第五十話 脱出
「主の間」の
群れの
首領は鼻をヒクヒクさせて血の臭いを嗅いでいる。ミノタウロスの
「ギャィ!ギギャィギャィ!!」
ゴブリンたちが、
「なっ!なんだ、お前ら!オレの
コバキは
「ガギイィィ!」
ゴブリン数百匹が叫び
「あ!あぁ!ギャア!!」
コバキの
「いかん!ミラナどの、
「行きましょう!」
「鍵か!」
幸村は、ミノタウロスの亡骸に鍵があるかと
「幸村、どうする!?」
「ムゥ!」
幸村は
「あたしも!ん!んん!」
と
「お
どこをどう通って来たか、才蔵が走り込んできた。
「よし!
幸村が鉄格子を開く。
「行こう!」
ミラナが小さい男の子を素早く抱き上げる。
「助かった!」
幸村は、
「
幸村が
幸村たちは
「ちょっと待って!」
ミラナが言い、へたりこみ抱いていた男の子を降ろした。みな立ち止まる。主の間から、だいぶ離れた。これだけ離れれば少しは
「この子、けっこう重くって!重いぞ!フフ」
ミラナは男の子の頭を撫でると笑った。
「テンちゃんよね?」
ミラナか聞くと、男の子はコクリとうなずき言う。
「おなかがすいたんだけど?」
「アハハ、そうかぁ。お姉ちゃん、お
ミラナは微笑み言うと、バッグを探りクッキーを
「はい!いいのがあったよ!」
テンにクッキーを渡すとガツガツと食べだした。
「あなたたちも食べて!」
と一緒に囚われていた男女にも渡す。
「
男女は
「才蔵!ほら見て!お菓子をいっぱい持って来て
「……はい」
「わかれば良いのです。許します。
ミラナは楽しげに笑った。
幸村は迷宮の奥を振り返ると言う。
「しかし、追ってきませんな。逃げ切れたようだ」
遠くてよく見えないが「主の間」でゴブリンたちはミノタウロスの宝の物色で
「さぁ、
幸村たちは、上層階へとのぼり迷宮出口へと向かった。ミラナがテンを抱き上げる。しばらく歩くと、遠くに白く外の明かりが見えてきた。
そのまま
「テン!」
地下迷宮の入り口には、ギサック翁とその娘が待っていた。
「ママ!」
テンは、ミラナの元から走り出すと、
「良かった……」
娘は、しゃがみ込むとテンの頭をなでた。ミラナはすこし寂しげに微笑み
「テンちゃん、良かったね……」
と言った。
ギサック翁は幸村に近づくと言う。
「いや!よくぞ孫を助けていただいた!怪我をされているではないですか!うちに寄って休んでいってくだされ!飯にしましょう!」
「む、それはかたじけない。腹ペコだ。怪我で血も失ったし
「さぁ、それなら我が家に行きましょう!」
ギサック翁は言うと、ミノタウロスの牢に閉じ込められていた若い男女に目を留める。
「あれ!?お前ら
ギサック翁の家は、村の
「さぁさぁ、食べてくだされ!」
焼き飯、豚の
幸村は、
「フフ、幸村さま。そんなにあわてて食べなくてもいいのに!」
ミラナが微笑み言った。
「いえね、
幸村は次から次に
「さすが、ミノタウロスを倒した
ギザック翁は
「それにしても、うちの
ギサック翁の娘は、
幸村は、肉を食べる手を止めると聞く。
「ギサック翁、カヌマへの抜け道のことなんだが教えてくれるかね?」
「こちらの頼みは聞いていただいた。
「ありがたい」
幸村は言うと、また
その
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます