がする。イベントの後は物寂しさも手伝ってそういう風に感じやすい。
「そうね。もうこれと言って行事無いものね。皆と騒げるのは、テスト終わりくらいかしら」
ありそうなのはテスト期間最終日のカラオケだろう。ああいった場は得意ではないけれど、嫌いでもない。
「入試が終わって、卒業式が終わったら、一回くらい皆で集まって何かしたいな。進学先はそれぞれ違っちゃうだろうし、その前に何か一つ、さ」
これまたずいぶん先の話だ。入試という大きな壁を間に挟む以上、正直その先は想像が出来ない。
その時自分は何処を向いて立っているのか。他の皆と同じように、胸を張って前を向いていられるのだろうか。
そうありたい為に今、そしてこれからも頑張っていかなくちゃならないのだけれど。
「卒業か。ちょっとまだ想像出来ないな」
口をついて出たのはそんな言葉だった。
想像出来ない。正しくは想像したくない、なのかもしれない。
卒業は別れ。真っ先にそれが浮かんだのだ。
その時が過ぎれば、こうやってやり場の無い想いを抱えなくてもよくなるのだろう。
そうあろう、と思い努めて律してきたつもりだ。そもそも報われるかどうかすらも分からないものなのに。
今の状態が期限付きであることも分かっていた。きちんと理解しているつもりだ。それでもその先を考えることを、やはり拒否していたのかもしれない。
そんな相手から出た卒業という言葉。それは私を揺らすのに十分な重さを持っていた。
「まだ先の事はあまり考えたくないの。でも、もし出来たら楽しいだろうし、思い出にはなるかもね」
何とか言葉を吐き出してアイスティーを口にする。ほぼ常温となった液体が喉を通って落ちていく。
「そうだな。後で他の奴にも話してみるよ。たしかに先だし、どうなってるか分からないけどさ。そういう楽しみがあるから頑張れる、ってのもあるじゃん?」
相変わらず彼は前向きだ。もちろん先を思えば、彼だけでなく誰だって不安要素はあるだろう。
それでもそれにただ向かうのではなく、その先の楽しみを考えてる。
不安要素にただ及び腰な私とは大きく違う。私はその不安な点で思考が止まっている。それをどうしようかと考えてばかりで、その先へと進んでいないのだ。
やっぱり私はダメダメね。
もっと強く。前を向かなきゃ。そう思っているはずなのに。
「ふふ、そういう面もたしかにあるかも、ね」
背筋を伸ばし、気持ち首を傾げて彼を見る。
自分はいつも通りの顔をしているだろうか。
刺すような胸の痛みを隠し通せているだろうか。
今の私には、わからない。
「だろ! 決まりだな」
彼は笑ってストローをくわえ一口飲むと、再び話を続けた。
嬉しそうな彼を見ると、なんとも言えない気持ちになる。
喜ぶなら参加したい。これまでも、なんだかんだと楽しかったのだから。
でも、どっちつかずじゃダメだよね。
いつまでもブレていられない。
一度は、飲み込むと決めたのだから。
ぐっとストローから中身を吸い上げる。切れ目を表すかのように、ちょうどその一口で中身が空っぽになった。
二人揃って店を出た。街中を吹き抜ける風は変わらず涼しく、二人の間を抜けていく。
私は駅からバス、彼は電車で帰宅するので、必然的に駅まで一緒に歩いていくことになる。わずか数百メートルしかないけれど。
「やっぱり、調子悪いのか?」
隣を歩いていた彼が立ち止まり、振り返って訊いてくる。私は間を置かず「何で?」と訊き返した。
「いや、なんかさ、上の空っていうかさ。普段のお前らしくないっていうか、さ」
彼の表情には心配が張り付いている。そんなに自分はらしくなかったのか。
「大丈夫だよ。体調も悪くないし。……そんな風に見えるの?」
訊き返すものじゃない。そう考えた時にはすでに口が動いていた。
「店にいる時もぼーっとしてたしな。それに今も歩くの普段より遅かったぞ。気付いてないのか?」
「え?」
嘘……。
たしかに、現在彼は隣じゃなく左前にいる。
そう、隣に居たと思っていた彼が、振り返ったんだ。
「あ、あれ……そっか、ごめんごめん」
慌てて誤りながら半歩ほど間を詰める。
「本当に調子悪いわけじゃないの。ただ……ちょっと考え事を、ね。気に障ったら、ごめんなさい」
うつむき、そっと頭を下げる。それ以上の中身を追求されるわけにはいかない。
「そっか。いや調子が悪いんじゃなければいいよ。もしそうだったら、待っててもらったのが申し訳ないからさ」
顔を上げて彼を見ると、たしかにほっとした顔をしていた。
「もしそうだったら連絡してるよ。別に今日じゃなくても大丈夫なわけだし」
そう取り繕うが、果たしてそうだろうか。ちょっとくらいの体調不良なら、隠してでもこの時間を過ごそうとは思わないか。
もちろん心配をかけることは本意じゃない。
それでも、一緒の時間を過ごせるなら……。
「ま、そうだけどさ。だいぶ冷え込むようになったからな。場所を変えるのもいいかもしれないな」
「うん。そうかもね」
即座に相槌を打つ。
駅の中やすぐそばにも店はある。でもそうすると、当然誰かに見つかる可能性も高くなる。
それだけは避けたかった。そこで邪推されたら、私は、自分を止められないかもしれない。
「駅の中のパン屋はどうだ?」
「あそこ閉まるの早いよ? あと値段が、ねぇ」
邪魔なんかされたくない。
「んじゃ向こうの出口はー、面倒だな。……おっと悪い。電話だ」
彼の声に私は片手で応じ、そっとビルの壁に背中を預ける。すでに駅の入る建物は視界の中にあった。
ぐっと両手で体を抱く。夜だから目立たないだろうけど、たぶん顔も少し赤い。
吹き抜ける夜風が心地よい。そんな風に全部流せたら、と思う。
飲み込んで、腹の中にしまいこんだ激情も、全て流せてしまえるのなら。
私は喜んで流そう。でも、そんなこと出来るわけがない。
ありのままを話せたら、どんなに楽だろう。
誰しもが思うことだろう。それが怖いから、皆どこかで嘘をついて、隠して、表を作り上げる。
それでも、自分の中を晒して、知って欲しいと思うことが、人を想うってことなのかもしれない。同時に、相手のことを知りたいと思うことも。
私に、そんな覚悟があるのか。彼のことなら、どんなことでも受け入れられる。そんな自信があるのか。
答えは……ノー。
明らかに私は外すことを狙ってきた。一定以上に踏み込まず、踏む込ませず、はっきりとラインを作ってきた。
人一倍気を使う彼が、それに気が付かないはずが無い。
今私は自分からラインをはみ出しただけ。だから……私は……。
「悪い。待たせたね。バスの時間になっちゃうかな」
戻ってきた彼を見る。そしてそのまま視線を上げた。
「ねぇ」
「ん、なんだい?」
風に靡いた髪を指で撫で付ける。
「今夜は……月が、綺麗ね」
視線は上空を見上げたまま。ただゆっくりと言葉を紡いだ。
天球には、わずかに欠けた十三夜が浮かんでいる。
「今日は、十三夜だったか」
隣から彼の声が聞こえる。十三夜であることを知っていたのにちょっと驚いた。
欠けたるもののない望月よりも、十三夜の方が人間味があるように思う、と先生が言っていた。
いわく、人間は完璧なものじゃない。だから完璧に憧れる。だからこそ、十三夜であるように、と。
努力を惜しむな、って言いたかったのだと思う。今なら何となく分かる気がする。
私はまだ、足りてない。だから。
「ええ、そうね。ほんと、綺麗ね」
私は繰り返す。伝わることが無いと分かっていても。
こぼれてしまった部分を吐き出し、線を引き直すために。
これ以上の言葉は望んでいないけど。
「綺麗な月ね……」
「ああ、そうだな」
ゆっくりと目を閉じると、まぶたの裏に月の残光が焼きついていた。
程なく駅へと到着する。人の量は相変わらずといったところか。
私の乗るバスはすでにロータリーに停まっていた。発車まであまり時間は無い。
「バス着てるし、またね」
私は小さく手を振り彼の隣から離れる。
「ああ、ってちょっと待て」
珍しく呼び止められてちょっとつんのめる。
「何?」
時間が、と言外に込める。が、彼は飄々と言い放った。
「十三夜だけ見るのは『片見月』って言って縁起が悪いんだ。だから明後日の十五夜も見に行くぞ。じゃあな!」
言うだけ言って彼は改札方面への階段へ向かっていった。
一瞬あっけに取られたけれど、エンジン音に気付き私は慌ててバスに飛び込んだ。
座席に腰を沈め、言われた言葉を反芻する。
「片見月、順番逆でしょう?」
素で間違ったのか、口実なのか。判別はつかない。
まあいいか。明後日突っ込んであげればいい。
一つ息を吐き、動き出した車内から窓越しに月を眺める。
「ほんと、綺麗な月ね」
不思議と気持ちは落ち着いていた。
代替とはいえ、言葉にしたことが大きかったのだろうか。
「嘆けとて 月やは物を思はする かこち顔なる わが涙かな」
いつか調べた歌が口を付いた。
月のせいには出来ないけれど、それでも言葉にしてくれたから。
何かお供え物でもしようか。やっぱりお団子かな。
明後日、持って行くのも面白いかもしれないな。
そんなことを考えながら、そっと目尻を指で拭う。
そして聞きなれたバス停の名前に、私は手近な丸いボタンに手を伸ばした。
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