第十二話 前夜
その日は、ジュギフ軍到着といわれる日の
「おはようございます、
「あぁ……おはよう」
幸村は少し
「将軍、
「そうだな……」
リザードマンの
「では、始めてくれ」
幸村が言うと、みな
(やれやれ、とりあえず
幸村は若い男を
槍の模擬戦が
「昨日は助けに行くのが遅くなって、すまなかった。もう少し
ダニエルは、うつむくと黙りこんだ。しばらくして口を開いた。
「いえ、幸村さんは悪くありません。悪いのはオレです。オレが悪いんです……」
幸村も黙った。
近くにいた同じ
「確かにな……お前がポラードに絡まなければ、リザードマンにもっと早く気が付けたかもしれんな。いまさら、どうにもならん事だがな」
ダニエルは、くちびるを噛んだ。少し離れると、槍の素振りを始めた。
幸村は、その
この日の訓練は、予定通りにこなされた。
「
「野営地は、ここで間違いないか?」
幸村は、地図上のウェダリア城から南へと行った
「はい、そこで間違いござらん」
幸村はうなずき、地図に印をつける。
「
「今のところは。動きがあれば、
佐助には、十数人の
「ご
「でしょうな」
佐助は、うなずき言った。
(明日だな。明日には来る)
幸村は窓から外を見る。
「幸村さま、ご
マーサが会議室の幸村に
「すみません。すぐに行きます」
幸村は、会議室を後に
大食堂では、男たちが
「みんな聞いてくれ!」
兵たちは
「敵はここから一日の
兵たちは静かに聞いていた。
「短い
幸村は兵たちを見回す。兵たちも幸村をまっすぐ見ている。
「
「オゥ!」
兵たちは答え、エール酒の入った
「幸村さま、どうせ一杯しか飲めないのに、控えようもありませんぜ」
兵の一人が
「そうだな、すまなかった。いくさが終わったら、もっと酒を出してもらおう」
幸村は、笑って応えた。
(さて、どうでるかな)
幸村は食堂で、兵たちを
それをするにも少し迷いがあった。
そうも考えたが、急ごしらえの兵士達のがんばりを讃え、士気を高めて明日以降起きるであろう戦いに備えよう。
幸村は、そう判断した。
(ミラナどのとも、話しておこうか)
幸村は、
マーサを見かけたので、聞いてみた。
「ミラナどのは
「きっと
「そうか、ありがとう」
言うと幸村は、そこに向かった。
ミラナは、城の
「おや、ミラナどの
幸村は声をかけた。
「幸村……。もう皆が
ミラナは
「
「ふむ、ありがたいことです。いくさは、どうなるかわかりません。備えあれば憂いなしですな」
幸村も笑って応える。ミラナが言う。
「どうやら、ジュギフの
「そうですな」
「どうなるの?」
「まずは、
「断ります」
ミラナは
「お
強い
幸村、うなずくと言う。
「わかりました。私の見立てでは、ジュギフは明日この街に向かってくるでしょう」
「わかったわ」
「ところで、北の国に
「……そうね……アズニアに文が届いて、すぐに
ミラナは、うつむき言った。
「アハハ、そうですか。なら、来る気が無いんですな。来ませんよ」
幸村は笑った。笑っている
「ジュギフの軍勢とは、どう戦うつもりなの?」
「そうですね。考えはあります」
「どんな?」
ミラナは黙って、幸村が話を
(私はこの人に
ミラナは、心を決めた。
「わかったわ。幸村、あなたに任せます」
「はい。お任せを。ミラナ
幸村はかしこまって言った。
(戦いに大丈夫などということは無い。
幸村は思っている。
だが、ミラナも不安なのだ。少しでも
「それは心強いわ」
ミラナは幸村の気持ちを汲んだのか、微笑んで言った。
「明日はきっと忙しくなります。ミラナどのも、早くお休みください。
「そうね、そうしましょう。おやすみ、幸村」
ミラナと別れた幸村は、ひとり
(さて、
と
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