第二十七話 北の城塞
アズニアは
その南側には、
「いやいや
佐助は
「ふむ、さもあろう。これは
幸村は
すでに日も落ちていたため、アズニア城への
「御館さま、とにかく腹が減りましたね」
「まったくだ。
幸村と佐助は、アズニアの
幸村の目に止まった。
「どうもあの店が
「行ってみましょうか」
幸村と佐助は、そちらへと馬をすすめる。店の前につくと、中はたいへんな賑わいだ。その
「これだけの
「そうですな。宿についても聞いてみましょう」
おさげ髪の娘が
「すまん。宿を探してるんだが、このへんにあるかね?」
「あら……旅の
娘は答えた。
「お、それはありがたい。御館さま、ここにしますか?」
「うん、そうしよう」
佐助と幸村は隣の宿に
店につくと、さきほどと変わらずかなりの賑わいだ。
「
「二人です!」
幸村は答える。
「そこ座って!」
女将はいった。店の入り口近くのカウンターが二席空いている。
「何にします?」
店の娘が、ハキハキした
「エール酒ふたつ。あと、ここの
幸村は聞いた。
娘は、首をかしげてすこし考えた。
「えっと、そうですね。うちの店でよく出るのは焼き物ですね」
「ふむ、焼き物ね。じゃ、それをいくつか頼むよ」
「はい、わかりました。おかみさーん、注文はいりますー!」
娘は言った。
「なにか肉か魚ですかね」
佐助は言った。
「そうだろうな」
幸村は応える。
女将が、大きな
「はい!お待ちどう!
「いえ……まぁ……
幸村は、あいまいにこたえる。
「そう!ゆっくりしててってね!」
女将は体をゆらして立ち去っていった。
「しかし器がでかいな!では、とりあえずアズニアまでの旅、おつかれさん」
幸村と佐助は、
「……うん、うまい……」
「うまいですね、御館さま。このエールというのは、また日ノ本のにごり酒とも違った泡ですな」
「うん……腹減ったなー。焼き物まだかな」
幸村はぼんやりと店の奥に
そこに女将が、
「はい!焼き物!当店名物、アズニアトカゲの姿焼きだよ!!」
トカゲの大きさは
「
女将は、オレンジ色の岩塩の塊を
そしてまた、忙しそうに恰幅のよい体をゆらして
「これは……なかなか……見た目は、よくないですな」
佐助は言う。
「とはいえ、
言うやいなや、幸村は脚をむしりとり、パクリと食べた。
「む!……これは!……美味い!……うん……かなり……美味い」
幸村は、瞬く間に脚を一つ食べると、次の脚をむしり食べだした。
無言で
「お!それほどですか!?」
佐助も食べてみる。
「う!……これは!……たしかに!……美味い!……かなりの……美味さ」
佐助も無言で、次々に食べだした。
少しすると、二人の大皿が空になった。
「いや、これは美味かったな……」
「落ち着きましたね、御館さま」
「うん……いや、オレはまだ落ち着かん。もう一皿たのむよ」
「え!まだ食べるんですか!」
「うん、食えるときに食っとかないとな。女将、もう一皿持って来てくれるかね?」
幸村が言うと、女将は
「えぇ!もう一皿!?
女将は奥へと引っ込んでいった。
二皿目は出てくると、幸村はまたあっという間にたいらげた。
佐助は、エール酒片手に店内を眺めている。その視線が、奥のテーブルに一人座っている華やかな
「佐助ごのみの女かね?」
「あ……いや……そういうわけでは……まぁ……」
「大阪の陣から、この前の
「フフフ……そうですなぁ。こんな
───なら幸村、
幸村の
「え……あぁ……うん……どうかな……アハハ」
その時、店の
そこには、黒い大きな
「キリー!こっちよ!」
佐助の見ていた赤髪の女が、その男に
そのキリーと呼ばれた男を佐助は見る。
佐助の
その表情に気が付いた幸村も、キリーに目を向けた。
「あっ!!」
幸村は、思わず声をあげた───
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