第四十四話 西の村
その繁盛店に
そこには「コモロウそば」と書かれていた。何やら
「ここにしましょう!」
ミラナが
「おじさん!入れる!?」
「
オヤジは道に置かれた
「コモロウそばでいいかい!?」
「はい!それ三つ!」
幸村は
「ところで才蔵、そばって、
「どうなんですかね。ここにもあるんですかね?」
才蔵が答えた。
どうやら、幸村は蕎麦を知っているようだ。
「蕎麦切りって?そばって、パスタみたいな麺のことよ」
とミラナ。
「あ、やっぱり」
「はいよ!コモロウそば!」
そこにオヤジが三つの大きめの椀を
「あ、これは蕎麦だ。美味いけど、この汁はなんだろう?」
幸村は口をつけると言った。
幸村の生きた
お椀といっしよに、箸が出された。才蔵は
「オヤカタ
「ほんとだ!何だか日ノ本っぽいな」
ミラナは、箸を手に
「箸はシナジノアの南のほうでは、よく使われている食器ですね。私もけっこう使えますよ」
ミラナはしっかりとした手付きで、箸を持っている。きっと上手く使えるのであろう。
「ふむ、まぁとにかくいただこう。いただきます……」
幸村、箸を持ち目を閉じると手を合わせる。しばらくして目をカッと開き、
「
「ほんとに……あー!お腹すいた!私も食べよう!」
ミラナは髪が椀に入らないように、白いうなじを見せて
「あ、オヤジ。おかわり」
と幸村。
「え!幸村、もうおかわり!?」
「オヤジ、やっぱりおかわり二つ持ってきて。どうせ頼むから」
「二つ!ほんと、オヤカタ様はよく食べますよね」
ミラナと才蔵は、幸村の食べっぷりにあっけにとられた。
すこしすると、テーブルの上には、幸村の積み上げた空の椀が並んだ。
「はー、おなかいっぱい!」
ミラナが
「しかし、腹がふくれれば、カヌマに入る
と才蔵。
「うん、そうでだなぁ……どうしたものかな。考えないと」
幸村も、腹をさすって言った。
そこに、白い髭に
「そこの
ギサックと
「はぁ……で、ご
幸村はギサックの勢いに、やや
「
「
「なるほど。村で困ったことが
「は……はぁ?」
その勢いに幸村はさらに戸惑いを深くすると、ギサック翁は急に
「……もし、
幸村たち三人は、顔を見合わせた。
「オヤカタ様、
と才蔵が耳打ちする。
「悪い
幸村が
「幸村!才蔵!ご老人はお困りの
「え!?まぁ……それならそうしますか。打開策も
幸村はミラナの
「お!やってくださるか!店の
「おじいさま、村に行けばよろしいのかしら?」
「そうじゃ!ささ、
ギサック翁に先導されて、幸村たちはついて行った。
ギサック翁に連れられて、三人はコモロウから西へ。山中の村を
「ハァ……ハァ……このあたりはウェダリアの中でも、はじめて来たわ……こんなところが
ミラナが
「そうじゃな!お
ギサック翁が
坂を越えると、
「着きましたぞ!あれが我がホリクリ村の入り口じゃ!」
「お父さん!」
村の入り口に立って
「ほれ!腕の立つ冒険者たちを連れてきたぞ!」
女は幸村たちを見て、
「ギサックの娘です。遠いところありがとうございます」
「孫は?テンは戻ってきたか?」
「まだよ。もどってこないわ……」
娘は、うつむき首を振った。
「そうか……やはり戻ってこんか……」
ギサック翁は、肩を落した───
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