第二十八話 もう一人の男
「おい、
男は、ゆっくりと幸村のほうを
「
幸村は、もう一度言った。
羽根帽子の男は、あごに手をやり首をひねる。
「はて、私はキリー・ガクレル
すっと前を向いて、
幸村と
「あれ、
と佐助が
すると、羽根帽子の男は、こらえ切れぬように笑い出した。
「……プ……アハ……アハハハハ!オヤカタ
「うん……才蔵だよな。やっぱり……」
幸村が言った。
キリーと呼ばれた男は、幸村とともに
「おまえも『ここ』に来たのか」
佐助も言った。
「ちょっと連れを待たせてるんで、少し待ってください。すぐ来ますよ」
才蔵は、奥の
佐助が言う。
「あいつも『こっち』に来たんですね。
「ふむ、
「しかし、あいつの連れの女、
佐助は、才蔵の
「ふむ、どこぞの
幸村は言った。
少しして、才蔵が幸村たちのところへ
「いやもう、オヤカタ様と佐助さんに話したいことがいっぱいあるんですよ。もうオレも、ほんとうに
「そうなのか?身なりも良いし、
幸村が言うと、才蔵はかぶりを振った。
「いやいやいや……ほんと大変で。どこから話せばいいかな……そうそう、大阪の陣でオレも
「ふむ」
「でも、この
「はぁ?」
幸村は、才蔵の言ってることの
「ですから、オヤカタ様。漁師の人たちにいつまでも世話になってるのもわるいじゃないですか?で、出るためには世話してくれる女を見つけるしか
「うむ……そうか……サスガだな。そういう
幸村は、しきりに
「そうだ、才蔵。我らは今、ここから南の国ウェダリアの
「え……あの
才蔵は、うなずくと言う。
「またオヤカタ様と仕事するのは楽しそうですね。ぜひやりたいんですが、ちょっと
才蔵は奥の席からこちらを見ている女に、軽くて手を振った。幸村が言う。
「うん、そうか。わかった。かたづいたら訪ねて来てくれ。我らは
「ダンジオ公のところへ……そうですか……」
才蔵は、少し含みのある
「ん、何かあるのかね?」
「いえ、いいんです……。わかりました。おふたりは隣の宿ですね?では
「あぁ」
才蔵は、奥の女の席に戻っていった。
佐助が言う。
「才蔵のヤツ、何か言いかけましたが……」
「うん、なんだろうな。まぁよかろう。明日に備えて宿に戻るとしよう。明日はアズニア王に合わねばならんしな」
「そうですな」
幸村と佐助は、才蔵に手を振り別れを
その
幸村は宿の男に、いくばくかの
「城の者にウェダリアの
と頼むと、佐助とふたり身なりを整えアズニア城へと向かった───
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